2022年01月01日

記事一覧

213記事

【日常系税務リーガルマインド】
税理士だって日常系税務でリーガルマインドを実践したい!
親族概念の、いてもいなくてもどっちでもいい奴感
森田宏樹「契約責任の帰責構造」(有斐閣2002) 〜印紙税法における「結果債務・手段債務論」の活用 
内面重視 〜ブログタイトル変更しましたのお知らせ
「リーガルマインドとは何か?」
税法・民法における行為規範と裁判規範(その1)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その2)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その3)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その4)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その5)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その6)
税法・民法における行為規範と裁判規範(その7)
からくりサーカス租税法 〜文言解釈VS趣旨解釈、そして借用概念論へ
アレオレ租税法 〜立案者意思は立法者意思か?

【判例イジり】
解釈の解釈を解釈する(free rider) 〜東京高裁平成30年7月19日判決
加算税をめぐる国送法と国税通則法の交錯(平成29年9月1日裁決)
解釈の解釈の終わり? 〜さらば東京高裁平成30年7月19日判決
横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)
解釈の解釈は終わりました。〜最高裁令和2年3月24日判決【判例速報】
解釈の解釈の介錯 〜最高裁令和2年3月24日判決

【法律書マニアクス】
供え本(法学体系書編)
石田穣「民法総則」(悠々社1992・信山社2014)
人類は、差異を産み育むことでマニアとなる。 〜法律書マニアクス全開
潮見佳男「民法(全) 第2版」(有斐閣 2019)
法学研究書考 〜部門別損益分析論
積読ループ
「法律学大系」(有斐閣) 〜或るstalk。
白石忠志「技術と競争の法的構造」(有斐閣1994)
最近の気になる本

【法学入門書探訪】
横田明美「カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉」(弘文堂2018)
大屋雄裕「裁判の原点:社会を動かす法学入門」(河出書房新社2018)
道垣内正人「自分で考えるちょっと違った法学入門 第4版」(有斐閣2019)
大橋 洋一「社会とつながる行政法入門」(有斐閣2017)
団藤重光「法学の基礎」(有斐閣2007)
伊藤正己「近代法の常識」(有信堂1992)
南野森「ブリッジブック法学入門(第2版)」(信山社2013)
太田勝造「AI時代の法学入門 学際的アプローチ」(弘文堂2020)
南野森「法学の世界」(日本評論社2019)
森田果「法学を学ぶのはなぜ?」(有斐閣2020)

【租税法の教科書】
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅
金子宏・中里実「租税法と民法」(有斐閣2018)
中里実ほか「租税法概説 第3版」(有斐閣2018)
金子宏「租税法 第23版」(弘文堂2019)
岡村忠生ほか「租税法 (有斐閣アルマ) 」(有斐閣2017)
三木義一「よくわかる税法入門 第14版」(有斐閣2020)
渡辺徹也「スタンダード法人税法 第2版」(弘文堂2019)
田中二郎「租税法(第3版)」(有斐閣1990)
浅妻章如「ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか」(中央経済社2020)
酒井克彦「プログレッシブ税務会計論」(中央経済社2018)
「新 実務家のための税務相談(民法編) 第2版」(有斐閣2020)
伊藤滋夫編「租税訴訟における要件事実論の展開」(青林書院2016)
佐藤英明「スタンダード所得税法 第2版補正2版」(弘文堂2020)

【アクティブ・ラーニング】
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民1)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民2)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民3)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民4)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民5)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民6)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民まとめ)

【税務】
あるべき税理士
肩たたき券取引と税務
税金(国税)の納付の仕方(いろいろ)
税金(地方税)の納付の仕方(いまいち)
あえて言おう!カスであると!(被用者・応募者側からみたみなし残業代)
税金(地方税)の納付の仕方(前進)

【法人税法】
税務における事前判断と事後判断 〜所得拡大促進税制の適否判定(また改正するので)
ふたりはプリキュア(後日テコ入れで増員) 〜グループ法人税制のおさらい〜
武器としての所得拡大促進税制 〜労働者にとっての。
ここがヘンだよ所得拡大促進税制 〜委任命令におけるゆらぎとひずみ
さらば所得拡大促進税制(Arrivederci) 〜評判良ければ続くやつ
みんな大好き!倒産防。 〜措置法解釈手習い
「定期同額給与」のパンドラ(やめときゃよかった)
西村美智子 中島礼子「組織再編税制で誤りやすいケース35」(中央経済社2020)

