2024年06月10日

定期同額給与(手取り同額型)と定額減税(その1)

 定額減税の対象となるような役員に対して、「手取り同額型」を採用しているところが実在しているのか、私は寡聞にして存じ上げませんが。

 以下では、「定額減税」との関係にかぎらず、「手取り同額型」の条文の中身を整理しておきます。以前整理した「3ヶ月以内改定」よりはシンプルなはずです。

「定期同額給与」のパンドラ(やめときゃよかった)


 まずは大元の法人税法から。例によって大胆に省略入れていきます(以下同様)。

法法 第三十四条(役員給与の損金不算入)
1 内国法人がその役員に対して支給する給与()のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)


 法律レベルでは「額面同額型」のみが規定されていて。「その他これに準ずるものとして政令で定める給与」として、政令に委任されています。

 で、法人税施行令。

法令 第六十九条(定期同額給与の範囲等)
1 法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(以下第六項までにおいて「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
 イ (通常改定) ロ (臨時改定) ハ (業績悪化改定)


 「改定前後のそれぞれで同額であるもの」が「当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの」に「準ずる」といえるのか。文言上の違和感はありますが、これらも損金算入できるんだと。

 では、「手取り同額」はどこに書いてあるかというと。同条第2項に規定されています。 

法令 第六十九条(定期同額給与の範囲等)
2 法第三十四条第一項第一号及び前項第一号の規定の適用については、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額(当該定期給与について所得税法第二条第一項第四十五号(定義)に規定する源泉徴収をされる所得税の額、当該定期給与について地方税法第一条第一項第九号(用語)に規定する特別徴収をされる同項第四号に規定する地方税の額、健康保険法第百六十七条第一項(保険料の源泉控除)その他の法令の規定により当該定期給与の額から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)の額その他これらに類するものの額の合計額をいう。)を控除した金額が同額である場合には、当該定期給与の当該各支給時期における支給額は、同額であるものとみなす。


 1項の書き出しは「法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は」となっているので、法律の委任によるものであることは明らかです。
 他方で、2項の書き出しは「法第三十四条第一項第一号及び前項第一号の規定の適用については」などとなっていて。委任されてもいないのに、勝手に「同額」の意味を拡張しているように読めるのですが、どうなんでしょう。

 と疑問はありますが、これも委任の範囲内だと理解しておきます。


 では、何が「手取り」保証の対象になっているかというと。

【源泉税等の額】
 ア 当該定期給与について所得税法第二条第一項第四十五号(定義)に規定する源泉徴収をされる所得税の額
 イ 当該定期給与について地方税法第一条第一項第九号(用語)に規定する特別徴収をされる同項第四号に規定する地方税の額
 ウ 健康保険法第百六十七条第一項(保険料の源泉控除)その他の法令の規定により当該定期給与の額から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)の額
 エ その他これらに類するものの額
の合計額


と規定されています。
 なんでもかんでも対象になるのではなく、限定列挙されています。

 以下、それぞれ個別に検討します。

ア 当該定期給与について所得税法第二条第一項第四十五号(定義)に規定する源泉徴収をされる所得税の額

 通常月は問題ありません。条文は以下のとおり。

所法 第二条(定義)
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
四十五 源泉徴収 第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。


所法 第百八十三条(源泉徴収義務)
1 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。



 では、「年末調整」による徴収・還付があった場合は反映されるでしょうか。

所法 第百九十条(年末調整)
1 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)において、同号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第二号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。


 ここからすると、「徴収」の場合は、年末調整の結果、実際に徴収することとなった額を反映することになるのでしょう。

 「還付」の場合はどうかというと。
 アでは「源泉徴収をされる所得税の額」とあることから、徴収しない以上、徴収額0円と扱うことになるのでしょう。還付額がいくらであっても、その額は反映されないと。


 では、タイトルにあげた「定額減税」についてはどうかというと。

 条文の検討は、すでに下記記事で終えています。

『定額減税、年末調整でやるから月次でやらなくていいしょや?』(税務編)

