2019年02月25日

中里実ほか『租税法概説 第3版』(有斐閣2018)



 初版がでた当時(2011年)に買ったものの、理解できなすぎて積読していました。
 第3版がでたということで再チャレンジ。

 私個人としては、それなりに実務経験を積んでいるおかげで、自分なりにイメージをしながら読めたので、かなり理解できるようになっていました。
 が、やはり初学者が独学用に使うのは無理だなあ、という感想。

 タイトルに「概説」とありますが、概説書としては詳しめ、独学書としては記述不足、といった微妙な立ち位置。
 文字数制限あるなかで、幅広い領域を万遍なくカバーしようとすると、そうならざるをえない(よくあるパターン)。

 やはり、大学の講義のお供用というのがメインの利用方法なんでしょうね。


 共著なせいで、どうも記述が一定しない。
 所得税・消費税あたりは具体的な数字を使った説明が多めなので、理解しやすいです。
 が、それ以外の箇所は抽象的な記述が多め。

 専門用語も、しっかり定義づけが書かれていないのが、独学書としてはイタイ。
 第二次納税義務とか保税地域とか、その他諸々。

 みんな大好き『法律学小辞典』をご購入ください、ということですか。



「法律学小辞典」の『小』は「小スキピオ」の『小』


 「タックスプランニング」と題するコラムがあって、法人が合弁会社から抜ける方法として、株式譲渡、配当、自己株式取得といった手法の税務上のメリット・デメリットを、具体的な事例・数字を使って比較しています。

 これ、私も今なら理解できるんですが、初学者が理解するには難しすぎる。
 しかもですけど、この本の法人税法の(特に「資本等取引」の)箇所をいくら読んでも、この事例を理解できるようにはなっていない。


 このブログでは、基本的に中身の当否について書くことはないんですが、どうしても違和感バリバリな記述があったので、指摘しておきます。

 「組織再編税制」における適格要件で、支配継続要件は再編時の「見込み」で判断されることになっています。
 この要件について、この本では

 「事後の事情を考慮しないという意味で、法的安定性を重視した結果として評価できる」

と書いてあります(202頁)。

 けども、支配関係が継続する見込みがあるか、というのは将来予測なので、「事後の事情」を考慮していないわけではないですよね。
 考慮する「時点」は再編時ですが、そこで考慮される「事情」は現時点からみた事後のものです(判断する「事情」と「時点」の混同)。

 また、再編してから数年後に、事情がかわって支配関係が継続できないことになった場合でも、再編時には継続の見込みがあったわけなので、《適格神》(God of Tax-qualification?)の視点から見れば適格要件満たすと判断できます。
 が、税務調査が入れば、「はじめからそのつもりだったんでしょ」と否認される可能性が当然あるわけです。

           再編時    数年後
  ○適格神の目→ 継続見込みあり  終了 ←調査官の目×

【神シリーズ】
 後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)

 再編時に継続見込みがあればその後の事情に左右されない、と形式的にはいえるものの、「見込み」という表現のせいで、実際の運用はそうすっきりとはいかないということ。

 さらにいうと、ここでは「数年後」と書きましたが、一体何年あければ支配関係終わらせていいのかも不明確です(更正期間終わるまでですかね)。
 たとえば、「合併して事業立て直して、10年後には分割して他所様に売る」みたいな再編計画だった場合はどう判断されるのか。10年継続の見込みをもって適格要件満たすといえるのか、10年後だろうが継続しないことになっているということで満たさないことになるのか、謎なんですよね。

 また、上記事例とは逆に、

           再編時    数年後
  ×適格神の目→ 継続見込みなし 継続中 ←調査官の目○?

