2020年03月16日

横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)

 いわゆるTPR事件の高裁判決。

 ・適格合併(完全支配関係あり)
 ・支配関係5年超(欠損金額引継制限なし)

と形式的に要件満たす場合でも、事業実態が完全子会社(被合併法人)⇒親会社(合併法人)に移転していない場合には、法人税法132条の2で欠損金の引継ぎが否認されるか、という論点を扱ったもの(以下、条数は法人税法のもの)。

法人税法 第百三十二条の二(組織再編成に係る行為又は計算の否認)
 税務署長は、合併、分割、現物出資若しくは現物分配(第二条第十二号の五の二(定義)に規定する現物分配をいう。)又は株式交換等若しくは株式移転(以下この条において「合併等」という。)に係る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には、合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、法人税の額から控除する金額の増加、第一号又は第二号に掲げる法人の株式の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、みなし配当金額の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 合併等をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人



 以前も東京高裁の判決を検討しましたが、きっかけは「違和感」なんですよね。

解釈の解釈を解釈する(free rider) 〜東京高裁平成30年7月19日判決
解釈の解釈の終わり? 〜さらば東京高裁平成30年7月19日判決
解釈の解釈は終わりました。〜最高裁令和2年3月24日判決

 それが何に対する違和感かといえば「解釈方法」のところ。
 判決の結論は、以前の記事のは「納税者有利」、今回のは「納税者不利」と、必ずしも納税者不利な結論だから文句をいうわけではないです。
 その結論に至るプロセス(解釈方法)がなんかおかしい、ということ。

 プロセスにこだわるのは、それが過去の判決を検討する主目的だから。

 結論それ自体は当該事案かぎりのもので、他の事案に役立つわけではない。じゃあ、なにが他の事案に資するかといえば、その結論に至ったプロセス部分にあります。
 それが説得力のある解釈であればあるほど、他の事案でも使い回しがされるだろうと、予測をたてることができます。

《判決の強さの縦軸と横軸》
 ・地裁 ⇔ 高裁 ⇔ 最高裁
 ・説得力弱い ⇔ 説得力強い

【判例の拘束力について】
判例の機能的考察(タイトル倒れ)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その12)

 他方で、奇妙な解釈は、よくよく検討すれば説得力がないことが分かるにしても、「東京高裁の判決があるぞー!」とかいって、中身も検討せずに権威付けに使われることもあるわけです。

 ということで、奇妙な判決は奇妙な判決であることを、しっかり主張しておこうと。
(などという理由が最初からあったわけではなく、「なんかこいつ気持ち悪い」を言語化しようと思ったのが最初のきっかけです。)


 本件の事案については、事実の評価として、本当に事業実態が移っていないといえるか、という点も問題になります。
 が、ここでは単純化のために、全く移っていないものとして論じます(子会社の事業を別会社にまるっと譲渡して親会社には欠片も引き継がれていない)。

 また前提として、そもそも57条3項に形式的に引っかからないのに法132条の2を発動していいのか、という点も争われています。
 こちらは、一応争ってみたレベルの論点でしょうから、省略します。


 まずは、税務上の合併要件を簡単におさらい。

A 適格要件(簿価移転となるかどうか)

ア 完全支配関係あり(当事者間)
 1 金銭等不交付要件

イ 完全支配関係あり(同一の者)
 1 金銭等不交付要件
 2 株式継続保有要件

ウ 支配関係あり(当事者間)
 1 金銭等不交付要件
 3 従業者引継要件
 4 事業継続要件

エ 支配関係あり(同一の者)
 1 金銭等不交付要件
 2 株式継続保有要件
 3 従業者引継要件
 4 事業継続要件

オ 共同事業
 2 株式継続保有要件
 3 従業者引継要件
 4 事業継続要件
 5 事業関連要件
 6 事業規模要件or経営参画要件

(ここでいう「2 株式継続保有要件」の「見込み」に対して、「法的安定性を重視した」とかいう評価をしている記述をイジったことがあります。なお、3も4も「見込み」。)

中里実ほか『租税法概説 第3版』(有斐閣2018)

