2022年01月01日

記事一覧

257
記事

【日常系税務リーガルマインド】
税理士だって日常系税務でリーガルマインドを実践したい!
親族概念の、いてもいなくてもどっちでもいい奴感
森田宏樹「契約責任の帰責構造」(有斐閣2002) 〜印紙税法における「結果債務・手段債務論」の活用 
内面重視 〜ブログタイトル変更しましたのお知らせ
「リーガルマインドとは何か?」
税法・民法における行為規範と裁判規範(その1)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その2)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その3)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その4)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その5)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その6)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その7)
からくりサーカス租税法 〜文言解釈VS趣旨解釈、そして借用概念論へ
アレオレ租税法 〜立案者意思は立法者意思か?

【判例イジり】
解釈の解釈を解釈する(free rider) 〜東京高裁平成30年7月19日判決
加算税をめぐる国送法と国税通則法の交錯(平成29年9月1日裁決)
解釈の解釈の終わり? 〜さらば東京高裁平成30年7月19日判決
横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)
解釈の解釈は終わりました。〜最高裁令和2年3月24日判決【判例速報】
解釈の解釈の介錯 〜最高裁令和2年3月24日判決
税務訴訟におけるゴリ押しVS誉めごろし 〜税務トロイの木馬(Tax Trojan Horse)

【法律書マニアクス】
供え本(法学体系書編)
石田穣「民法総則」(悠々社1992・信山社2014)
人類は、差異を産み育むことでマニアとなる。 〜法律書マニアクス全開
潮見佳男「民法(全) 第2版」(有斐閣 2019)
法学研究書考 〜部門別損益分析論
積読ループ
「法律学大系」(有斐閣) 〜或るstalk。
白石忠志「技術と競争の法的構造」(有斐閣1994)
最近の気になる本

【法学入門書探訪】
横田明美「カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉」(弘文堂2018)
大屋雄裕「裁判の原点:社会を動かす法学入門」(河出書房新社2018)
道垣内正人「自分で考えるちょっと違った法学入門 第4版」(有斐閣2019)
団藤重光「法学の基礎」(有斐閣2007)
伊藤正己「近代法の常識」(有信堂1992)
南野森「ブリッジブック法学入門(第2版)」(信山社2013)
太田勝造「AI時代の法学入門 学際的アプローチ」(弘文堂2020)
南野森「法学の世界」(日本評論社2019)
森田果「法学を学ぶのはなぜ?」(有斐閣2020)
宍戸常寿・石川博康編「法学入門」(有斐閣2021)

【租税法の教科書】
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅
金子宏・中里実「租税法と民法」(有斐閣2018)
中里実ほか「租税法概説 第4版」(有斐閣2021)
金子宏「租税法 第24版」(弘文堂2021)
岡村忠生ほか「租税法
第3版(有斐閣アルマ)」(有斐閣2021)

三木義一「よくわかる税法入門 第15版」(有斐閣2021)
渡辺徹也「スタンダード法人税法 第2版」(弘文堂2019)
田中二郎「租税法(第3版)」(有斐閣1990)
浅妻章如「ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか」(中央経済社2020)
酒井克彦「プログレッシブ税務会計論」(中央経済社2018)
「新 実務家のための税務相談(民法編) 第2版」(有斐閣2020)
伊藤滋夫編「租税訴訟における要件事実論の展開」(青林書院2016)
佐藤英明「スタンダード所得税法 第2版補正2版」(弘文堂2020)
浅妻章如,酒井貴子「租税法」(日本評論社2020)

【アクティブ・ラーニング】
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民1)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民2)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民3)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民4)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民5)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民6)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民まとめ)

【税務】
あるべき税理士
肩たたき券取引と税務
税金(国税)の納付の仕方(いろいろ)
税金(地方税)の納付の仕方(いまいち)
税金(地方税)の納付の仕方(前進)

【法人税法】
税務における事前判断と事後判断 〜所得拡大促進税制の適否判定(また改正するので)
ふたりはプリキュア(後日テコ入れで増員) 〜グループ法人税制のおさらい〜
武器としての所得拡大促進税制 〜労働者にとっての。
ここがヘンだよ所得拡大促進税制 〜委任命令におけるゆらぎとひずみ
さらば所得拡大促進税制(Arrivederci) 〜評判良ければ続くやつ
みんな大好き!倒産防。 〜措置法解釈手習い
「定期同額給与」のパンドラ(やめときゃよかった)
西村美智子 中島礼子「組織再編税制で誤りやすいケース35」(中央経済社2020)
未払決算賞与の損金算入時期と、なんちゃって私法準拠の弊害
珍奇な新規 〜人材確保等促進税制における「国内新規雇用者」について(令和3年度税制改正)
珍奇な新規(続) 〜『人材確保等促進税制御利用ガイドブック(令和3年5月31日公表版)』
留保金課税における資本金基準と株主構成基準の交錯
非適格は「非適格である」であって「適格でない」ではない 〜組織再編税制