【所得税法】
色々な壁の話し(配偶者控除・配偶者特別控除)2018ver.
年末調整H29
社員割引
出張手当は節税になるのか?
支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について
利子・配当・譲渡所得の課税方式の選択について(2020.2.24現在)

【消費税法】
消費税、免税とるって大変よ、という話(2018.1.11現在のルール)。
特定新規設立法人のインフィニティ感

【相続税法】
パラドキシカル同居 〜或いは税務シュレディンガーの○○
イタチ、巻き込み。 〜家なき子特例の平成30年改正
ヤバイ同居 〜続・家なき子特例の平成30年改正
関場修 山口暁弘「小規模宅地等の評価減の実務 第4版」(中央経済社2018)
タックスアンサーの中の譲歩と抵抗 〜小規模宅地等の特例を素材に
「要件書き込み」は趣旨解釈を駆逐する。〜小規模宅地等の特例を素材に
オーバーホール租税法・序論 〜小規模宅地等の特例を素材に
白井一馬「小規模宅地等の特例」(中央経済社2020)
僕たちは!出戻り保護要件です!! 〜家なき子特例の趣旨探訪1
ぼくたちは出戻り保護ができない。 〜家なき子特例の趣旨探訪2
あの日見た特例の趣旨を僕達はまだ知らない。 〜家なき子特例の趣旨探訪3(完)

【印紙税法】
私法の一般法とかいってふんぞり返っているわりに、隙だらけ。〜契約の成立と印紙税法
Janusの委任 〜成果報酬型委任と印紙税法
続・契約の成立と印紙税法(法適用通則法がこちらをみている)
続々・契約の成立と印紙税法(代理法がこちらをみている)
さよなら契約の成立と印紙税法 (結局いつもひとり)
魔界の王子と契約の成立と印紙税法
二段の推定と契約の成立と印紙税法 〜印紙税法における実体法と手続法の交錯
おかわり契約の成立と印紙税法(法人法がこちらをみている)

【地方税法】
無償減資で均等割下げ(節税系の記事ではなく)

【国際租税法】
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その1)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その2)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その3)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その4)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その5)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その6)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その7)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その8)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その9)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その10)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その11)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その12)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(まとめ)
井上康一・仲谷栄一郎「租税条約と国内税法の交錯 第2版」(商事法務2011)

【会計】
財務分析総論 〜稼ぐ、彼女の如く。
金子智朗「経営分析の超入門講座」(秀和システム2012)

【基礎法学】
「ポケット六法」は総合事項索引を倒さないと本体に攻撃が通らない 〜事項索引 de 勉強法
「法律学小辞典」の「小」は「小スキピオ」の「小」
ホッブズ「リヴァイアサン」 〜彼の設定厨。
田中成明ほか「法思想史」(有斐閣1997)
判例の機能的考察(タイトル倒れ)

【民法】
潮見佳男「新債権総論1・2(法律学の森)」(信山社 2017)
潮見佳男「基本講義 債権各論1 契約法・事務管理・不当利得」(新世社2017)
ユーのネームは。 〜「新注釈民法」と私
前田達明「続・民法学の展開 (民法研究 第三巻)」(成文堂2017)
潮見佳男「詳解 相続法」(弘文堂2018)
平井宜雄「債権各論I上 契約総論」(弘文堂2008)
内田勝一「借地借家法案内」(勁草書房2017)
米倉明「プレップ民法(第5版)」(弘文堂2018)
池田真朗「スタートライン債権法(第7版)」(日本評論社2020)
窪田充見「家族法 第4版」(有斐閣2019)
時効の中断・停止から時効の完成猶予・更新へ
ドキッ!?ドグマだらけの民法改正
どんな子にも親に内緒のコトがある。 〜民法98条の2の謎に迫る(迫れていない)
後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)
加賀山茂「求められる改正民法の教え方」(信山社2019)
内田貴「民法3(第4版)債権総論・担保物権」(東京大学出版会2020)