措法 第四十一条の三の七(令和六年六月以後に支払われる給与等に係る特別控除の額の控除等)
4 第一項又は第二項の規定の適用がある場合における所得税法その他の所得税に関する法令の規定の適用については、第一項又は第二項の規定による控除をした後の金額に相当する金額は、それぞれ所得税法第四編第二章第一節の規定により徴収すべき所得税の額とみなす。


 これによれば、「定額減税後の金額」を所得税法における徴収税額とみなすこととしています。それゆえ、「手取り同額」においても「定額減税を反映した所得税」をもとに計算することになるのでしょう。
 給与明細書上は、所得税と定額減税は別々の欄に記載することになっています(所規100)。が、両方とも含めて計算をする必要があると。

イ 当該定期給与について地方税法第一条第一項第九号(用語)に規定する特別徴収をされる同項第四号に規定する地方税の額

 特に面白みもありませんが、一応条文をあげておきます。

地法 第一条(用語)
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
四 地方税 道府県税又は市町村税をいう。
九 特別徴収 地方税の徴収について便宜を有する者にこれを徴収させ、且つ、その徴収すべき税金を納入させることをいう。


 定額減税については「附則」の中に入り込んでいるし、さらに面白くもないので、「所得割から定額減税する⇒減税後の税額を特別徴収する」という構造になっているということだけ記述しておきます。

 ということで、6月分の住民税が0円なら、0円を前提に計算することになります。

ウ 健康保険法第百六十七条第一項(保険料の源泉控除)その他の法令の規定により当該定期給与の額から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)の額

 所得税法74条のほうから引用すると。

所法 第七十四条(社会保険料控除)
2 前項に規定する社会保険料とは、次に掲げるものその他これらに準ずるもので政令で定めるもの(第九条第一項第七号(在勤手当の非課税)に掲げる給与に係るものを除く。)をいう。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定により被保険者として負担する健康保険の保険料
二 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定による国民健康保険の保険料又は地方税法の規定による国民健康保険税
二の二 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定による保険料
三 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護保険の保険料
四 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の規定により雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
五 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料及び国民年金基金の加入員として負担する掛金
六 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
七 厚生年金保険法の規定により被保険者として負担する厚生年金保険の保険料
八 船員保険法の規定により被保険者として負担する船員保険の保険料
九 国家公務員共済組合法の規定による掛金
十 地方公務員等共済組合法の規定による掛金(特別掛金を含む。)
十一 私立学校教職員共済法の規定により加入者として負担する掛金
十二 恩給法第五十九条(恩給納金)(他の法律において準用する場合を含む。)の規定による納金


 で、なんで一つだけ頭出ししたか分からない、健康保険法。どれか一つは頭出ししておく、という法制執務お作法でしょうか。

健保法 第百六十七条(保険料の源泉控除)
1 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。


 これをみると、当月の給与から控除できるのは、あくまでも「前月分」(当月納付)の保険料だけとなっています。それゆえ、手取り同額の対象となるのも、前月分の保険料だけです。
 それ以前に徴収漏れだったものを(本人同意のもと)控除した場合は、その分は手取り同額の対象とはならない、というのが《文言解釈》の帰結となります。

 ここで気味が悪いのが、エです。

エ その他これらに類するものの額

 一体何がエに該当するのか、未だに謎です。

 もしかしたら、上述した過去分の保険料がここに含まれるのかもしれません。
 が、含まれる前提で計算していたところ、含まれないと判断されて超過部分を否認されてしまっても困る。


 気になる論点がいくつかあるので、次回検討します。
posted by ウロ at 09:36| Comment(0) | 法人税法

2024年06月03日

法廷意見をHACKしよう!! 〜最高裁令和6年5月7日判決における多数意見vs補足意見

 過去3回の記事では、多数意見は、大法廷判決の《総合較量説》に依拠して結論を導いている、という前提でイジってきました。で、《総合較量》と言っておきながら、その較量の中身を開示していないことに対する批判をしました。

