2019年04月01日

団藤重光『法学の基礎』(有斐閣2007)



団藤重光 法学の基礎 第2版(有斐閣2007)

 ふと思い立って、団藤重光先生の『新刑事訴訟法綱要』を読んでみました。



団藤重光 新刑事訴訟法綱要 七訂版(創文社1967)

 平野龍一先生に徹底的に批判し尽くされた後の学説状況しか知らなかったので、今まで手が出ずにいたところ。



平野龍一 刑事訴訟法 法律学全集(有斐閣1958)

 読んだ印象としては、そこまで糾問的でも職権主義的でもないかなあと。
 「基礎理論」から出発して法解釈論が始まるので、人権保障の観点からは不徹底だって評価になるんでしょうけども。

 1967年で改訂止まってしまっていますが、このあとに最高裁判事に就任されているので(1974-1983)、もしその後改訂されていれば、また違った様相になっていたかもしれない。残念。


 しかし、こういう名著が再版もされずに埋もれてしまうの、極めて大きな損失だと思うんですけど。
 著者も出版社もお亡くなりになってしまって、もう復刊は見込めないんですかね。

 刑法のほうは1990年が最終版ですが、同じ出版社だし、こちらも同じ運命を辿るのでしょうか。



団藤重光 刑法綱要総論(創文社1990)
団藤重光 刑法綱要各論(創文社1990)


 一方の平野先生の体系書は、1958年出版の初版のまま最近まで再刷されてて、今でもオンデマンド版が出ていたりと、随分優遇されているのと比べても、不遇な気が。

 我妻栄先生の『民法案内』シリーズにおける勁草書房さんのごとく、あるいは、蟻川恒正先生の『憲法的思惟』における岩波書店さんのごとく、どこか別の出版社で出さないのかどうか。



我妻栄「民法案内1」(勁草書房2013)
蟻川恒正「憲法的思惟」(岩波書店2016)


 で、何事か中身について書こうと思ったんですが、そのためには、アンチテーゼとしての平野先生の体系書も読まないとだし、また、最高裁判事を退任した後のミッシングピースを埋めるためには、団藤先生の『法学の基礎』あたりを読まないとだし。

 ということで、『法学の基礎』を読んでみることにしました。

 前にも書いたとおり、この本は初学者がいきなり手を出す本ではなく、法学の勉強が進むごとに、自分の実力を推し量る用に読むものです。

大屋雄裕「裁判の原点:社会を動かす法学入門」(河出書房新社2018)

 文章自体は決して固くはないのですが、書かれていることを十二分に理解するためには、個別法についての理解が先に必要になります。
 私も過去何度か読んでますが、個別法の勉強を進めてから戻ってくると、そのたびに何かしら発見があったり。

 今回読んでてふと思ったのが、こんなこと(直接そういうことが書いてあるわけではないですし、むしろ逆)。

 「自然法」思想について、私自身はどちらかというと積極的な評価をしていないのですが、

【こちらは自然権ですが】
ホッブス『リヴァイアサン』 〜彼の設定厨。
戸松秀典『憲法』(弘文堂2015)

 たとえば「禁酒法」のように「お酒くらい自由に飲ませてよ」といった程度の自由を抑圧するような法律は、いくら正式な手続によって成立したとしても実効性をもちえない、という意味あいでなら、理解できるなあと。

 「人間の本性に基づく」とか「人が人たるがゆえに」といった高尚な表現をされるとピンと来ないのですが、こういう卑近な例なら理解しやすい(いわゆる日常系自然法)。
posted by ウロ at 15:13| Comment(0) | 法学入門書探訪
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