【所得税法】
社員割引
出張手当は節税になるのか?
支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について
利子・配当・譲渡所得の課税方式の選択について(2020.2.24現在)
支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について【追補】
さよなら「権利確定主義」(その1) 〜事業所得と給与所得
さよなら「権利確定主義」(その2) 〜不動産所得
さよなら「権利確定主義」(その3) 〜譲渡所得
さよなら「権利確定主義」(その4) 〜違法所得
「生活に通常必要な動産」で「生活に通常必要でない動産」
サラリーマンマイカー訴訟 〜生活に通常必要でも必要でなくもない資産
伊藤滋夫ほか「要件事実で構成する所得税法」(中央経済社2019)
どこまでも追いかけてくる、夜の月のように 〜租税回避チャレンジ

【年末調整】
色々な壁の話し(配偶者控除・配偶者特別控除)2018ver.
年末調整H29
リーガルマインド年末調整(その1) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その2) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その3) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その4) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

【消費税法】
消費税、免税とるって大変よ、という話(2018.1.11現在のルール)。
特定新規設立法人のインフィニティ感
引けない消費税 〜リバースチャージと控除対象外消費税

【相続税法】
パラドキシカル同居 〜或いは税務シュレディンガーの○○
イタチ、巻き込み。 〜家なき子特例の平成30年改正
ヤバイ同居 〜続・家なき子特例の平成30年改正
関場修 山口暁弘「小規模宅地等の評価減の実務 第4版」(中央経済社2018)
タックスアンサーの中の譲歩と抵抗 〜小規模宅地等の特例を素材に
「要件書き込み」は趣旨解釈を駆逐する。〜小規模宅地等の特例を素材に
オーバーホール租税法・序論 〜小規模宅地等の特例を素材に
白井一馬「小規模宅地等の特例」(中央経済社2020)
僕たちは!出戻り保護要件です!! 〜家なき子特例の趣旨探訪1
ぼくたちは出戻り保護ができない。 〜家なき子特例の趣旨探訪2
あの日見た特例の趣旨を僕達はまだ知らない。 〜家なき子特例の趣旨探訪3(完)
タックスアンサー学習帳 〜やっててよかったTA式

【印紙税法】
私法の一般法とかいってふんぞり返っているわりに、隙だらけ。〜契約の成立と印紙税法
Janusの委任 〜成果報酬型委任と印紙税法
続・契約の成立と印紙税法(法適用通則法がこちらをみている)
続々・契約の成立と印紙税法(代理法がこちらをみている)
さよなら契約の成立と印紙税法 (結局いつもひとり)
魔界の王子と契約の成立と印紙税法
二段の推定と契約の成立と印紙税法 〜印紙税法における実体法と手続法の交錯
おかわり契約の成立と印紙税法(法人法がこちらをみている)

【地方税法】
無償減資で均等割下げ(節税系の記事ではなく)

【国際租税法】
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その1)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その2)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その3)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その4)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その5)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その6)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その7)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その8)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その9)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その10)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その11)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その12)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(まとめ)
井上康一・仲谷栄一郎「租税条約と国内税法の交錯 第2版」(商事法務2011)

【会計】
財務分析総論 〜稼ぐ、彼女の如く。
金子智朗「経営分析の超入門講座」(秀和システム2012)

【基礎法学】
「ポケット六法」は総合事項索引を倒さないと本体に攻撃が通らない 〜事項索引 de 勉強法
「法律学小辞典」の「小」は「小スキピオ」の「小」
ホッブズ「リヴァイアサン」 〜彼の設定厨。
田中成明ほか「法思想史」(有斐閣1997)
判例の機能的考察(タイトル倒れ)
ロジカルシンキングによる試験問題おイジり学習法
法律解釈のフローチャート(助走編)
フローチャートで遊ぼう。 〜フローチャート総論
フローチャートを作ろう(その1) 〜文理解釈(付・反対解釈)
フローチャートを作ろう(その2) 〜定義付け解釈
フローチャートを作ろう(その3) 〜縮小解釈(縮小系)
フローチャートを作ろう(その4) 〜拡大解釈(拡大系)
フローチャートを作ろう(その5) 〜慣習法
フローチャートを作ろう(その6) 〜判例法
法源の機能的考察

【民法】
潮見佳男「新債権総論1・2(法律学の森)」(信山社 2017)
潮見佳男「基本講義 債権各論1 契約法・事務管理・不当利得」(新世社2017)
ユーのネームは。 〜「新注釈民法」と私
前田達明「続・民法学の展開 (民法研究 第三巻)」(成文堂2017)
潮見佳男「詳解 相続法」(弘文堂2018)
平井宜雄「債権各論I上 契約総論」(弘文堂2008)
内田勝一「借地借家法案内」(勁草書房2017)
米倉明「プレップ民法(第5版)」(弘文堂2018)
池田真朗「スタートライン債権法(第7版)」(日本評論社2020)
窪田充見「家族法 第4版」(有斐閣2019)
時効の中断・停止から時効の完成猶予・更新へ
ドキッ!?ドグマだらけの民法改正
どんな子にも親に内緒のコトがある。 〜民法98条の2の謎に迫る(迫れていない)
後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)
加賀山茂「求められる改正民法の教え方」(信山社2019)
内田貴「民法3(第4版)債権総論・担保物権」(東京大学出版会2020)
金井高志「民法でみる法律学習法 第2版」(日本評論社2021)