【会社法・商法】
前田庸「手形法・小切手法入門」(有斐閣 1983)
川口恭弘「金融商品取引法への誘い」(有斐閣2018)
近藤光男「商法総則・商行為法 第8版」(有斐閣2019)
関俊彦「商法総論総則」(有斐閣2006)
小塚荘一郎,森田果「支払決済法 第3版」(商事法務2018)
高橋美加ほか「会社法(第2版)」 (弘文堂2018) 〜付・税理士と会社法の教科書
大垣尚司「金融から学ぶ会社法入門」(勁草書房2017)
大塚英明ほか「商法総則・商行為法 第3版」(有斐閣2019)

【労働法】
下井隆史「労働基準法 第5版」(有斐閣2019)

【民事訴訟法】
新堂幸司「民事訴訟制度の役割」(有斐閣1993)
新堂幸司「新民事訴訟法 第6版」(弘文堂2019) 〜付・民事訴訟法と税理士

【知的財産法】
システム開発における先行者利益について
田村善之「知財の理論」(有斐閣2019)

【破産法】
小林秀之「破産から新民法がみえる」(日本評論社 2018)
美人若女将連続バラバラ租税債権 〜犯人は破産法

【憲法】
大島 義則「憲法ガール Remake Edition」(法律文化社 2018) 〜あわよくばSuccubus。
戸松秀典「憲法」(弘文堂 2015)
ミシェル・トロペール(南野森訳)「リアリズムの法解釈理論」(勁草書房2013)

【刑法】
井田良「入門刑法学・総論」(有斐閣2018)ほか
井田良「講義刑法学・総論 第2版」(有斐閣2018)
井田良「講義刑法学・各論 第2版」(有斐閣2020)
辰井聡子「因果関係論」(有斐閣2006)
裁判所職員総合研修所「刑法総論講義案 (四訂版)」(司法協会2016)
松澤伸「機能主義刑法学の理論―デンマーク刑法学の思想」(信山社2001)
安田拓人ほか「ひとりで学ぶ刑法」(有斐閣2015)
小林憲太郎「ライブ講義 刑法入門」(新世社2016)
藤木英雄「公害犯罪」(東京大学出版会1975)
井田良「犯罪論の現在と目的的行為論」(成文堂1996)
橋爪隆「刑法総論の悩みどころ」(有斐閣2020)

【国際私法】
視野を広げるための、国際私法
多層的請求権競合論と、メロンの美味しいところだけいただく感じの。
野村美明「新・ケースで学ぶ国際私法」(法律文化社2020)

【弁護士と税理士】
弁護士事務所と税理士事務所(似ていない)

【酒撮り】
東洋美人(一番纏 純米大吟醸)【山口】
雄町(天吹・純米吟醸)+ 愛山(天吹・大吟醸)【佐賀】
夢+叶(東薫大吟醸)【千葉】
寿 満寿泉(大吟醸)【富山】
夢穂波(大吟醸)【岩手】
獺祭(純米大吟醸 磨き二割三分)【山口】
浜千鳥(純米大吟醸)【岩手】

【ガジェット】
Logicool G105(ゲーミングキーボード)
Logicool G300s(ゲーミングマウス)
刷り込み−会計ソフトの選び方
開放感−そして携帯端末の思ひ出
架空の思い出 −私とテレビゲームの。
ジオンはあと10年は戦える
モニ旅。 〜ぼくのPCモニター遍歴
Logicool G910R(ゲーミングキーボード)

【メンタル】
メンタル・ロック(mental lock)
「俺がガンダムだ!」
あなたの動機はどこから?
あなたは仕事に何を求めているのか。

【音楽と私】
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル/ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調
シューリヒト&ウィーン・フィル/ブルックナー: 交響曲第9番
カイルベルト&ベルリン・フィル/ブルックナー:交響曲第9番
三上ちさこ「I AM Ready!」 〜付・音楽と私

【日記】
神宮詣
定規か電卓か、いや定規と電卓だ。
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2017
カテゴリラ 〜固めるテンプル
なぜ吸血鬼は自分の血を吸わないのか。 〜AI時代の吸血士のための生存戦略セミナー
ブログURL変更しましたのお知らせ
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2018
ネット古書店 購入お作法(含、小トラブルご報告)
俺のいちごミルクフォルダが火を噴くぜ 2019

