2018年07月31日

システム開発における先行者利益について

 たとえば、新しいシステムを開発したとして、それを他者の模倣から保護するためには、

  ・隠す
  ・特許権等の知的財産権を取得する

という方法があります(各種権利ありますが「特許権」で代表させておきます)。

 保護を強化するんだから、普通に考えれば、特許権を取得しておいたほうがよさそうに思えますが、必ずしもそうではない。
 というのも、特許出願すると「特許公報」で公開されてしまいます。
 権利として保護してあげるかわりに中身を公開して、技術の発展に寄与してもらう、という仕組みなんですね。

 ので、どうしても中身を知られたくない場合は隠さざるをえない。

 それが自分だけしか使わないものであればいいんですが、みんなに見てもらう、使ってもらうタイプのシステムだとすると、隠してたら活用できないので困る。

 これがもし、表に出しても解析(リバースエンジニアリング)できないものであれば、中身を知られないまま活用できるので、強い。


 このことを、レーザーラモンRG氏の『○○あるある言いたい』のネタで考えてみましょう。

 以前の記事でもふれましたが、このネタ好きなもので。
僕はまだ、君のくせ毛の向きを知らない。 〜精神論より方法論

 このネタ、
 ・そこそこ唄がうまい
 ・1ネタに1あるあるで足りる
 ・あるある自体はつまらなくてもいい(むしろつまらないほうがいい)

で構成されているので、このシステム考えついた時点で、あとは量産しやすいはず。
 量産しやすいがゆえに簡単に模倣できそうですけど、RG氏のネタってことが定着しているので、もはや他の芸人はパクれない。
 
 普通の発明品では考えられない、おいしい状況。
 なんらかの権利を付与しなくても、誰からも侵害しにくいわけです。


 特許権との対比でいうならば、『国際特許』のこともふれるべきでしょう。

 外国での模倣を防ぎたい場合、特許権なら「国際出願」の制度があります。特許権自体はあくまで「属地主義」ですけど、複数の加盟国で出願しやすくなっているわけですね。

 他方で、このネタの場合はそのような国境を超える対抗手段がない。

 が、そもそも特許とは違って、RG氏がそのまま海外でこのシステムを実施したところで、たぶんウケなさそう。言語や文化が違えば、このシステムそのままでは通用しないのではないかと。
 ので、フリーライドではあるが、RG氏側には実損害は無い、ともいえるわけで。

 逆に、海外から模倣ネタが入ってきても(逆輸入)、同じように日本では通用しなさそうなので、国内ではやはり最強だと言える。

 この、芸人ネタの国際ハーモナイゼーションに関しては、あくまで想像でしかなく、実際のところはどうなんでしょうね(ナオミワタナベのような稀有な例もあるようですが)。


 ここまで特許権との対比で、このネタには知的財産権が付与されていない、という前提で書きましたが、このネタ自体が「著作権」で保護されるものではないか、という問題もあります。

 というのも、まずこのネタのシステムが「表現」なのか「アイディア」なのか、という問題があり、かりに表現だとしても、他の人の楽曲(たとえばイマサに著作権あり)ががっつり組み込まれていることの問題があります。

 前者は、いわゆる「表現/アイディア二分論」というもので、表現なら著作権発生するが、アイディアには著作権なしとされています。
 特定の表現を保護するだけなら、それを避けて他の表現をすればいいけど、アイディア自体を抑えられてしまうと、多様な表現ができなくなってしまう、アイディア自体を保護するのは特許等の要件を満たすものだけ、という建付けになっています。
 おそらく、このネタのシステム自体はアイディアに過ぎないので、他の楽曲・他のあるあるネタに入れ替えてしまえば、RG氏に対する著作権侵害にはならなそう。

 後者は、「二次的著作物」の問題で、テレビでやる場合は包括的処理に含まれてるんでしょうが、舞台でやるなら個別の許諾が必要、とかそういう話。


 思いつきで書いてしまいましたが、もう少し知的財産法勉強してから文章見直します。
【知的財産法の最新記事】
posted by ウロ at 09:29| Comment(0) | 知的財産法
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