B 欠損金の引継制限

 で、適格要件を満たすと判定できたあとに、欠損金の引継制限がかかるかを検討します。

 なお、はじめから欠損金の引継が主目的、ということもあるでしょうが、この判決によればそれを主目的にするのはまずい、ということになりました。
 ので、適格要件から順番に検討するという形でどうぞ。

ア 支配関係あり (制限受けるのは)
 7 支配関係5年以内
 8 みなし共同事業要件満たさない

イ 支配関係なし
 制限なし


 そうすると、親会社が完全子会社を吸収合併する場合は、

 1 金銭等不交付要件
 7 支配関係5年超

という要件を満たしさえすれば、適格合併かつ欠損金の引継制限なし、となるはずです。


 が、原判決(東京地裁)及び本判決では、事業実態が親会社に移っていない場合は欠損金の引継制限を受ける、という結論に。

 関係する本判決の判示を引用すると次のとおり。

「控訴人は、法人税法57条2項は、組織再編成に係る未処理欠損金額の引継ぎについて、適格合併が行われた場合には、同条3項の適用がない限りは、引継ぎを認めており、適格合併では、完全支配関係がある場合は、金銭等不交付要件のみを充たせば足りるものとして、従業者引継要件及び事業継続要件を必要としていないから、これらを実質的に充足することを求めることは予測可能性を著しく害するなどと主張する。

 確かに、完全支配関係にある法人間の適格合併については(法人税法2条12号の8イ)、支配関係にある法人間の適格合併におけるような従業者引継要件及び事業継続要件(同条12号の8ロ)の定めは設けられていない。

しかしながら、原判決第5・3(2)が説示するように、組織再編税制は、組織再編成の前後で経済実態に実質的な変更がなく、移転資産等に対する支配が継続する場合には、その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるということを基本的な考え方としており、また、先に組織再編税制の立案担当者の説明を引用して判示したとおり、組織再編税制は、組織再編成により資産が事業単位で移転し、組織再編成後も移転した事業が継続することを想定しているものと解される。

加えて、これも原判決が第5・3(2)で説示するとおり、支配関係にある法人間の適格合併については、当該基本的な考え方に基づき、前記の従業者引継要件及び事業継続要件が必要とされているものと解され、殊更に、完全支配関係にある法人間の適格合併について、当該基本的な考え方が妥当しないものと解することはできないから、当該適格合併においても、被合併法人から移転した事業が継続することを要するものと解するのが相当である。

そして、これらの基本的な考え方等を踏まえれば、完全支配関係にある法人間の適格合併について、法人税法132条の2の適用の有無に関し、その不当性要件に係る租税回避の意図があるか否か、同法57条2項の趣旨目的から逸脱しているか否かについては、関係者において、当該行為自体から認識し検討することが可能というべきである。

よって、完全支配関係にある法人間の適格合併について、事業の移転及び継続を含め検討すべきものとしても、納税者の予測可能性を害するものとはいえず、控訴人の主張を採用することはできない。」



 いわゆる「趣旨からの解釈」をしているみたいなんですが、どうにもすんなり理解しがたい。

 個々の要件の意味を明確にするために立法趣旨から解釈する、というのが通常の趣旨解釈のあり方だと思います。
 ところが、この判決では、組織再編税制という制度全体の趣旨から、完全支配関係の場合に要求されていない従業者引継要件・事業継続要件を付加する、という、かなりアクロバティックな解釈をやっているようにみえます。

完全支配関係あり(当事者間)
 1 金銭等不交付要件
 3 従業者引継要件  ←New!
 4 事業継続要件   ←New!