【事務所案内】
はじめに
事務所名について
税理士事務所(個人)と株式会社の関係について
はじめます!!!
会社名の由来
なんでブログを書いているの?
サービスと対価(税理士報酬の場合)
圧倒的インプット
押収品
私たちのファームに新しいクルーがジョインしてくれました!!!!!!
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2021年12月31日

供え本(法学体系書編)

 「供え本」(そなえぼん)とは、読まなくてもよいからさしあたり書棚にお供え(備え)しておきなさい、という本です。

 一度も開かないまま、改訂版が出ても逐一悲しまない(繰り返し経験済み)。
 むしろ改訂版を出してくれたことを喜びましょう。
 持っててよかった、と思うときがくるかもしれないし。 

 ラインナップ、万人向けと個人的嗜好との葛藤が垣間見えるかもしれません。

【憲法】
戸松秀典「憲法 」(弘文堂2015)

【行政法】
宇賀克也「行政法概説1 第7版」(有斐閣2020)
宇賀克也「行政法概説2 第6版」(有斐閣2018)
宇賀克也「行政法概説3 第5版」(有斐閣2019)
宇賀克也「地方自治法概説 第8版」(有斐閣2019)
藤田宙靖「新版 行政法総論 上巻 」(青林書院2020)
藤田宙靖「新版 行政法総論 下巻 」(青林書院2020)

【民法】
中田裕康「債権総論 第4版」(岩波書店2020)
中田裕康「契約法 」(有斐閣2017)
奥田昌道,佐々木茂美「新版 債権総論 上巻 」(判例タイムズ社2020)

【会社法・商法】
江頭憲治郎「商取引法 第8版」(弘文堂2018)
黒沼悦郎「金融商品取引法 第2版」(有斐閣2020)

【民事手続法】
伊藤眞「民事訴訟法 第7版」(有斐閣2020)
新堂幸司「新民事訴訟法 第6版」(弘文堂2019)
中野 貞一郎,下村 正明 「民事執行法 」(青林書院2016)

【倒産法】
伊藤眞「破産法・民事再生法 第4版」(有斐閣2018)
伊藤眞「会社更生法・特別清算法 」(有斐閣2020)

【刑法】
裁判所職員総合研修所「刑法総論講義案 四訂版」(司法協会2018)
西田典之,橋爪隆「刑法各論 第7版」(弘文堂2018)

【刑事手続法】
酒巻匡「刑事訴訟法 第2版」(有斐閣2020)
三井誠,酒巻匡「入門刑事手続法 第8版」(有斐閣2020)

【租税法】
金子宏「租税法 第23版」(弘文堂2019)

【労働法】
菅野和夫「労働法 第12版」(弘文堂2019)

【知的財産法】
中山信弘「著作権法 第3版」(有斐閣2020)
中山信弘「特許法 第4版」(弘文堂2019)

【独占禁止法】
白石忠志「独占禁止法 第3版」(有斐閣2016)

【信託法】
新井誠「信託法 第4版」(有斐閣2014)
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2021年01月18日

橋爪隆「刑法総論の悩みどころ」(有斐閣2020)

 分析が鋭利すぎて、刑法学の見えちゃいけない部分が見えちゃっている。



橋爪隆「刑法総論の悩みどころ」(有斐閣2020)


 たとえば、因果関係に関する次のような記述(11頁)。

そもそも危険の現実化が因果関係の判断基準とされるのはいかなる根拠に基づくものだろうか。条件関係が認められても、危険の現実化の関係が欠ける場合に結果帰責を否定すべきなのはなぜだろうか。

この問題に対して理論的に回答することは実は困難であり、実行行為が結果発生の具体的危険性を有する行為である以上、その危険性が具体的結果として現実化した場合に限って、結果帰責を肯定するのが妥当であるという形式的な説明にとどまらざるを得ない。ここでは理論的な限定というよりも、いかなる範囲まで処罰することが刑罰権の行使として適切かという刑事政策的な観点が重視されている。(略)

いかなる範囲までの結果惹起を行為者の「しわざ」として帰責するのが妥当かという社会通念に照らした合理的な価値判断が必要であろう。それだからこそ、因果関係論においては、安定した判断構造を担保するために、具体的な判断基準を明確化する要請が強いといえる。