【会社法・商法】
前田庸「手形法・小切手法入門」(有斐閣 1983)
川口恭弘「金融商品取引法への誘い」(有斐閣2018)
近藤光男「商法総則・商行為法 第8版」(有斐閣2019)
関俊彦「商法総論総則」(有斐閣2006)
小塚荘一郎,森田果「支払決済法 第3版」(商事法務2018)
高橋美加ほか「会社法(第3版)」 (弘文堂2020) 〜付・税理士と会社法の教科書
大垣尚司「金融から学ぶ会社法入門」(勁草書房2017)
大塚英明ほか「商法総則・商行為法 第3版」(有斐閣2019)

【労働法】
あえて言おう!カスであると!(被用者・応募者側からみたみなし残業代)
下井隆史「労働基準法 第5版」(有斐閣2019)
零れ落ちるもの(その1) 〜NO 雇用契約 NO 労働契約
零れ落ちるもの(その2) 〜有期雇用契約と改正民法の経過措置
零れ落ちるもの(その3) 〜有期雇用解約ルール
零れ落ちるもの(その4) 〜無期雇用解約ルール
零れ落ちるもの(その5) 〜内定解約ルール

【民事訴訟法】
新堂幸司「民事訴訟制度の役割」(有斐閣1993)
新堂幸司「新民事訴訟法 第6版」(弘文堂2019) 〜付・民事訴訟法と税理士

【知的財産法】
システム開発における先行者利益について
田村善之「知財の理論」(有斐閣2019)

【破産法】
小林秀之「破産から新民法がみえる」(日本評論社 2018)
美人若女将連続バラバラ租税債権 〜犯人は破産法

【憲法】
大島 義則「憲法ガール Remake Edition」(法律文化社 2018) 〜あわよくばSuccubus。
戸松秀典「憲法」(弘文堂 2015)
ミシェル・トロペール(南野森訳)「リアリズムの法解釈理論」(勁草書房2013)

【行政法】
大橋 洋一「社会とつながる行政法入門 第2版」(有斐閣2021)
高木光「行政法」(有斐閣2015)
原田尚彦「行政法要論(全訂第七版補訂二版)」(学陽書房2012)
遠藤博也「行政法スケッチ」(有斐閣1987)

【刑法】
井田良「入門刑法学・総論」(有斐閣2018)ほか
井田良「講義刑法学・総論 第2版」(有斐閣2018)
井田良「講義刑法学・各論 第2版」(有斐閣2020)
辰井聡子「因果関係論」(有斐閣2006)
裁判所職員総合研修所「刑法総論講義案 (四訂版)」(司法協会2016)
松澤伸「機能主義刑法学の理論―デンマーク刑法学の思想」(信山社2001)
安田拓人ほか「ひとりで学ぶ刑法」(有斐閣2015)
小林憲太郎「ライブ講義 刑法入門」(新世社2016)
藤木英雄「公害犯罪」(東京大学出版会1975)
井田良「犯罪論の現在と目的的行為論」(成文堂1996)
橋爪隆「刑法総論の悩みどころ」(有斐閣2020)

【国際私法】
視野を広げるための、国際私法
多層的請求権競合論と、メロンの美味しいところだけいただく感じの。
野村美明「新・ケースで学ぶ国際私法」(法律文化社2020)
多田望ほか「国際私法 (有斐閣ストゥディア)」 (有斐閣2021)
法適用通則法5条と35条における連動と非連動 〜法律学習フローチャート各論
双方的要件は準拠実質法を駆逐する。 〜婚姻成立の準拠法

【弁護士と税理士】
弁護士事務所と税理士事務所(似ていない)

【酒撮り】
東洋美人(一番纏 純米大吟醸)【山口】
雄町(天吹・純米吟醸)+ 愛山(天吹・大吟醸)【佐賀】
夢+叶(東薫大吟醸)【千葉】
寿 満寿泉(大吟醸)【富山】
夢穂波(大吟醸)【岩手】
獺祭(純米大吟醸 磨き二割三分)【山口】
浜千鳥(純米大吟醸)【岩手】

【ガジェット】
Logicool G105(ゲーミングキーボード)
Logicool G300s(ゲーミングマウス)
刷り込み−会計ソフトの選び方
開放感−そして携帯端末の思ひ出
架空の思い出 −私とテレビゲームの。
ジオンはあと10年は戦える
モニ旅。 〜ぼくのPCモニター遍歴
Logicool G910R(ゲーミングキーボード)

【メンタル】
メンタル・ロック(mental lock)
「俺がガンダムだ!」
あなたの動機はどこから?
あなたは仕事に何を求めているのか。

【音楽と私】
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル/ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調
シューリヒト&ウィーン・フィル/ブルックナー: 交響曲第9番
カイルベルト&ベルリン・フィル/ブルックナー:交響曲第9番
三上ちさこ「I AM Ready!」 〜付・音楽と私

【日記】
神宮詣
定規か電卓か、いや定規と電卓だ。
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2017
なぜ吸血鬼は自分の血を吸わないのか。 〜AI時代の吸血士のための生存戦略セミナー
ブログURL変更しましたのお知らせ
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2018
ネット古書店 購入お作法(含、小トラブルご報告)
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2019

