2019年02月11日

潮見佳男「詳解 相続法 第2版」(弘文堂2022)

※以下は初版時(2018)の書評です。

潮見佳男「詳解 相続法 第2版」(弘文堂2022)

 相続法が改正されまして。

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)(法務省)

 内容が重要なのは当たり前として、実務的に気にしないといけないのが「施行日」。

 で、こんな感じ。

  1 2019.1.13 相続法A 自筆証書遺言
  2 2019.7.1 相続法B 下記以外
  3 2020.4.1 相続法C 配偶者居住権
  4 2020.7.1 相続法D 遺言保管法

 1はもう施行済み。
 債権法の改正が3と同じ日なんですね。

  3’2020.4.1 債権法

 この差し込みっぷりをみて想起されたのが、前に紹介したこの本。

近藤光男「商法総則・商行為法 第8版」(有斐閣2019)

 そこでは、先走って債権法改正後の世界だけを描いてしまったため、運送・海商法改正との不整合が生じてしまっていることを指摘しました。

 潮見先生のこの本では、例によって4以降の世界を中心に描かれています。
 ではありますが、今後、4以前に施行日がくる改正が差し込まれないかぎり、この本がおかくなることにはなりません。


 問題は、『(全)』のほう(※その後、改訂されましたが記録として残しておきます)。

潮見佳男「民法(全)第3版」(有斐閣2022)
 
 こちらの本では債権法改正後の世界を描いているわけですが、出版時期の関係から当然のことながら、相続法の改正には触れられていません。

 ので、施行を○、未施行を×とすると、

  (全):債権法○ 相続法ABCD×

となっているわけですが、現実の施行状況を時系列にそって並べると、

   〜1 債権法× 相続法ABCD×
  1〜2 債権法× 相続法A○、BCD×
  2〜3 債権法○ 相続法AB○、CD×
  3〜4 債権法○ 相続法ABC○、D×
  4〜  債権法○ 相続法ABCD○

となって、(全)は、現実のどの時点とも一致しないわけです。

 下記記事でもさんざんイジり倒しましたが、1冊本の役割は当該領域を一体として理解できるのがメリット、と思っているので、こういう不整合は早めに解消しておいてほしいです。

後藤巻則「契約法講義」(弘文堂2017)

 内容については、ボリューミーで読み終わってないので、また後日。
posted by ウロ at 11:58| Comment(0) | 民法
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。