2017年08月23日

肩たたき券取引と税務


「肩たたき券」というのは、敬老の日とかに孫が祖父母にあげるアレのことです。

ただでお小遣いをあげるのでは教育上良くないってことで、孫に肩たたき券を発行してもらって、その対価として代金を支払った場合に、どのような課税がされるかを考えてみましょう。

たとえば、祖父が孫から肩たたき券(1分間・1回)を「1000万円」で買ったとしましょう(1000万円です。1000円では問題になりませんので)。

肩たたき券の時価ですが、数円くらいの価値はあるのかもしれませんが、あくまで不特定多数の間で成立する価格ですので、まあ0円とします(ごめんなさい!どうしても納得できなれけば、肩たたき「をしてもらえるかもしれない」券だと読み替えてください)。

そうすると、いわゆる個人間での高額譲渡にあたるため、

売主(孫):  譲渡価額−時価 ⇒贈与税
売主(孫):  時価−取得価額 ⇒所得税(総合課税の譲渡所得)
買主(祖父): 課税なし

が発生します。時価より高い分は、単純に祖父から孫への贈与でしょ、ってことで「贈与税」がかかるわけです。

(※肩たたきというサービスの対価という意味では「雑所得」もありえますが、そのサービスの時価は0円だし、肩たたきというサービスを受けられる地位が券面に化体していてその証券の譲渡をする、ということで「譲渡所得」としておきます。)

で、孫は自分で発行してるから取得価額は0円だと(券作成費用ぐらいはあるでしょうか)。

そうすると、

譲渡価額 1000万円
取得価額 0円
時価   0円

なので、贈与税は1000万円(1000万円−0円)に対して課税され、所得税は0円(0円−0円)となります。

贈与税の税額は、他に贈与がないとしたら、直系尊属から孫への贈与のため「特例税率」が適用されるので、

(1000万円−110万円)×30%−90万円=177万円

が贈与税額となります。

No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)


では祖父が、孫から取得した肩たたき券を祖母(自分の配偶者)に2000万円で転売したらどうなるでしょうか(とんでもない家族ですね)。

(上述のとおり、券面に肩たたきサービスが化体しており証券の所持人がサービスを受けられることになっていることから、肩たたき券取引市場が成立します、家族内で。)

ここでもやはり1と同じルールが適用されます。

売主(祖父): 譲渡価額−時価 ⇒贈与税
売主(祖父): 時価−取得価額 ⇒所得税(総合課税の譲渡所得)
買主(祖母): 課税なし

で、祖父の取得価額ですが、祖父が孫に払った1000万円は売買代金ではなく贈与したものと扱われているため、1000万円ではなく0円ということになります。

そうすると、

譲渡価額 2000万円
取得価額 0円
時価   0円

なので、贈与税は2000万円(2000万円−0円)に対して課税され、所得税は0円(0円−0円)となります。

贈与税の税額ですが、夫婦間の贈与でもあくまで「一般税率」が適用されるため、

(2000万円−110万円)×50%−250万円=695万円

が贈与税額となります。


要するに、時価のないものとか低いものに勝手に著しく高い値段をつけて売買しても、時価との差額は贈与とみなされてしまう、ということです。もちろん、そこでいう時価をどう評価するか、という問題はありますが。

4(※以下は先走って書いてますので、あくまでひとつのありうる見解にとどまります。)
ちなみにですが、上記事例で代金をいまどき流行りの「仮想通貨」で受け取ったとしても、取引時点で円換算した価格が譲渡価額となります。で、納税は原則「円」でしないといけないので、贈与税の納税資金を用意するには、「仮想通貨」を円転するか、別途円を用意しないといけない、ということなります。

最悪のパターンで、「仮想通貨」の対円価値が取引時から暴落した場合、たとえば、取引時には2000万円相当の「仮想通貨」を得たとして課税されるのに、納税するにあたって急いで円転しようとしたら200万円にしかならなかった、という場合でも、贈与税695万円納税しないといけない、ということです。

で、その円転ででた損失を何かと通算できるのかというと、この損失が譲渡所得か雑所得か、という問題はありますが、おそらく他の所得とは通算できない、てなる可能性が高いです(ただし、仮想通貨に対する課税については扱いが固まるまでもう少し様子見の必要ありです。)。

たまに税のことを書いたかと思うと、何の話しをしているんですかね。
posted by ウロ at 13:59| Comment(0) | 税務
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