 理論的な根拠付けは困難だそうで。
 にもかかわらず、学説上はこぞって「危険の現実化」説にのっかってしまっている現状。

 『構成要件は違法有責類型だから折衷的相当因果関係説が妥当』
 『行為は主観と客観の統一体であるから折衷的相当因果関係説が妥当』

 こんな感じの、本質論めいた根拠付けをしていたかつての学説は、一体なんだったというのでしょうか?
 そしてそんな議論に真面目に付き合わされていた、当時の学習者の労苦よ。

 なお、ふたつとも折衷説の記述であることに悪気はなく、下記書籍であげつらわれていたものの引用です(責任転嫁)。

【参照】
松澤伸「機能主義刑法学の理論―デンマーク刑法学の思想」(信山社2001)


 で、本書では実際に、「危険の現実化」をどのような要素を拾ってどのように判断するか、という「下位基準」の開発に記述が割かれています。
 危険の現実化という定式には異を唱えることなく、妥当な結論を導ける下位基準群を提示する、という開発競争が学説のメインストリームになっているようで。

 「妥当な」というのも、処罰すべき/すべきでない、という感覚が先にあって、それら感覚的な結論を整合的に導けるか、というものにすぎないように思われます。
 そしてその下位基準が「危険の現実化」という標語・コトバから離れていなければ、どのようなものであっても特に理論的な制約はないのでしょうし。

 あとは最高裁様に、つまみ食い的にでも採用していただくだけ。

 「感覚的」というのが言い過ぎだとすれば「刑事政策的」に言い換えても構いません。
 が、何かしらのデータに基づく主張でもないので、「刑事政策的に処罰すべき」と「感覚的に処罰すべき」は互換性が保証済み。

 そもそも、「危険の現実化」によってどのような政策目標を達成すべきかが特定されていないのならば、いかなるデータを収集すべきかも決めようがありません。
 たとえば、「特別予防」を目的とするならば、過去に有罪認定された者がどのような影響を受けたかのデータを収集すべき、となりますし、他方で「一般予防」を目的とするならば、処罰/不処罰によって一般人にどのような影響を与えたかのデータを収集すべき、といったように。

 本来ならば「処罰目的論」のところで、刑法がいかなる政策目標を達成すべきかを決め打ちしなければならないはず。のに、特別予防・一般予防・応報などがああでもないこうでもないと列挙されるものの、結局どれでいくのかはっきりさせない教科書がほとんど。
 ので、個別論点において「処罰すべき/すべきでない」といったところで、なぜそのような結論をとるべきなのか、「ぼくが、そうするべきだと思ったから。」以上の根拠を示すことができない。

 「危険の現実化」のような理論的な根拠が弱いものを基準とするならなおさら、理論面からも根拠付けすることができなくなるわけです。危険の現実化のお膝元でどれだけ精緻な下位基準を並べたところで、大元の根拠が弱いことに変わりはない。
 結局のところ、「みんな」が納得する結論を導けるかどうか、でしか決めようがなくなる。

 ここまでいくと、理論派の人には敬遠されがちですが、前田雅英先生がいうところの「国民の規範意識」とかいう例のアレと同じですよね。
 どのような事実的連関があれば結果を行為に帰責してもよいと「国民が思うか」とか、行為者にどのような認識があれば故意責任を帰責してよいと「国民が思うか」で、犯罪要素の中身を決定するという(学生時代に読んだきりでうろ覚えなので、前田説そのものではなく「モデル論」としてご理解ください)。



前田雅英「刑法総論講義 第7版」(東京大学出版会2019)


 と、刑法学者がこぞって下位基準の開発競争に興じているのが現状のようですが、そもそもこれって「実体法」レベルの問題なんですかね?
 危険の現実化という実体法レベルの要証事実を判断するための「間接事実」の問題にすぎないのではないのかと。
 これはもはや「事実認定論」の領域。

 もしそうなのだとしたら、これまでの実体法と地続きで議論するのではなく、ちゃんと正面から「事実認定論」の成果を取り入れた形で論じてほしいところ。


 ちなみに、上述した前田雅英先生の見解のところでふれた「国民が思うか」という鉤括弧の中身について。

 こんなもんどうやって判断するんだよ、と思うところですが、前田先生は、これまでの裁判官の判断は信頼できる、として裁判官の判断に全面的に委ねているようにみえます(私の誤読がなければの話)。

