2018年04月18日

親族概念の、いてもいなくてもどっちでもいい奴感

第七百二十五条(親族の範囲)
 次に掲げる者は、親族とする。
  一 六親等内の血族
  二 配偶者
  三 三親等内の姻族


 先日の記事で、

『民法上の制度で「親族」概念がそのまま問題になるようなものってほとんどないので、現実的な問題はあまり生じてなかったかと思います。』

と書いたんですが、これ敷衍しておきます。


 本家本元の民法では、税法みたいに「親族」であることで不利に扱われる制度ってほとんどない、という認識だったので、あらためて民法の条文を確認してみました。

 民法(e-Gov)

 税法との対比なので、親族であることでプラスになるほうは省いて、不利になるほうをあげてみると、

第七百三十条(親族間の扶け合い)
 直系血族、同居の親族

第七百三十四条(近親者間の婚姻の禁止)
 直系血族、三親等内の傍系血族

第七百三十五条(直系姻族間の婚姻の禁止)
 直系姻族

第七百三十六条(養親子等の間の婚姻の禁止)
 養子・配偶者、養子の直系卑属・配偶者と養親・直系尊属

第八百七十七条(扶養義務者)
 直系血族、兄弟姉妹、三親等内の親族

第九百七十四条(証人及び立会人の欠格事由)
 推定相続人、受遺者・配偶者、直系血族
 公証人の配偶者、四親等内の親族


という感じでした(扶養義務を不利とか言ってすみません)。

 要するに、ノーガード親族みたいのはいらっしゃらなくって、何らかの限定がかかっているということです。これみる限り、五親等、六親等の傍系血族は、民法上「親族」だけど民法上はなんの負担もない、ということですよね。

 逆に親等制限なしの「直系血族」「直系姻族」なんてのもあって、親族概念関係なく天地に突き抜けちゃうわけですよね(関係ないけど、ここで釈迦如来の天上天下唯我独尊のポーズ)。

 プラスのほうはあるにせよ、そもそもの親族の範囲見直し必要じゃね?というのは問題にされていいはずです。
 が、民法の中だけならいいけども、税法やら何やらにあちこちいっちょ噛みしまくってるせいで、おいそれと改正入れられないのでは、と邪推。


 ちなみに、言葉の問題ですけど、親族概念を一般的に定義した上で制度ごとに限定かける、という手法をとったせいで、たとえば「三親等内の親族」に民法725条の定義を代入すると、

  三親等内の「六親等内の血族」

とか

  三親等内の「配偶者」

みたいな違和感ありまくりな言葉になってしまいます。意味は通じますけども。
 「三親等内の親族」を因数分解せよ、て問題だされてこんなふうに答えたら、センスねえなあ、て言われそうな。
 ちなみに、「○親等内の親族」という場合の「親族」には配偶者は含まれないらしいのですが(配偶者には数える親等がないという理由)、そんなのちゃんと書いといてくれないとわからないですよね。

 親族概念使わずに、

  配偶者、三親等内の血族及び姻族

ていっても、それほど文字数増えないし。
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