と、再編時は継続予定なかったのに、事情がかわって継続することになった場合、適格要件満たさない、という結論になってしまいますが、これでいいのかどうか。
 結果的に含み損益実現すべき状態にならなかったわけで。

 ということで、適格組織再編を実行する際には、「再編時点ではそのつもりがない」ことを示す資料をしっかり揃えておく、という余計な作業が発生します(通常の再編計画に、そういう視点からの資料を付け加えないといけない)。

 もしこの要件が、

  「再編後5年間は継続必須。ただし、特別の事情がある場合はこの限りでない。」

とかなっていてくれれば、とにかく5年まてばあとは自由ということで、「法的安定性」が保たれるわけです。
 で、どうしてもはやく支配関係終わらせたい人だけ、但書で勝負かければいいと。

 「法的安定性」てこういうことだと、私は思うんですけど、「日常系組織再編税制」を扱っている我々のような者とは、見ている景色が違うんですかね。
 少なくとも、「見込み」のような、事情と時点をずらすときにでてくるテクニカルタームを使った要件をみて、「君、法的安定性あるね」なんて、よっぽどのことがないかぎり言えないと思うんですけど。

【イリュージョン法的安定性】
金子宏・中里実『租税法と民法』(有斐閣2018)


【不確定概念追放運動】
加算税をめぐる国送法と国税通則法の交錯(平成29年9月1日裁決)


 以上、これはあくまでも独学者が独学書として使えるか、という立場からのもの言いです。
 
 私が、「税法学」の個別領域で、独学者でも頑張れば読める本としておすすめしているのは、以下のもの。
 うち、国際租税法は、扱っている問題自体が難しいので、他の領域をしっかり理解してからになりますが。

  ・所得税 佐藤英明 「スタンダード所得税法」
  ・法人税 渡辺徹也 「スタンダード法人税法」
  ・資産税 なし
  ・消費税 なし
  ・地方税 なし
  ・国際税務 増井良啓,宮崎裕子 「国際租税法」



 佐藤先生の本が出るまでは適切な教科書がなかったですし、渡辺先生の法人税法の本にしても最近でたばかりなわけで、どなたか早急な穴埋めお願い申し上げます。
 特に、消費税法のわかりやすい理論書の誕生が強く望まれる。

 なお、増井先生の「租税法入門」は、タイトルに「入門」とあるものの、なかなか読み応えのあるものなので(私は初見殺しだと思う)、佐藤先生の所得税法、渡辺先生の法人税法を読んで、しっかりベースを作ってから挑むのが望ましい。

posted by ウロ at 12:42| Comment(0) | 租税法の教科書

2019年02月18日

大橋洋一「社会とつながる行政法入門」(有斐閣2017)



大橋 洋一  社会とつながる行政法入門 (有斐閣2017)

 入門書の、理想のかたちのひとつ。

 身近な事例を題材に、行政法の基礎概念を学んでいく本。
 どんな事例かというと、目次をコピペ。
 行政法総論と行政救済法をひと通りカバーしてます。

【目次】
1 ライフサイクルと行政法●行政法への招待
2 ごみ屋敷対策●法律による行政の原理を学ぶ
3 一発レッドカード●行政上の一般原則を学ぶ1
4 卑弥呼のライバル登場●行政上の一般原則を学ぶ2
5 お年寄りと子どもを守れ●行政行為を学ぶ
6 水際作戦と孤独死●行政手続を学ぶ
7 保育所落ちたくない●行政基準を学ぶ
8 マンション選びクイズ●行政計画を学ぶ
9 江戸の敵を長崎で討つ●行政指導を学ぶ
10 活かされなかった教訓●事実行為を学ぶ
11 太閤殿下にあこがれて●行政上の義務の実効性確保を学ぶ
12 いじめ事件の真相に迫る●情報公開法を学ぶ
13 タヌキの森はいま●行政訴訟を学ぶ1
14 少女の夢●行政訴訟を学ぶ2
15 ごみ処理の悩み●行政訴訟を学ぶ3
16 生活の糧を守る●行政上の不服申立てを学ぶ
17 ピラミッド崩壊●国家賠償を学ぶ
18 津波から命を守る●損失補償を学ぶ

社会とつながる行政法入門(有斐閣のサイト)


 ただ、事例と基礎概念の説明がメインで、論点チックな記述がほとんどないので、行政法「学」の、学問としての面白さはあまり感じないかもしれません。

 ので、この本で基礎固めをしたら、溢れないうちに上位の教科書に進むのがベスト。
 この本のおかげで、基礎概念に対するイメージづくりがしっかりできているはずなので、抽象的な記述が多い本でも、具体的な事例を思い浮かべながら読み進めることができると思います。

