消費税、「軽減税率」周りがざわざわしてますが「経過措置」も来るんですよね。
で、どっちも最近、国税庁のQ&A改訂したよ、というので読み直すじゃないですか。
消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)(平成28年4月)(平成30年1月改訂)
消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(平成28年4月)(平成30年11月改訂)
平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【基本的な考え方編】(平成30年10月)
平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】(平成30年10月)
もう、ボリューミーかつ細かすぎて心が消耗。
ということで、いわゆる現実逃避読み。
現実逃避に使って申し訳ありません。
辰井聡子「因果関係論」(有斐閣2006)
○
例によって中身の論評なんて私にはできません。
ただまあ読んでて、結局のところ、因果関係論にしても、当該概念にどこまでの役割をもたせるか、ということなんだろうな、と。
辰井先生ご自身は、因果関係において「行為者の意思」を考慮するという見解をとっています。
(+一般人の予見可能性も考慮するので、主観説ベースの折衷説とのこと。ただ、普通の教科書に書かれている主観説・折衷説とは論証の仕方が違うので、いわゆる主観説・折衷説とは中身が違う気がします。普通の学説との距離感ださないように、そういう寄せたネーミングにしただけかもしれません)。
当然、因果関係を客観的にとらえる立場からは批判されると思うんです。
が、どの立場でも「行為者による結果のコントロール」という要素は犯罪の成立要件のどこかしらで考慮されるはずで、辰井先生の場合は、その意思の側面も「因果関係」の中でやってしまうということですよね。
未遂犯における危険の有無を、故意を含めて判断するか、というのと同じ感じの。
そうすると、有り体に言えば、犯罪の成立にはどのような要素が必要か、が大事であって、それら要素をどこの要件で考慮するかっていうのは、単なる組立ての問題にすぎない、ともいえるわけで。
料理をするにあたって、重要なのはどのような材料を使うかであって、レシピ通りの手順で処理することは、早めに作れるとか味が馴染みやすいとか、そういった違いがあるもののそこまで重要ではない、みたいな。《同じ材料で作るかぎり、カレーはカレーである。》
と書いたのは、あくまで私なりに解体して思ったところを書いたもので、辰井先生ご自身の見解そのものではありませんのでご注意。
このへんの問題意識は、「吸血鬼×十字架」問題として常に私のなかで燻っているアレです。
【「吸血鬼×十字架」問題】
戸松秀典「憲法」(弘文堂2015)
○
ちなみに、刑法の行為規範性について論じた記述について、なるほどな、と思ったところがあったので引用させていただきます(73頁〜)。
「刑法の行為規範性を重視し、相当因果関係説ないし客観的帰属論の枠組みを用いて、より具体的な行為規範を提示しようとする見解は、人は、一般に法律及び法律実務に照らして自らの行動を決定するものだという前提に立っているといえる。しかし、人が自らの行動を決定するときに法律を、ましてや判例等による法解釈を参照することは、すくなくとも通常のことではないであろう。理由は必ずしも明らかではないが、普通、人は、人を殺してはいけないということを、自分自身において知っている。そして、人が自己の行動を決定する際には、その自らの判断にしたがうのが、むしろ通常であろう。法学部の学生でも法律家でもないほとんどの人は、詐欺罪の構成要件を詳しくは知らない。しかし、それに類することをするのはよくないと、もともと知っているから、それを行わないのである。
このような決定の仕方は、判例つきの六法と首っ引きで、どこまでが許されどこからが許されないかを逐一確認してから行動を決定するというやり方と比べ、はるかに健全である。そうだとするなら、刑法の第一の責務は、人に違法性を判断するための材料を与えることではなく、人の内発的な決定を尊重することにこそ置かれるべきであろう。人々の内発的な決定を尊重するということは、法令や判例、まして学説によって、「このような行為を行っても処罰はされません」と示してあげること、そして、そうして構築された規範に違反していない場合に処罰を否定することとは、全く別のことである。法が、人々の決定を尊重するためにできることは、事前に行為規範を示すこととは正反対に、法律から自由に、自らの良心にしたがって行動した人に対し、法律が不当な責任を負わせることのないように、事後的に努めること以外にはないと思われる。」
では、日常系税務に戻ります。
2018年11月16日
辰井聡子「因果関係論」(有斐閣2006)
posted by ウロ at 14:14| Comment(0)
| 刑法
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