【事務所案内】
はじめに
事務所名について
税理士事務所(個人)と株式会社の関係について
はじめます!!!
会社名の由来
なんでブログを書いているの?
サービスと対価(税理士報酬の場合)
圧倒的インプット
押収品
私たちのファームに新しいクルーがジョインしてくれました!!!!!!
posted by ウロ at 00:00| Comment(0) | 記事一覧

2021年12月31日

供え本(法学体系書編)

 「供え本」(そなえぼん)とは、読まなくてもよいからさしあたり書棚にお供え(備え)しておきなさい、という本です。

 一度も開かないまま、改訂版が出ても逐一悲しまない(繰り返し経験済み)。
 むしろ改訂版を出してくれたことを喜びましょう。
 持っててよかった、と思うときがくるかもしれないし。 

 ラインナップ、万人向けと個人的嗜好との葛藤が垣間見えるかもしれません。

【憲法】
戸松秀典「憲法 」(弘文堂2015)

【行政法】
宇賀克也「行政法概説1 第7版」(有斐閣2020)
宇賀克也「行政法概説2 第7版」(有斐閣2021)
宇賀克也「行政法概説3 第5版」(有斐閣2019)
宇賀克也「地方自治法概説 第9版」(有斐閣2021)
藤田宙靖「新版 行政法総論 上巻 」(青林書院2020)
藤田宙靖「新版 行政法総論 下巻 」(青林書院2020)

【民法】
中田裕康「債権総論 第4版」(岩波書店2020)
中田裕康「契約法 新版」(有斐閣2021)
奥田昌道,佐々木茂美「新版 債権総論 上巻 」(判例タイムズ社2020)
奥田昌道,佐々木茂美「新版 債権総論 中巻 」(判例タイムズ社2021)

【会社法・商法】
江頭憲治郎「株式会社法 第8版」(有斐閣2021)
田中亘「会社法 第3版」(東京大学出版会2021)
江頭憲治郎「商取引法 第8版」(弘文堂2018)
黒沼悦郎「金融商品取引法 第2版」(有斐閣2020)

【民事手続法】
伊藤眞「民事訴訟法 第7版」(有斐閣2020)
新堂幸司「新民事訴訟法 第6版」(弘文堂2019)
中野 貞一郎,下村 正明 「民事執行法 改訂版」(青林書院2021)


【倒産法】
伊藤眞「破産法・民事再生法 第4版」(有斐閣2018)
伊藤眞「会社更生法・特別清算法 」(有斐閣2020)

【刑法】
裁判所職員総合研修所「刑法総論講義案 四訂版」(司法協会2018)
西田典之,橋爪隆「刑法各論 第7版」(弘文堂2018)

【刑事手続法】
酒巻匡「刑事訴訟法 第2版」(有斐閣2020)
三井誠,酒巻匡「入門刑事手続法 第8版」(有斐閣2020)

【租税法】
金子宏「租税法 第23版」(弘文堂2019)

【労働法】
菅野和夫「労働法 第12版」(弘文堂2019)

【知的財産法】
中山信弘「著作権法 第3版」(有斐閣2020)
中山信弘「特許法 第4版」(弘文堂2019)

【独占禁止法】
白石忠志「独占禁止法 第3版」(有斐閣2016)

【信託法】
新井誠「信託法 第4版」(有斐閣2014)
posted by ウロ at 00:00| Comment(0) | 法律書マニアクス

2021年11月29日

リーガルマインド年末調整(その4) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 今回は、「しかた」のへなちょこ類型から離れて、12月中転職の場合に、転職元/転職先においてどのような対応が必要となるのかを、《規範論的アプローチ》の観点から検討してみます。

リーガルマインド年末調整(その1) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その2) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その3) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

【運営公式ガイド(しかた)】(類型)
令和3年分 年末調整のしかた 

【条文】
所得税法190条
1 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)

【要件】(規範)
@ 居住者
A 扶養控除等申告書提出
B 年の確定給与2000万円以下
C Aの提出を受けた支払者が年最後の給与を支払
D 12/31までにCの支払者以外に扶養控除等申告書を提出する見込みがある場合を除く


 舞台設定は次のとおり(@居住者、B2000万円以下は満たすものとします)。

1/1  A社 扶養控除申告書提出
12/10 A社 退職
12/15 A社 給与支給
12/16 B社 入社。扶養控除申告書提出

パターン1 12月中にB社給与支給あり
パターン2 12月中にB社給与支給なし

○パターン1

ア A社の処理
 まず、A社において対象者となるか。
 C最後の支払いでない、DB社で扶養控除申告書提出見込みあり、であるため対象者とはなりません。

 もし、B社の状況を確認しないまま年末調整をしてしまった場合はどうすべきか。
 年末調整しなかった状態に巻き戻す、というのが正しい処理になるのでしょう。

 なお、年末調整はできないとして、退職後支給の源泉徴収を「甲欄」でやってもよいのか、という問題があります。
 この点は、通達194・195-6が、B社提出まではA社の扶養控除等申告書が及ぶとしているので、「甲欄」でやってもよいことになります。その結果、B社の年末調整にA社の給与をすべて取り込むことができます。