(なお、この手の本における「Coffee Break」と第するコラムのブレイク感の無さは異常。本文とゴリゴリ地続きじゃないですかと。)


 大橋先生的には、そのまま自分の教科書に進んでもらうのがスムース、ということかもしれませんが、私はこの本読んでから藤田宙靖先生の『行政法総論』を読み直したくなりました。



大橋洋一 行政法1 現代行政過程論 第4版 有斐閣2019
大橋洋一 行政法2 現代行政救済論 第3版 有斐閣2018
藤田宙靖 新版 行政法総論 上巻 青林書院2020
藤田宙靖 新版 行政法総論 下巻 青林書院2020

 大橋先生の1が行政法総論、2が行政救済法、藤田先生が一冊で行政法総論+行政救済法なので、ちょうどおなじ範囲をカバー。奇しくも値段も同等(と書いていたのですが、後者が2分冊となり値段もアップ)。

 ちなみに、初学者の方は、普通の教科書へ行く前に、藤田宙靖先生の『行政法入門』を一回挟んだほうがよいかも。
 こちらの本は基礎理論重視なので、大橋先生の入門書では手薄な理論の部分を学ぶことができます。



藤田宙靖 行政法入門 第7版 有斐閣2016
posted by ウロ at 10:19| Comment(0) | 法学入門書探訪

2019年02月11日

潮見佳男『詳解 相続法』(弘文堂2018)



潮見佳男 詳解 相続法 弘文堂2018

 相続法が改正されまして。

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)(法務省)

 内容が重要なのは当たり前として、実務的に気にしないといけないのが「施行日」。

 で、こんな感じ。

  1 2019.1.13 相続法A 自筆証書遺言
  2 2019.7.1 相続法B 下記以外
  3 2020.4.1 相続法C 配偶者居住権
  4 2020.7.1 相続法D 遺言保管法

 1はもう施行済み。
 債権法の改正が3と同じ日なんですね。

  3’2020.4.1 債権法

 この差し込みっぷりをみて想起されたのが、前に紹介したこの本。

近藤光男「商法総則・商行為法 第8版」(有斐閣2019)

 そこでは、先走って債権法改正後の世界だけを描いてしまったため、運送・海商法改正との不整合が生じてしまっていることを指摘しました。

 潮見先生のこの本では、例によって4以降の世界を中心に描かれています。
 ではありますが、今後、4以前に施行日がくる改正が差し込まれないかぎり、この本がおかくなることにはなりません。


 問題は、『(全)』のほう(※その後、改訂されましたが記録として残しておきます)。

潮見佳男『民法(全)第2版』(有斐閣 2019)
 
 こちらの本では債権法改正後の世界を描いているわけですが、出版時期の関係から当然のことながら、相続法の改正には触れられていません。

 ので、施行を○、未施行を×とすると、

  (全):債権法○ 相続法ABCD×

となっているわけですが、現実の施行状況を時系列にそって並べると、

   〜1 債権法× 相続法ABCD×
  1〜2 債権法× 相続法A○、BCD×
  2〜3 債権法○ 相続法AB○、CD×
  3〜4 債権法○ 相続法ABC○、D×
  4〜  債権法○ 相続法ABCD○

となって、(全)は、現実のどの時点とも一致しないわけです。

 下記記事でもさんざんイジり倒しましたが、1冊本の役割は当該領域を一体として理解できるのがメリット、と思っているので、こういう不整合は早めに解消しておいてほしいです。

後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)

 内容については、ボリューミーで読み終わってないので、また後日。
posted by ウロ at 11:58| Comment(0) | 民法

2019年02月07日

支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について

 たとえば報酬等の支払調書の「支払金額」の欄、発生ベースなの支払ベースなの、という話題があって。

 関連条文拾ってみるとこんな感じ。

・所得税法 225条1項
 「支払の確定した」

・所得税法施行規則 第84条2号
 「その年中に支払の確定した報酬等の金額」

・所得税法施行規則 別表第5(8)2
(4)「支払金額」の項には、その年中に支払の確定したものを記載し、支払調書を作成する日においてまだ支払つていないものについては、これを内書すること。
(5)「源泉徴収税額」の項には、その徴収される税額を記載し、支払調書を作成する日においてまだ支払つていないため徴収していない税額があるときは、これを内書すること。