最高裁令和6年5月7日・第三小法廷判決 速感
《通達みてえな判決》 〜「判例」としての最高裁令和6年5月7日判決
規範がない。あんなの飾りです。 〜最高裁令和6年5月7日判決の法的構造

 が、よくよく読んでみると、多数意見自身は《総合較量説》を採用しているなどということは一言もいっていません。「その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし」て結論を導いているだけです(以下、これを半笑い気味に《照らす式》といいます)。
 大法廷判決の引用の仕方も、「の趣旨に徴して明らか」という(例の)書きぶりであって。ダイレクトな引用ではなく、「の趣旨」と一段階ぼやかした表現になっています。

最高裁令和6年5月7日第三小法廷判決
 法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえない。このことは、最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁の趣旨に徴して明らかである。本件処分に所論の違憲はなく、論旨は、採用することができない。

最高裁平成4年7月1日大法廷判決(成田新法事件)
A 憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。

B しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。

C 本法三条一項に基づく工作物使用禁止命令により制限される権利利益の内容、性質は、前記のとおり当該工作物の三態様における使用であり、右命令により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等は、前記のとおり、新空港の設置、管理等の安全という国家的、社会経済的、公益的、人道的見地からその確保が極めて強く要請されているものであって、高度かつ緊急の必要性を有するものであることなどを総合較量すれば、右命令をするに当たり、その相手方に対し事前に告知、弁解、防御の機会を与える旨の規定がなくても、本法三条一項が憲法三一条の法意に反するものということはできない。また、本法三条一項一、二号の規定する要件が不明確なものであるといえないことは、前記のとおりである。



 一体いつから、(多数意見が総合較量説を採用していると)錯覚していた?
 それは、渡辺補足意見の下記記述を目にした瞬間からです。

渡辺補足意見
 多数意見が言及する平成4年大法廷判決は、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である旨判示している。多数意見は、このような枠組みの下での総合較量に基づいており、特定の考慮要素のみに基づくものではないが、私において特に明確にしておきたい2点を補足することとする。


 「補足意見」については、一般に、以下のように定義づけされています。

補足意見とは:
 裁判書に個別に表示される意見のうち、多数意見に加わった裁判官がそれに付加して自己の意見を述べるもの


中野次雄ほか「判例とその読み方」(有斐閣2009)

 で、上記補足意見中の「多数意見は、このような枠組みの下での総合較量に基づいており」という記述を鵜呑みにして、「多数意見は《総合較量説》を採用しているんだなあ」と思ってしまったわけです。
 が、多数意見の中には《総合較量》なんて文言は一切でてきません。ですし、大法廷判決のCにあたる部分がなく、表向き《総合較量》なんかやっていないわけです。

 「補足意見」を名乗っておきながら、多数意見にそのまま自分の意見を付け足したのではなく。多数意見で明示されていないことを奇貨として、自分の見解に引き寄せて読み替えた、というのが渡辺補足意見の遣り口なのではないでしょうか。

 過去3回の記事では、「《総合較量説》のくせになんで総合衡量のプロセスを開示しないんだ!」と批判めいたことを書いてしまいました。が、そもそも《総合較量説》を採用していないのであれば、とんだ言いがかりをつけてしまったことになります。
 ですが、悪いのは、多数意見を勝手に《総合較量説》呼ばわりした渡辺補足意見であって。文句があるならそちらへどうぞ。

 もしかしたら、実際の合議では《総合較量》ベースで検討していたのかもしれません。が、多数意見が《照らす式》でしか書かれていない以上、そんなことは外野からは分かり得ないわけです。
 「多数意見を勝手に《総合較量説》に読み替えるな!」という批判は甘んじて受け入れるべきでしょうよ。

 とはいえ、最高裁判事が「個別意見」で何を書くかについては、なんら制度上の規制はなく。あたかも自分が多数意見を代表しているかのような書きぶりをしようが、誰も制御することはできません(なお、政治的な圧力については、また別のお話し)。