イ B社の処理
 いずれの要件も満たすことから、対象者となります。

 もし、A社で「年調済み」の源泉徴収票を持ってきたらどうすべきか。
 「年調未済」で出し直してもらうのが正しい対応なのでしょうが、時間的にはかなり厳しい。
 A社「年調済み」のまま取り込むか、取り込まずに自社分のみで年末調整を行って、あとは本人に確定申告してもらうか、悩ましい判断を迫られます。

○パターン2

ア A社の処理
 C最後の支払いではあるのですが、ADが問題となります。
 というのも、B社で年内に扶養控除申告書を提出してしまっているため、ADの要件を満たさないように思えるからです。

 この点、通達194・195-6に依拠するならば、12/15の支給時に年末調整してもよいことになりそうです。
 しかしながら、同通達は、直接的には支給時の源泉徴収を念頭においた緩和ルールであって、年末調整までは想定していないように思えます。
 また、法律レベルでは、D「12/31までの」提出見込み無しを要求しています。そのため、たとえA社支給後であっても年内にB社に提出する予定ならば、Aは満たしてもDを満たなさいことになるのでしょう。
 とすると、同通達が及ぶのは「12/15支給時の源泉徴収は甲欄でやってもいいよ」というところまでで、「年末調整やってもいいよ」までは及ばないと理解すべきように思えます。

 解釈論としては、B社へ提出したのが「令和4年分」ならばA社の「令和3年分」の効力は妨げられない、と解する余地もあります。が所得税法190条ではそのような書き分けがされているわけではないので、少なくとも「文理解釈」からは出てこない。
 実務的には、B社への提出を来年まで待ってもらって、A社で年末調整をするというのが無難でしょうか。

イ B社の処理
 B社側では、ADは満たすもののCを満たしません。
 それゆえ、年末調整をしないのが正しい処理ということになります。

 もし、A社の「年調未済」の源泉徴収票をもってきたらどうすればよいか。
 法的には対象とすべきではありません。が、正しくないのは承知で親切心で年末調整してあげるか、建前どおり確定申告でやってもらうかの判断が必要となります。


 上記舞台設定の時系列を少し入れ替えます。

1/1  A社 扶養控除申告書提出
12/10 A社 退職
12/11 B社 入社。扶養控除申告書提出
12/15 A社 給与支給

パターン3 12月中にB社給与支給あり
パターン4 12月中にB社給与支給なし

 A社最終支給「前」にB社に扶養控除申告書を提出した場合はどうなるか。

○パターン3

ア A社の処理
 C最後の支払いではないため、年末調整の対象者とならないのはパターン1と同じです。

 問題は、12/15支給前にB社に扶養控除申告書を提出済みであることから、12/15支給には通達194・195-6が及ばずに「乙欄」で源泉徴収しなければならないのでは、ということです。
 もしそうだとすると、A社の乙欄給与はB社の年末調整に取り込むことはできません(通達190-2)。この部分だけのために確定申告をしなければならないということです。

 これを避けるためには、B社への提出をA社最後の支給まで待ってもらうべきなのでしょう。
 まあ、扶養控除申告書を紙で作成していれば、いつ提出したかなんて分かりようがないかもしれません。が、電子でやっている場合には、ばっちり提出日が残ってしまうはずです。
 なお、B社に提出するのは「令和3年分」となるので、上記の「年分」で効力を分けるという解釈論はここでは使えません。

 法の規律が「提出」「支払」と違うものを要求しているせいで、厄介な問題が生じているということです(「しかた」の類型はこの違いに無頓着)。

イ B社の処理
 対象者となるのはパターン1と同じです。

 気をつけなければならないのは、A社の給与をどの範囲まで取り込むかです。
 ではあるのですが、A社が「乙欄」で徴収すべき給与まで「甲欄」の源泉徴収票に合算していた場合、そこに気付けというのは無理があると思いますが。
 かといって、よくわからないからA社の給与は一切取り込まない、ということも、それはそれでアウトです。

○パターン4

ア A社の処理
 C最後の支払いではあるのですが、ここでもADが問題となります。

 パターン4は、パターン3と同様、通達194・195-6が及ばないため年末調整することはできず、12/15支給を「乙欄」で源泉徴収しなければなりません。あるいは、「年分」で分ける解釈論を採用して、「甲欄」で源泉徴収してしまうかどうか。

 A社で年末調整をするには、年明けまでB社への扶養控除申告書の提出を待ってもらうのが無難でしょうか。もちろん、「年分」で分ける解釈論を採用して勝負することも考えられますが。

イ B社の処理
 パターン2と同様、C最後の支払いがないことから対象外となります。

 もし、A社の「年調未済」の源泉徴収票をもってきたらどうすればよいか。
 この点もパターン2と同様、正しくないのは承知で親切心でやってあげるか、建前どおり確定申告でやってもらうかの判断が必要となります。


 以上、大量処理をする中でこんなこと逐一検討してられるか、というところであって、およそ実務的ではない、という評価がされる問題だとは思います。
 が、あえて間違えるにしても、本来のあるべき処理というものはひととおり理解しておくべきでしょう。

 全体を通して、そこはかとなく感じる違和感、所得税法の給与理解が、どうやら今どきの給与の支給サイクルとズレているのでは、ということです。この点は、収入計上時期を検討したときにも感じたことです。