 このことを正面から反映して記述するならば、

  どのような事実的連関があれば結果を行為に帰責してよいと『「国民が思う」と裁判官が思うか』

という入れ子な感じになるのではないかと思います。

 裁判の都度、実際に「国民」の人たちに、裁判記録一式を持参してご感想を聞いて回ることなどできるわけもなく。
 結局のところ、裁判官が「国民がどう思うか」を判断することになるので、こういう入れ子構造になる。

 なお、「裁判員裁判」もありますが、裁判員は国民の極々一部の人にすぎないので、ここでは裁判官側に組み入れられる(吸収される?)ものなのでしょう(さらに裁判の民主化なるものを先鋭化していくと、「インターネット裁判」という構想に向かうのでしょうか)。

 どれだけ純客観的な見解であっても、結局のところ「裁判官が思うか」で判断されることに変わりはありません(ここが「AI裁判官」に代替されれば別の議論になります)。
 前田説の特色は、そのことを実体法の議論に正面から持ち出したということと、「(国民が)思う×(裁判官が)思う」の重ねがけになっているというところ。

 危険の現実化という規範風のものに理論的な根拠がないとしても、「危険の現実化」というコトバの範囲に含まれるか、という程度の枠としては機能しています。
 他方で「国民の規範意識」というコトバには何の手がかりもない。ハードケースに対して裁判官が「これが国民の規範意識だ」と判断したとして、なにがしかの検証を行うことは不可能。

 「自分には妖精がみえる」というのと同等の、検証不能案件。
 我々が見えていないだけで本人には本当に見えているのかもしれません。だとしても、それは本人にしか分からない。

 なお、他人事みたいな顔しているかもしれませんが、不能犯のところの「具体的危険説」なども、妖精案件だと私は思っています。
 「一般人が危険と感じる」って、どうやって実証するんですか、と。これも全面的に裁判官が「一般人ならこう思う」と思うところにおまかせするしかない。

井田良「講義刑法学・総論 第2版」(有斐閣2018)

 「国民」も「一般人」も、概念としては存在するものの、観測しようとすると存在していないことになる。
 例の量子論の世界でしょうか。

パラドキシカル同居 〜或いは税務シュレディンガーの○○

 本来はここに「理論」を導入することで白黒つけるべきなのでしょう。が、現状はその「理論」が不在という状況。


 話を戻して、私が思うに「危険の現実化」などという定式は、学説が「つかえる」因果関係論を提示できなかったことから産み出された暫定基準のようにみえます。
 さしあたり特定の処罰目的論を前提とすることなく、妥当な結論を柔軟に導くことができる実務家の知恵のようなもの。

 のに、学説までもがこぞって最高裁の下請け作業に明け暮れているのだとしたら、とても違和感があります。
 学説がやるべき本来の仕事は、裁判所が暫定基準でしのいでいる間に、「つかえる」因果関係論を確立することではないのでしょうか。
 もちろん、さしあたりの下位基準の開発作業も進めつつでもいいのですが、それは決して本業ではない。


 「因果関係論」で代表させましたが、以降の論点も総じて、下位基準による判断手法の精緻化が志向されています。
 グランドセオリーについても一応議論のご紹介はあるものの、かつてほど重きは置かれておらず、主戦場は下位基準レベルの議論。
 おかげさまで、どういう立場の人が読んでも参考になってしまう(いい事ですね)。

 もし仮に、因果関係論が「危険の現実化」という看板からすげかわったとしても、下位基準そのものはどうとでも流用可能なもの。
 従前の相当因果関係説で議論されていた事柄のうち、純理論的な対立を除いた部分を危険の現実化に流用できるのと同じ。無残にも破壊され尽くされた相当因果関係説の残骸から、使えるパーツを取り出して危険の現実化に組み込むイメージです。

 規範の論証薄めであてはめ重厚な、今様の模範答案を書くには最適な参考書だと思います。


 以上、刑法解釈論を、ガチではなく「お勉強」「頭の体操」として嗜んでいた身からすると寂しい限りですが、実務寄り添い系な今どきの傾向からすれば、当然の流れなのでしょうね。

 一応未来予測をしておくと、藤木英雄先生級の超天才が現れて、ちゃんと理論的基礎を備えた因果関係理論を定立してくれるのではないか、と期待しております。
 前田説がガチガチの刑法理論を溶かしっぱなしにしたものを、しっかり組み立て直してくれる感じの。

