曰く、出張手当は所得税が非課税とされているから、これを最大限利用すれば節税できる!ということのようです。
具体例で考えてみますと、たとえばですが、社長が出張をしたとして、交通費30,000円・宿泊費15,000円・食費5,000円がかかったとしましょう。ここでかかった費用50,000円を全て実費精算しつつ、別途出張日当として50,000円を支給した場合、日当に所得税はかからないのでしょうか。
・実費
交通費30,000円、宿泊費15,000円、食費5,000円
・手当
出張日当50,000円
この場合は所得税が課せられると思われます。というのも、出張日当が非課税とされる趣旨は、出張に必要な諸々の諸経費を出張の都度個別に精算するのは手間なので、出張にかかりそうなおおよその金額の範囲内であれば、細かい差額は問わないよ、ということだからです。
これは、マイカー通勤の人に対する通勤手当として、距離に応じた非課税額を設けているのと同じような趣旨です。時期により、地域により、燃費により、実際のガソリン代は違ってくるはずですが、距離だけで金額を決めてしまう、というわけです。
この趣旨からすると、交通費だけは実費精算としつつ、宿泊や食事は日当を渡すからその中から自分で払ってね、というのは有りだと思います。で、頑張って宿泊先のグレードを下げたり食事を切り詰めたりした差額で儲ける、ということになるのだと思います。
・実費
交通費30,000円
・手当
出張日当20,000円(宿泊費、食費込み)
もちろんですが、所得税が課される前提での「出張日当」を支給することは問題ありません(従業員の場合。役員の場合は「定期同額給与」のルールがあるのでやめておきましょう)。
いずれにしても、出張に対して実費精算以外の支給をする場合には、「出張旅費規程」を作成しておきましょう。
No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
所得税基本通達
(非課税とされる旅費の範囲)
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
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