さよなら「権利確定主義」(その1) 〜事業所得と給与所得

 今どきは、一定期日で締めてから後日支給、というのが一般的です。
 なのに、「支給→退職」類型は掲げながら「退職→支給」類型をあげない、退職後の支給を「追加払」よばわりする、「支払」「提出」と違うものを要求しているせいでタイミングによっては乙欄給与が出てきてしまう、などといった一連の規律をみると、現実とうまく噛み合っていない印象を受けます。

 それでも実務はまわっているわけで、ツッコむだけ野暮、ということでしょうか。

○所得税基本通達

(その年中に支払うべきことが確定した給与等の計算)
190-2法第190条第1号及び第2号に規定する「その年中に……支払うべきことが確定した給与等」の金額は、次に掲げる場合には、それぞれ次により計算することに留意する。
(1)その年の中途までその支払者から法別表第2若しくは第3の乙欄又は別表第4の乙欄を適用する給与等(以下この項において「乙欄給与等」という。)の支払を受けていた場合 その者に対しその年中に支払う乙欄給与等と法別表第2若しくは第3の甲欄又は法別表第4の甲欄を適用する給与等(以下この項において「甲欄給与等」という。)とを通算する。
(2)その年の中途までその支払者から法別表第3の丙欄を適用する給与等(以下この項において「丙欄給与等」という。)の支払を受けていた場合 その者に対しその年中に支払う丙欄給与等と甲欄給与等とを通算する。
(3)法第190条第1号かっこ内の規定により他の給与等の支払者が支払う給与等を通算する場合  当該他の給与等の支払者が支払う甲欄給与等(当該他の給与等の支払者がその年1月1日以後給与所得者の扶養控除等申告書の提出を受けるまでの間にその者に対し支払う乙欄給与等又は丙欄給与等があるときは、これらの給与等を含む。)と自己がその者に対しその年中に支払う甲欄給与等(他にその年中にその者に対し支払う乙欄給与等又は丙欄給与等があるときは、これらの給与等を含む。)とを通算する。

(年の中途で退職した者に係る給与所得者の扶養控除等申告書等の効力)
194・195-6 給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した者が年の中途においてその提出を経由した給与等の支払者のもとを退職した場合には、これらの申告書はその退職により効力を失うものとする。ただし、その退職後その年中に当該支払者がその退職した者に給与等の追加払等をする場合において、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げることが明らかなときは、当該追加払等をする給与等に係る源泉徴収税額は、これらの申告書が退職後も引き続き効力を有するものとして計算して差し支えない。
(1) その退職した者が給与所得者の扶養控除等申告書を提出した者である場合 その追加払等をする時において、その退職した者が他の給与等の支払者を経由して給与所得者の扶養控除等申告書を提出していないこと。
(2) その退職した者が従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した者である場合 その追加払等をする時において、その退職した者が他の給与等の支払者を経由して当該申告書に記載されている源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族を記載した給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書を提出していないこと。
posted by ウロ at 10:54| Comment(0) | 年末調整

2021年11月22日

リーガルマインド年末調整(その3) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 今回は、残りの類型について検討します。

リーガルマインド年末調整(その1) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その2) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 《規範論的アプローチ》: 要件の解釈及びあてはめが必要
 《類型論的アプローチ》: 類型にあたるかだけを判断

【運営公式ガイド(しかた)】(類型)
令和3年分 年末調整のしかた 

【条文】
所得税法190条
1 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)

【要件】(規範)
@ 居住者
A 扶養控除等申告書提出
B 年の確定給与2000万円以下
C Aの提出を受けた支払者が年最後の給与を支払
D 12/31までにCの支払者以外に扶養控除等申告書を提出する見込みがある場合を除く

【年末調整の対象となる人】
(1) 1年を通じて勤務している人
(2) 年の中途で就職し、年末まで勤務している人
・年の中途で退職した人のうち、次の人
(3) 死亡により退職した人
(4) 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人
(5) 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
(6) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払受けると見込まれる場合を除きます。)
(7) 年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます。)

【年末調整の対象とならない人】
(8) 本年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人
(9) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等申告書を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
(10) 年の中途で退職した人で、(3)〜(6)に該当しない人
(11) 非居住者
(12) 継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)



○ (2) 年の中途で就職し、年末まで勤務している人

 要件Cで、最後の給与を支払った者が年末調整することになっているので、これが対象になることに何の問題もありません。
 「しかた」では(1)を最初に掲げてしまったせいで、(2)を別の類型として掲げざるを得なくなった、ということです。

 ただし、この書きぶりは不正確。
 というのも、要件Cは年最後の「支払」を要求しているのであって、「勤務」を要求しているのではないからです。仮に12月に転職したとして、転職先の支給が12月中に無かった場合は、要件Cを満たさないことになります。
 《規範論的アプローチ》からは、年末まで「勤務」していても自社での「支給」がなければ対象外、というのが正しい。

 次の(5)とあわせて、12月転職絡みは次回整理したいと思います。

○ (5) 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人

 通達190-1(4)に掲げられているものです。
 普通に要件を満たすものなので、《規範論的アプローチ》からすればあえて取り上げる必要のないものです。
 他方で《類型論的アプローチ》では、(1)で「年を通じて」としてしまったせいで、わざわざ別に掲げなければならなくなったものです。