 「補足意見/意見」の区別にしても、法律上の区分ではなく。「なんかそういうふうに言われている」レベルのものであって(最高裁内部での口伝があるのかもしれませんが、外野には伺いしれない)。
 「意見」で書くべきことを「補足意見」で書いたとしても、是正手段があるわけでもない。


 しかし、渡辺補足意見による鏡花水月から脱して。多数意見を、あるがままに読み取って《照らす式》だと捉えたとして。
 《総合較量》をしないで事前手続必要/不要を判断することは、大法廷判決に真っ向から違反することになってしまうのではないでしょうか。

 この点、考えられる一つの逃げ道(distinguish)として、次のようなものがありえます。

 すなわち、大法廷判決も、あらゆる行政処分すべての場合に《総合較量》を要求しているわけではない、「どう考えても事前手続いらんやろ」という場合には、《総合較量》をすっ飛ばしていきなり結論だしてもよいと考えていたんだと。
 《総合較量》する必要があるのは、グレーゾーンのときだけで。白黒はっきりしているときにまで、いちいち《総合較量》しなくたっていいんだと。

 大法廷判決「の趣旨に徴して明らか」という書きぶりからも、大法廷判決だって本音ではたいして事前手続に積極的ではなかったやろ、本判決ではその本音の汲んで判断したんだよ、という意味が含意されていると読むことができるでしょうか。

 この考えによれば「青色申告の承認の取消処分」については、「どう考えても事前手続いらんやろ」な場合として、《総合較量》抜きで事前手続不要という結論まで突っ走ってよいことになります。


 もちろん、このような、大法廷判決の核の部分をざっくり刈り取る限定解釈が適切なものかは疑問があるでしょう。
 が、《総合衡量》をすっ飛ばして結論を出している本判決を、それでも大法廷判決に違反していないというためには、このような理解をせざるをえないのではないでしょうか。

 少なくとも、渡辺補足意見のごとく、書かれてもいない《総合較量》をやっているんだと、『見えないものを見ようとする』強弁をするよりは、マシだと思います。


 渡辺判事自身は合議に参加しているのだから、多数意見の中身を誤解している、なんてことはなく。あえてでやっているはずです。

 補足意見なるものを、無理やり両極端に分けると、
  1 多数意見には書けないが、今後はこれでいくぞと意思表明をするために出すもの
  2 最高裁判事個人の、文字通りのご意見・ご感想にすぎないもの
のふたつの方向があるように思います。

 似たようなものでいうと、国税庁が公式でいえないから業界誌にイタコ的に語らせるのが1、業界誌独自の記事が2、にそれぞれ対応するでしょうか。

 渡辺補足意見については、書いてあることからすると2っぽくみえるものの、今後、ちゃんと《総合較量》してから事前手続不要という結論を出したい行政処分があがってきたときには、多数意見に取り込んで使いまわししそうな気もするんですよね。


 言渡をした最高裁が、自分の判決の、判例としての射程をどのように自己規程するか、それは自由です。が、それと同時に、後続の最高裁が、当該判決の射程をどのように理解するか、これもまた後続の最高裁の自由です。

 大法廷判決が《総合較量》しろといっているのに、勝手に「趣旨」レベルにまで薄めて《照らす式》で結論だそうが、本判決の自由だということになります。
 そしてまた、後続の最高裁が、本判決の補足意見につき、あれは単なる補足意見だから判例には含まれないとするか、多数意見と一体として判例だと読み取るか、こちらも自由です。

 さすがに射程を広げたり・狭めたりの限界を超えたならば、「判例変更」を検討することなるのでしょう。だとしても「判例変更」をするかどうか、それ自体もそのときの最高裁の自由です。


 今回は、「補足意見が多数意見をHACKしているのでは」という見立てからスタートしました。が、補足意見を名乗っている以上、多数意見とうまく噛み合わせることができる、別の筋道がありそうな気がしてきました。
 鏡花水月から脱した気になっているけども、もう一段先があるのでないかと。

 ということで、次回はそちらの線を記事にしてみます。いい加減、締めることができるでしょうか。
posted by ウロ at 09:03| Comment(0) | 判例イジり