 この「支払の確定した」という言い回し、どっちとも読めますよね。
 たとえば、

・発生ベース読み
 目的物の受領が完了したので、来月末に支払いをすることが確定したよ。
・支払ベース読み
 でも、支払日がくるまでは、実際に支払うかどうかは確定しないよ。


 個人的な見解としては、

・原則として支払ベースで計上する。
・ただし、
 A 契約上の支払日が月末日で銀行休業日の場合は翌営業日となっている
 B 支払期限は年中なのに遅延している
などの場合は、支払金額に含めた上で、調書作成時点でもまだ支払ってないなら内書する

ということかなあと。
 ネーミングするとしたら、支払「期日」説ですかね。

 Aのほうは、いわゆる「たまたま説」からの着想です。

【たまたま説とは】
ここがヘンだよ所得拡大促進税制 〜委任命令におけるゆらぎとひずみ


 私の勝手な体感からすると、税理士事務所において、

・経験が浅い人 ⇒支払ベースで集計する
・それなりに経験積んだ人 ⇒発生ベースで集計する

とやっている感じがします。
 いずれにしても、明確な根拠があってそうしてる、ということではなく。

 最初は、「支払」って書いてあるんだから支払ベースでいいんでしょ、というところから入って、どうやらこれ、個人事業主の人が確定申告のために使ってるらしいぞ、ということで発生ベースで集計してあげるようになる、という流れ。

 や、勝手な邪推です。


 ちなみに、「給与所得」の源泉徴収票は、みんな当たり前に「支払」ベースで集計しています。
 (+Bの未払分も。Aは「たまたま説」の記事でも触れましたが、給与の場合、法律の建前上はありえないはず)

 実際、条文見てみればわかるんですけど、給与のほうもまるっきり同じ、「支払の確定した」て文言なんですよね(法226条1項、規93条1項3号、別表第6(1)2(3))。
 のに、「報酬等」に関しては見解が別れているという謎の現象。

 給与なんて労働基準法で手厚く保護されてたり一般先取特権がついていたりと、普通の報酬債権と比べたら支払いの確実性は高いはず(比べたら、です)。
 なんだから、給与が支払日をもって確定というなら、報酬のほうだって支払日まで確定しない、といってもいいような。


 他方で、通達をみてみると、配当とか役員賞与における「支払の確定した日から1年を経過した日」の解釈にからんで、年度帰属のルールを引用しています。

181−5 法第181条第2項に規定する「支払の確定した日から1年を経過した日」とは、その支払の確定した日(36−4に定める日をいう。)の属する年の翌年の応当日の翌日をいうことに留意する。
183−1 法第183条第2項の規定する「支払の確定した日から1年を経過した日」とは、その支払の確定した日(36−9に定める日をいう。)の属する年の翌年の応当日の翌日をいうことに留意する。

 ではあるんですが、「じゃあ報酬も同じだろ」(類推解釈)なのか「書いてないから違うんだろ」(反対解釈)なのか、どうにも決め手にならない。


 あれこれ書きましたが、単なる頭の体操であり条文解釈手習いにすぎなくって、結論的にはどっちかに決めといてレベルの話です。
posted by ウロ at 16:17| Comment(3) | 所得税法

2019年02月04日

視野を広げるための、国際私法

 民法とか刑法とかの勉強ばかりしているときに、気分転換にいいのが国際私法。
 真面目に勉強している人には失礼な話ですが。

 「国際私法」というのは、たとえば、日本人甲さんとA国人乙さんが結婚する場合にどこの国のルールに従うか、とか、前に道垣内正人先生の入門書を紹介したときにあげた国際特許紛争とか、そういうのを扱っている分野です(道垣内正人先生は国際私法が専門分野)。

道垣内正人「自分で考えるちょっと違った法学入門 第4版」(有斐閣2019)

 「法の適用に関する通則法」という、日本国内の法律の解釈論がメインどころなので、そういう意味では他の法分野と同じといえば同じです。

法の適用に関する通則法(e-Gov)

