2019年10月07日

非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(まとめ)

 長くなってしまったので、まとめておきます。
 これで終われるはずです。

(その1) 所得税法

 当初は、所得税法161条1項11号の「その他これに準ずるもの」とは何だ?という疑問からのスタートでした。

 ちなみに、コメントで「報酬請求権」等のことだと指摘されている方がいらっしゃったのですが、

 ・著作権法上は著作隣接権から「除く」とあるだけで「準ずるもの」とはされていない。
  実際、著作隣接権の何かを「準用」しているわけでもない。
 ・著作権法学説上も「準ずる権利」と表現している人はいない(はず)。

ということからすると、このような用法は所得税法固有の表現の仕方ということなんでしょうかね。

 が、「著作権法○条に規定する権利」と書けばきちんと特定できるのに、わざわざ「準ずるもの」などという曖昧な表現をとったのはなぜなのか。

 そもそも、著作隣接権だけ「準ずるもの」に広げて著作権は広げないというアンバランスは、どういう理由からなのか。

 こういう疑問がまだ残ったままです。

(その2) 所得税基本通達

 著作権法上は「利用」と「使用」を明確に使い分けているにもかかわらず、所得税法側ではその区分に無頓着であるように感じました。

 そこで、著作権法の区分にならって所得税法+通達を読んでみたわけですが、そのごちゃつき具合がこの記事で表現されています。

(その3) 租税条約(二国間)

 「利用」と「使用」の区分を租税条約も交えて検討してみました。

 ここで「著作権法」といっても、「日本の」とは限らないんじゃないかということが見えてきました。

(その4) 著作権法

 みなし侵害や著作者人格権のような、著作権そのものでない場合の該当性について検討してみました。

 また、もし「外国の」著作権法が取り込まれるのだとしたら、どのように取り込むのかについて軽く触れました。

(その5) 租税条約(三国間)

 ここまで検討したことにつき、租税条約で「債務者主義」をとった場合の傷口の広がり具合を書きました。

(その6) 法適用通則法

 道垣内正人先生の、法適用通則法の適用範囲についての見解を参考に、著作権法・租税法への外国法の取り込み方を検討しました。

(その7) 中間まとめ

 ここまでの議論を分岐型でまとめました。
 ここで終わらせるつもりだったはずが、もうちょっとだけ続くことに。

(その8) 消費税法

 そういえば消費税法にも著作権のこと書いてあったな、と思い出してしまい、税法⇔税法間の貸し借りなどにつき検討しました。

(その9) 法適用通則法

 租税法への外国法の取り込み方について、より突っ込んで検討しました。

(その10) 相続税法

 相続税法にでてくる「著作権」について、「属地主義」との相性の悪さにつき検討しました。

(その11) 借用概念

 ここまでちらちらディスられていた「借用概念」につき、正面から扱ってみました。

(その12) 判例理論

 借用概念論の実態は判例の拘束力の問題にすぎないのでは、ということを論じました。


 以上、所得税法の「その他これに準ずるもの」という文言からはじまって、最終的には「借用概念論」に対するディスりで終わりました。
 あれこれ検討してみて結論はさっぱり出ていませんが、自分の中で税理士的な落とし所は掴めたのでまあ良しとします。(了)
posted by ウロ at 00:00| Comment(0) | 国際租税法
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