2018年01月11日

消費税、免税とるって大変よ、という話(2018.1.11現在のルール)。

 一昔前までは単純だった消費税の課税事業者/免税事業者の判定、節税スキーム封じのためにややこしくなってます。

 もちろん売上少ないとか還付狙わないっていうなら悩むことはないんですけど、ギリギリを攻めようとすると、色々引っかかってきます。

 巷の解説書でもちゃんと書かれてないものがあったりするので、以下、注意点だけ整理しておきます。具体的なあてはめは個別にご相談ください。

【レベル1】

 ここまでは誰でも知っていると思います。

1 基準期間による判定

・条件
 基準期間における課税売上高が、
  1000万円以下 ⇒免税
  1000万円超 ⇒課税

・基準期間
 その事業年度の前々事業年度

※超と以下に注意
※基準期間が1年未満の年換算ルールに注意
※免税期間中は税込金額で判定

2 新設法人の特例

・条件
 基準期間がない事業者で、期首の資本金の額が
  1000万円未満 ⇒免税
  1000万円以上 ⇒課税

※資本金等ではなく資本金
※超と以下に注意
※各事業年度の期首時点で判定

【レベル2】

 特定期間の特例は、基準期間のヴァリエーションという理解からか割りと知られていますが、ぎりぎりを狙う場合は注意が必要です。

3 特定期間による判定

・条件
 特定期間の課税売上高・給与等支払額が、
  1000万円以下 ⇒免税
  1000万円超 ⇒課税

・特定期間
 前事業年度開始の日から6ヶ月の期間

※基準期間で課税なら特定期間を判定するまでもなく課税
※短期事業年度
 前事業年度が7ヶ月以下の期間の場合はカウントしない
 7ヶ月以上8ヶ月未満の場合でもカウントしない場合があるが、判定がややこしいので注意
※特定期間は年換算しない
※給与等支給額
 所得税が非課税となる通勤手当や旅費等は含めない
 未払額は含めない
※課税売上高・給与等支払額がいずれも1000万円超の場合に課税事業者が強制される。いずれかが1000万円以下の場合は課税/免税を選択可能(課税事業者選択届出書による選択ではないので2年拘束ルールなし)

【レベル3】

ここから先がちゃんとフォローされていない文献がありがち。
各種用語を条文にそって正確に理解してないと、ちゃんとあてはめできないです。

4 特定新規設立法人の特例

・条件
 ア 基準期間なし
 イ 特定要件満たす
 ウ 他の者(直接株主)または特殊関係法人の基準期間相当期間の課税売上高が5億円超
⇒すべてを満たすと課税

・基準期間
 その事業年度の前々事業年度
・特定要件
 他の者及び他の者と関係ある一定の者が株式50%超保有している
・他の者と関係のある一定の者
 他の者の親族等
 他の者及び他の者の親族等が完全支配している法人
・特殊関係法人
 他の者(直接株主)と関係のある一定の者のうち、非支配特殊関係法人以外の法人
・非支配特殊関係法人
 他の者とは別生計親族等が完全に支配している法人
・基準期間相当期間
 新設設立法人の新規開始日の2年前の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した他の者及び特殊関係法人のうちいずれかの者の事業年度

※特定要件(イ)を判定するときに含める人と課税売上高(ウ)を判定するときに含める人が違うとか、支配・被支配の矢印がどっち向いているかで結論が違うとか、とにかくややこしい。いくら解説書を読んでも正確に理解するのは難しいので、(特に)消費税施行令の条文を直接読み込む必要あり。
※生計別要件があるとはいえ、5億円超の会社を経営している親族がいる場合には注意。グループ法人税制の場合は、取引関係がなければ事実上問題にはならないが、こっちでは取引関係なくても問題になる。

5 調整対象固定資産を取得した場合の特例

・条件
 ア 課税事業者を選択した事業者が
 イ 選択拘束期間中に調整対象固定資産を取得
⇒取得した課税期間から第三年度の課税期間の初日(の前日)まで、課税事業者選択不適用届出書・簡易課税制度選択届出書を提出できない。

 ア 資本金1000万円以上の新設法人または特定新規設立法人が
 イ 基準期間がない事業年度に調整対象固定資産を取得
⇒取得した課税期間から第三年度の課税期間まで、納税義務免除規定の適用なし。
⇒取得した課税期間から第三年度の課税期間の初日(の前日)まで簡易課税制度選択届出書の提出ができない。

・調整対象固定資産
 100万円以上の固定資産(棚卸資産除く)

※条件に該当する場合に何が制約されるか(届出提出制限or免税不適用)を正確に理解する
※上記アに該当する事業者以外は適用されない(基準期間判定で課税事業者になる場合など)
※取得した課税期間の初日から起算。選択適用した課税期間からではない
※取得した課税期間に簡易課税を適用している場合は拘束されない
※仕入控除税額の調整規定の適用にも注意
※廃棄・売却しても適用継続。ただし仕入控除税額の調整規定のほうは第三年度の課税期間の末日までに廃棄・売却すれば適用されない

6 高額特定資産を取得した場合の特例

・条件
 ア 本則課税の課税事業者が
 イ 高額特定資産の仕入等を行った場合
⇒仕入等した課税期間から第三年度の課税期間まで、納税義務免除規定の適用なし。
⇒仕入等した課税期間から第三年度の課税期間の初日(の前日)まで、簡易課税制度選択届出書の提出ができない。

・高額特定資産
 1000万円以上の棚卸資産及び調整対象固定資産

 ア 本則課税の課税事業者が
 イ 自己建設高額特定資産の自己建設等を行った場合
⇒累計額が1000万円以上になった課税期間から建設完了した課税期間の第三年度の課税期間まで、納税義務免除規定の適用なし。
⇒累計額が1000万円以上になった課税期間から建設完了した課税期間の第三年度の課税期間の初日(の前日)まで、簡易課税制度選択届出書の提出ができない。

※5と違い、適用される場面が限定されていない
※条件に該当する場合に何が制約されるか(届出提出制限or免税不適用)を正確に理解する
※自己建設の場合、規制期間が累計額1000万円到達〜建設完成〜3年と長い。
※廃棄・売却しても適用継続
※簡易課税制度選択届出書の提出制限のため、過去簡易選択届出をしていたが課税売上高5000万円超で原則課税になった場合には制限がかからない
※5と6の両方の条件を満たす場合は5が適用される

7 追記(令和2年度改正)

 5と6につき、「棚卸資産の調整措置」経由で仕入税額控除をとった場合も、3年縛りが適用されることになりました。
 従前は、取得時に本則とってた場合に限られていたわけですが、今後は取得時免税でも適用がありうると。
【消費税法の最新記事】
posted by ウロ at 10:27| Comment(0) | 消費税法
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