藤木英雄「公害犯罪」(東京大学出版会1975)
posted by ウロ at 11:50| Comment(0) | 刑法

2021年01月11日

森田果「法学を学ぶのはなぜ?」(有斐閣2020)

 むしろなぜ、このような法学入門書が今まで出版されてこなかったのか。



森田果「法学を学ぶのはなぜ?」(有斐閣2020)

 なにが「むしろ」なのかといえば、法の「機能」に絞った記述がなされた法学入門書というのが、なぜ今までに出版されていなかったのか、ということです。
 大家の総決算系は別として、ほとんどの法学入門書が「知識陳列系」でした。

【総決算系】



団藤重光「法学の基礎 第2版」(有斐閣2007)
三ケ月章「法学入門」(弘文堂1982)
星野英一「法学入門」(有斐閣2010)
田中成明「法学入門 新版」(有斐閣2016)
五十嵐清「法学入門 第4版 新装版」(日本評論社2017)


 全くの前提知識や社会経験がない人を法学に誘おうと思ったら、本書のように徹底して法の機能面を重視した記述することになるはずなのですが。
 知識の陳列は、入門したあとの個別の実定法ごとにやればいいわけで。

 やはり「法学入門」という名前で出版されている大部分の書籍が、法学部以外の学部で実施されている『法学』という名前の講義用のテキストだから、なんですかね。


 今までですと、オススメの法学入門書を尋ねられても、それぞれの勉強目的を確認してからでないとお答えしづらいところでした。
 これからは、とりあえずこれを読め、ということにします。

 総決算系のように「分からない箇所があったら一通り勉強してから再読しましょう」といった注意をすることなく、「前から順番に理解しながら読んでいきなさい」ということができますし。

 なお、森田果先生といえば、下記記事でも「機能」重視の書籍を紹介していますね。

小塚荘一郎,森田果『支払決済法 第3版』(商事法務2018)


 ところで、異様に《胴ロング男子》な表紙イラストはどういう意図なのか。
 アマゾン書影だとしっかり帯で隠されていますが、帯をめくっていただくと、頭1個分身長の低い隣の女子と腰の位置が同じで、すごい違和感を味わえますよ。

 まさか、そういう仕掛け本ですか。

 道垣内正人先生の入門書でもそうでしたが、惹きのある個性的なイラストを載せるノルマでも、あるんですか。

道垣内正人「自分で考えるちょっと違った法学入門 第4版」(有斐閣2019)

 まったくの無関係ですが、下記のようなガチの美麗なイラストを表紙にしている法学書もある中で、わざわざ上記のような特色のあるイラストを採用する理由を、ぜひ知りたい。



 大島義則「行政法ガール2」(法律文化社2020)

 これがおしりたんていさんみたいに、イケメンかつおしり顔であることに物語上意味がある、のであれば分かります。
 「なんでおしり顔なんだよ!」などとイチャモンをつけるような野暮なことはいたしません。



 トロル「おしりたんてい」(ポプラ社2012)

 が、本書では、胴ロング男子がその胴ロングを活かした法解釈を展開する、などといった物語(Tails of Legal Long-Torso)では決してないわけで。
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2021年01月04日

南野森「法学の世界」(日本評論社2019)

 法学入門の、ひとつの望ましい形。



 南野森編「新版 法学の世界」(日本評論社2019)

 各科目10頁程度で、各法領域を専攻する研究者が当該法領域の面白い(と各執筆者が考える)ところを語る、というもの。
 概説的な情報の陳列は少なめで、ポイントを絞った記述がメイン。

 こういうコンセプトこそが、文字通りの『入門』と呼ぶにふさわしい。
 のに、タイトルに「入門」を入れていないのは、既存の、情報陳列系の『法学入門』とは一緒にされたくない、ということですかね。タイトル汚染されてしまっているということで。


 人によって面白いと感じる科目は違うと思うので、通読はせずに気になるところから拾い読み、でいいと思います。
 で、面白そうな科目があれば、当該科目を履修選択するなりして深く学んでみるとか。