 が、そもそもどこの国の法律を適用するか、というレベルの話なので、考慮すべき要素が民法とか刑法とかの「実質法」とはだいぶ違ってくるわけです。
 国際私法上の公序とか国際私法上の利益衡量とか、あえて実質法上のそれとは違うことが明示された言葉がでてきますし。

 ので、法律の勉強でありながら、「実質法」とは違った発想が必要になってきます。
 し、各論点ごとに、実質法上の考慮とは混同してはだめ、と諌められることにもなっています(ある論者が他の論者にそういう批判しておきながら、他の論点では自分が混同した主張をしていたりとか、混線具合にクラクラしたりすることも)。

 あと、実質法の勉強をしているときも、たとえば、2017年の民法改正(債権関係)が

 「生命身体侵害の損害賠償請求権の消滅時効、債務不履行と不法行為で同じ期間に揃えてやったぜ、いえーい!」

とかイキっているのに対し、

 「それ、準拠法が不法行為は日本法、債務不履行は外国法とかになったら飛んじゃうよね」

とか、ちょっと違った視点で考えることができたり(さらに「請求権競合」の問題もありますが)。

 ちなみに、実質法と国際私法の関係について、道垣内正人先生の論点本(下の本の総論のほう)では、実質法を「蟻」、国際私法を「鳥」に喩えています。
 わざわざベージの下部に蟻、上部に鳥のイラストまで添えて。
 鳥がすげえ見下ろしている感じの。しかも蟻がやたら小さい。

 この喩え、実質法の学者の皆さんからは猛烈に怒られそうですが、どうなんでしょう。

 しかも、生き物に喩えたせいで、よくよく考えると蟻側がグロテスクなことに。
 虫とか苦手なので、わざわざ書きませんけど、準拠法決定の流れを書いておきますので、心に余裕のある方はちょっと想像してみてください(やめたほうがいい)。

【準拠法決定のプロセス】
 1 当該事案を通則法が定める「単位法律関係」に分解する
 2 それぞれの単位法律関係ごとに指定された「連結点」を確定する
 3 それぞれの連結点が指し示す「準拠法」を特定する
 4 それらをつなぎ合わせた適用結果が「公序」に反する場合は結論を調整する



道垣内正人 ポイント国際私法 総論 第2版 有斐閣2007
道垣内正人 ポイント国際私法 各論 第2版 有斐閣2014


 勉強の仕方として、今では、神前禎先生のわかりやすい「入門書」があるので、入りやすくなってます。
 第1部で通則法について、第2部で国際民事手続法について、で、第3部でそれら知識を具体的な仮想例にあてはめていく、という流れで、とても理解しやすい。



神前禎 プレップ国際私法 弘文堂2015

 ちなみに、この「プレップ」シリーズ、古い本含めて良書揃いです(当ブログは弘文堂の法学書に対して毀誉褒貶が激しい)。

プレップシリーズ(弘文堂)

【毀貶】
後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅

【誉褒】
【書評】横田 明美「カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉」(弘文堂2018)
戸松秀典『憲法』(弘文堂 2015)


 で、「教科書」や「演習書」についても良い本が出てきているので学習はしやすくなっています。
 たとえば、



神前禎ほか 国際私法 第3版 (有斐閣アルマ) 有斐閣2012
櫻田 嘉章ほか 演習国際私法 CASE30 有斐閣2016
中西 康ほか 国際私法 第2版 (LEGAL QUEST) 有斐閣2018


 が、ですよ、通則法成立以降、重厚な「体系書」というのが出ていない。
 なんか、大御所が出してくれないと中堅どころも出せない、みたいな呪いでも罹っているんじゃないかと思うくらい。

 極個人的には、石黒一憲先生の本がオススメなんですが、これを体系書といってよいのかどうか。
 形式面でいうと、確かに鬼のような注釈数ですが。



石黒 一憲  国際私法 (新法学ライブラリ) 新世社2007

 が、ガチの体系書は、1989年法例改正よりも前に出版された、こういう本のことをいうわけだし。



石黒 一憲 現代国際私法〈上〉 東京大学出版会1986

【請求権競合論について】
 多層的請求権競合論と、メロンの美味しいところだけいただく感じの。
posted by ウロ at 11:32| Comment(0) | 国際私法