 (6)と違って「見込みあり」の場合の除外が書かれていないのは謎です。
 12月中退職であってもその後12月中に別会社から給与の支払いを受けることもあるのであって、この場合を除外しなくてもよいのか。

 当然《規範論的アプローチ》からは要件Dとして必ず要求されるものです。が、「しかた」では、(6)にはあるが(5)にはないという「反対解釈()」を施すことによって、(5)では「見込みあり」でも対象者となるように読むことができてしまいます。

 また、この類型をみて即座に思い浮かぶ疑問は、12月中に「退職⇒支給」の順番の場合はどうなのか、ということです。
 支給時期が一部前払いの会社でもないかぎり、退職後に支給となるのが通常でしょう。のに、このような典型例を掲げずに、「支給⇒退職」という今どき珍しいパターンだけ掲げているのは不親切極まりない。

 では、実際どうなのか、というと、退職によって扶養控除等申告書の効力が無くなるので、Aの要件を満たさず「対象者とならない」というのが、《規範論的アプローチ》からの帰結です。
 通達194・195-6というのもありますが、これによって要件Aが緩和されるとしても、要件Dまで緩和されるとは理解しがたいです。

 この点は、次回検討します。

○ (6) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払受けると見込まれる場合を除きます。)

 各類型に縷々イチャモンをつけてきましたが、これが一番の謎類型。通達190-1にも列挙されていないのに、しれっと中途退職者グループの並びに掲げられています。

 《規範論的アプローチ》からすれば、パートタイマーかどうか、103万円以下かどうか、などで対象に「なる/ならない」の違いは生じません。どこの要件にも該当するものがない。
 また、カッコ書きの「見込み」はDに対応している風ですが、Dは扶養控除等申告書を「提出」する見込みかあるかどうかであって「支払い」の見込みなどではありません。

 もしかしてですが、『パートタイマー・103万円以下の中途退職者は、「103万円の壁」に阻まれて退職したに決まっている。だとしたら、年内に再就職することなんてありえないから、どんなに手前で退職した場合でも年末調整しちゃって問題ない』とでもいう、角度キツめの決めつけによるものでしょうか。
 つまり、Dの見込み無し要件を類型的に充足するパターンなんだと。
 
 パートタイマー・103万円以下に何某かの意味合いを持たせようと思ったら、それくらいしか思いつきません。


× (10) 年の中途で退職した人で、(3)〜(6)に該当しない人

 この書き方ができるのは、(3)〜(6)で中途退職者で対象者となる人が完全にカバーできている場合に限られます。
 が、ここまで述べた通り、(3)〜(6)は決して出来のよい類型とはいえず、このような「バスケット類型」をもって残りものをすべて対象外の側に流し込むのが適切とは思えません。

 傲慢にも程がある。


 このように、《類型論的アプローチ》は、出来の悪い類型が列挙されている場合には、《規範論的アプローチ》による検証におよそ耐えられるものではないことが分かります。

 法律の要件から離れて独り歩きした上で、ありうる場合をまともにカバーできていないのだとしたら、とても使える類型に仕上がっていない、未完成のものだということです。

 また、類型論を展開するのであれば、年末調整の対象者、対象となる給与の範囲、判定の時期などを、類型ごとに一気通貫で揃えて記述するべきです。そうしないと、要件の正確な再現を犠牲にしてまで類型化した意味が無くなります。


 まあ、この時期に、各サイトの『年調お役立ち記事』に紛れて、こんな記事を混入させるのは迷惑極まりない話でしょう。《日常系税務》にとっては余計な知識です。

 が、類型にあてはまらない事案に出くわした場合に備えて、「法律レベル」で年末調整の対象となる/ならないを理解しておくことが、大事なことだと、私は思います。

リーガルマインド年末調整(その4) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
posted by ウロ at 11:23| Comment(0) | 年末調整

2021年11月15日

リーガルマインド年末調整(その2) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 今回は、「しかた」6頁の《類型論的アプローチ》に対し、《規範論的アプローチ》から批判的検討を加えてみます。

リーガルマインド年末調整(その1) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 《規範論的アプローチ》: 要件の解釈及びあてはめが必要
 《類型論的アプローチ》: 類型にあたるかだけを判断

【運営公式ガイド(しかた)】(類型)
令和3年分 年末調整のしかた 

【条文】
所得税法190条
1 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)

【要件】(規範)
@ 居住者
A 扶養控除等申告書提出
B 年の確定給与2000万円以下
C Aの提出を受けた支払者が年最後の給与を支払
D 12/31までにCの支払者以外に扶養控除等申告書を提出する見込みがある場合を除く


 以下、「しかた」の類型につき、順不同で検討していきます("○"は対象になるとされている、"×"は対象にならないとされている、という意味です)。


× (8) 本年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人

 要件Bに対応します。
 《要件事実論的思考()》からすれば、勝手に裏返すのは正しい表現ではない、ということは前回述べたとおりです。もちろん、分かりやすさからすればこの書き方でいいと思います。