 あるいは、すでに選択してしまった、とか必須科目だが面白さが分からない、といった科目を読んでみたり。


 ただし、法学が厄介なのは、教える人によって面白い/つまらないが大きく可変すること。
 なので、誰から教わるか(誰の本を読むか)が極めて重要。

 科目の特性、というものもあるのでしょうが、どちらかというと、専ら、教えてくれる人に依存しているように感じます。
 この本読んで「○○法、面白そうだな。」と思っても、自分の大学の授業はそれほどでもなかったり、とかはいくらでもありうる。

 本書には「学習ガイド・文献案内」もあるので、一応のルートは示してくれています。
 が、総じてレベルが高めなので、段階的学習にはなりにくい。

 旧版と新版で執筆者をごっそり入れ替えているのは、同じ科目でも執筆者が変わればそれが刺さる人も変わってくる、というのもあるんでしょうね(ただし、全とっかえではない)。
 


 南野森編「法学の世界」(日本評論社2013)


 このようなコンセプトからすると、どう考えても「一見さんお断り」感を出しすぎな科目があるのはどう捉えればいいのか。

 これは「一見さんお断り」な感じを逆に面白いと感じる人を選び出す儀式(Initiation)でしょうか。
 うっかり軽い気持ちで科目選択してしまうのを予め防いでくれていると。
 科目選択におけるミスマッチ、どちら側にとっても不幸ですからね。

 そういうゲートとして機能させる、ということであれば、それもある意味で「入門」と呼んでもよいのかもしれません。
 むしろ「門」というのはそういうものですか。


 個人的には、「刑事訴訟法」(緑大輔先生執筆)のところが気になりました。
 
 たまたま、鴨良弼先生の『刑事訴訟における技術と倫理』を読んだばかりだったのですが、唐突に同書が引用されていました。



 鴨良弼「刑事訴訟における技術と倫理」(日本評論社1964)

 同書(所収の論文)は、刑事訴訟に倫理や信義則を導入して訴訟当事者の関係を規律しようというものです。

 出版は56年前。
 当然のことながら、鴨先生ご自身の問題意識は、当時の問題を解決しようということにあるのでしょう。

 この考えを現代にもってきたらどうなんだろう、とかいうことを妄想していたら、いきなり紹介がされていたのでびっくり。
 まさか入門書に鴨先生の著書が出てくるとは思わないじゃないですか。

 というか、教科書や体系書にだって、こういう基礎理論系の議論はほとんど出てこない気がしますし。

 刑事訴訟法は、緑先生ご自身の入門書があるので、次に読むべき本が明確ですね。



緑大輔「刑事訴訟法入門 第2版」(日本評論社2017)


 「刑法」(和田俊憲先生執筆)では、刑法学における想像・妄想の重要性が説かれています。

 おっしゃるとおりで、読み物としても、過去の裁判例の分析ばかりが展開されたものよりも、限界事例(あるいは限界はみ出た事例)についてあれこれ検討したもののほうが、面白いと感じるはずです。

 それが実務で役に立つかといわれれば、「直近では」役に立たない、というだけでしょう。

 和田先生も、ご自身の入門書がありますね。



和田俊憲「どこでも刑法 #総論」(有斐閣2019)
辰井聡子 和田俊憲「刑法ガイドマップ(総論)」(信山社2019)


 「労働法」(大内伸哉先生執筆)では、これからの労働構造の変革を見据えると(旧来の)労働法の展望は明るくないよ、といった趣旨のことがぶっちゃけられています。

 各科目への勧誘とすべきはずの入門書でそれ書いちゃいますか、と思わなくもないですが、変に良いところだけを強調するよりも、現実を教えてくれるのは誠実なのかもしれません。


 「国際私法」(横溝大先生執筆)では、石黒一憲先生と道垣内正人先生の著書を対比させながら読め、ということが書いてあるのですが、もう少し対比させるための補助線を書いておいてほしいところ。

 私自身もまさにそういう入り方をしたのですが、ほとんど前進できていないわけで。

野村美明『新・ケースで学ぶ国際私法』(法律文化社2020)


 ちなみに「租税法」(神山弘行先生執筆)は比較的堅実。
 具体例や数字が全然出てこないので、特色らしい特色を感じにくいかもしれません。

 なお、私自身の考えは「数字」の中にこそ税法の面白さが詰まっている、というのが持論。

三木義一「よくわかる税法入門 第14版」(有斐閣2020)
posted by ウロ at 13:52| Comment(0) | 法学入門書探訪