原則からすると、通常の販売価額より値引きしたらその分「給与課税」てなるところですけど、所得税基本通達で「給与課税」しなくていい条件が定められています。
(課税しない経済的利益……商品、製品等の値引販売)
36−23 使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。
(1) 値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。
(2) 値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
(3) 値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
要約すると、
1 社員への販売価額が仕入価額以上かつ通常の販売価額の70%以上であること
2 値引率が一律か、違う場合でも一定のルールに基づいていること
3 自分の家で使える程度であること(転売厳禁)
となっています。
ここでは、給与課税緩和ルールでありがちな、役員には従業員よりも厳しい条件が適用される、みたいなことはありません。
「食事」については別ルールがありますので、また整理したいと思います。
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