 「しかた」には「左欄に掲げる人のうち」という限定詞が付加されています。
 これは、この限定詞をつけておかないと「なる人」類型と重複してしまうからです。たとえば、「1年を通じて勤務している2000万円超の人」だと(1)と(8)の両方に該当してしまいそうですが、この限定詞があることにより(8)だけに流し込めることになります。

 これは、類型論で「なる人」「ならない人」の両面を列挙しようとすると、生じる問題です。
 「なる人」類型同士での重複であればいいのですが、「なる人」類型と「ならない人」類型に跨って重複が生じるとあてはめ不能になってしまう、という類型論のイタイところ。闇雲に類型を掲げればいいのではなく、違うカテゴリー間での重複がないようにしなければなりません。

【もれとかぶり】
金井高志「民法でみる法律学習法 第2版」(日本評論社2021)

 なお、この2000万円判定、転職したとか甲乙が混じっているとかの場合にどうやって算定するのか、という問題があります。が、対象者になる/ならないだけを切り離して類型化しているせいで、ここにはその判定方法が書かれていません。

 親切心からの類型化なのであれば、対象者の問題だけでなく、こういった関連問題についてもまとめて書いておくべきだと思うのですが。


× (9) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等申告書を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
× (12) 継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)


 いずれも要件Aからは当然の類型です。(9)と(12)で類型が分断されているのは、乙か丙かの違いでしょうか。

 (9)の書き方は紛らわしい。下記読み方2が正しいのでしょうが、それは予め答えが分かっているからそう読めるというだけです。
 親切心で類型化しているのであれば、アイは別類型にしてあげればいいと思うのですが。

・読み方1
 2か所以上から給与の支払を受けている人で
  ア 他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している人
  イ 年末調整を行うときまでに扶養控除等申告書を提出していない人

・読み方2
 ア 2か所以上から給与の支払を受けている人で他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している人
 イ 年末調整を行うときまでに扶養控除等申告書を提出していない人

 そもそも、乙丙ひっくるめて「年末調整までに自社に扶養控除等申告書を提出していない人」でまとめられるものではありますが。


○ (3) 死亡により退職した人
○ (4) 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人


 通達190-1(1)(3)に掲げられているものです。
 C最後の給与で、D見込みなしなので、当然に対象者となります。



○ (7) 年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます。)
× (11) 非居住者


 要件@に対応します。(7)は通達190-1(2)に掲げられているものです。

 (11)が対象外になるのはいいとして、(7)はなぜ対象になるのか。これは居住者としての最後の給与を受けていた時点で要件を満たしているから対象になる、ということになります。
 要件だけをみてこのような解釈・あてはめをするのは難しいでしょうから、(7)のような類型を掲げることには、一定の意義があるわけです。

 上述のとおり、類型論において「なる人」「ならない人」で重複するのはマズいと書いたばかりですが、(7)と(11)は文言上重複しちゃっています。(11)には、「(7)以外の」という限定詞を付加する必要があるでしょう。

 (7)のカッコ書きに(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます。)という定義が書かれています。
 これ自体は条文をベースにした表現なので間違いということではないのですが、この定義のままでは(7)本文の類型はありえないことになります。

 というのも、非居住者となるのに「1年以上の海外居住」を要求されるのだとしたら、年の中途で出国したとしても、出国から1年経過しなければ非居住者になれないことになります。そうすると、年末調整をする時点ではまだ居住者のままであって、年内に非居住者になることはありえません。

 もちろん専門家であれば、これは「過去1年の実績」ではなく、出国時に「1年以上勤務予定」かで判定されることは知っているわけです。が、この書きぶりでは非専門家には分かりようがない。

 (7)の逆パターンである「年の中途で非居住者から居住者になった人」がどこにも書かれていません。結論的には「対象者になる」のですが、(1)〜(12)のいずれの類型にも当てはまるものがありません。
 また、(1)では「1年を通じて」と期間が明示されているのに、(11)ではどの時点で非居住者だと対象者にならないのかが分かりません。

 最終的な結論としては、
   居住者期間の給与⇒対象
  非居住者期間の給与⇒対象外
と、年内に居住者期間があればその期間が年末調整の対象となるわけです。が、「しかた」の書きぶりではこの結論がでてこない。

 (1)を、(7)(11)と対比して分かることは、(1)は「居住者」の場合だということです。
 「1年を通じて(海外で)勤務している人」は対象外となるわけですが、(1)の書きぶりだとこれが排除されていない。(1)は「1年を通じて(国内で)勤務した人」と書かなければならないはずです。
 他方で、(11)は「1年を通じて(海外で)勤務している人」と書かなければなりません。

 ということで、以上をもれなく・かぶりなく類型化するならば、
  ○ 1年を通じて国内勤務している人
  ○ 居住者→非居住者 (居住者期間が対象)
  ○ 非居住者→居住者 (居住者期間が対象)
  × 1年を通じて海外勤務している人
とする必要があります。
 そして、居住者/非居住者の判定については、出入国時の予定(予定変更があった場合はその時点の予定)で判定することも明記してあげるべきでしょう。


 (2)(5)(6)(10)が残っていますが、思いがけず長くなったので次回にまわします。

リーガルマインド年末調整(その3) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その4) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
posted by ウロ at 10:10| Comment(0) | 年末調整