 7 支配関係5年超

 これがたとえば、7の支配関係について、名義だけあればいいのではなく実質的に支配してないとだめ、とかならまだ分からないではない。あくまでも既存の要件を精緻化しているだけなので。
 が、あたらしく3、4の要件を付加するなんてことを解釈レベルでやってしまってもいいのか。

 もしこの判決を擁護するとしたら、正面から要件として付加しているわけではない、否認規定を使ってその趣旨を反映しているだけだ、といえるのかもしれません。

 それが、あくまでも否認するための一要素としての考慮にとどまるなら、そういえなくもない(もちろん、余計な考慮要素を増やすと「明確性」の問題がでてきますが、それは否認規定自体の問題でもあります。)。
 ところが、上記判示では「被合併法人から移転した事業が継続することを要する」とはっきり書いてしまっています。

 ので、事業継続していない場合は「必ず」否認されることになります。
 事業継続してないのに欠損金使うのは、常に「不当に」に該当するわけで。

 実際に課税庁が否認規定を発動するかどうかは別として、実体法レベルではそういうことになります。

 もう勇み足感満々。


完全支配関係あり(当事者間)
 1 金銭等不交付要件
 3 従業者引継要件(←否認発動条件として)
 4 事業継続要件 (←否認発動条件として)
 7 支配関係5年超

支配関係あり(当事者間)
 1 金銭等不交付要件
 3 従業者引継要件
 4 事業継続要件
 7 支配関係5年超

 並べると、完全と非完全で要件全く同じだぜ。
 これがたとえば、3の「おおむね80%」が完全ならおおむね50%でいいよ、とかいうなら違いがでるんでしょうが、そういうことを判示しているわけでもない。
 完全だから100%必要とか言い出さないだけましですか。

 そもそもこの判決、完全の場合にも3・4と同じものを要求しているのか、それともそれらしい何かを要求しているのか、判示からは読み取れない(のに、予測可能性を害しないとか言っちゃってる)。


 「否認の場合は課税庁に立証責任があるから違うんだ!お前は違いの分からない奴だな!」という反論があるかもしれません。

 が、(この記事では単純化のために省略してしまいましたが)本件事案では「事実認定」ではなくその事実の「評価」のところ(とその前提の法解釈)が主戦場になっています。

 1 法解釈 《完全でも事業継続を要するか》
 2 事実認定 《どういう事実があったか》 ←立証責任が働くところ
 3 事実の評価 《その事実は事業継続と評価できるか》

 ある事実が認定できたとして、それが事業継続と評価できるかというところ。
 ので、立証責任を転換されたところで、おそらく結論に影響がない。

 そもそも、立証責任を転換できるのは、そうできるだけの「事実的基礎」があるからです。

 たとえば、A時点とB時点での占有が認定できるなら、A〜B間の占有も推定する、とか。

  前提事実: A時点占有 B時点占有
  推定事実: A〜Bの占有

 AとBで占有しているってことは、普通はその間もずっと占有してたってことだろ、みたいな。
 で、A〜B占有を否定したい側が、その間の断絶を立証すべきことになると。

 が、完全支配関係と従業者引継・事業継続の間にはそんな連関は存在しない。
 支配とヒト・モノは、全く別物。

【そんな連関ない】
  完全支配関係あり合併: ヒト・モノも継続するのが普通
  完全支配関係なし合併: ヒト・モノは継続しないのが普通

 ということで、完全支配関係があることをもって従業者引継・事業継続の立証責任を転換するなどというのは、およそ合理性を欠いています。


 ところで、これは平成22年税制改正「前」の事案です。

 ここに、平成22年税制改正で導入された「グループ法人税制」を視野にいれると、違った様相になってきます。

ふたりはプリキュア(後日テコ入れで増員) 〜グループ法人税制のおさらい〜

 同制度に、この論点が直接規定されているわけではないです。
 が、「完全」支配関係があるかどうかで同制度の適用を受けるかどうかが決まる、というのは、100%グループとそれ以外とでは、法人税法上も別物だという評価がされているということがいえます。

 そうすると、趣旨解釈をするというならば、この判決のように、ただの支配関係間の合併の趣旨を無遠慮に完全支配関係間の合併にも持ち込むことは、もはやできない。
 完全支配関係間の合併の場合でも、支配関係にとどまる場合と同じ趣旨があてはまる根拠を説明しなければならない。

 本判決では「殊更に、完全支配関係にある法人間の適格合併について、当該基本的な考え方が妥当しないものと解することはできない」とか、積極的な論拠もない雑な判示をしているんですが、こんな無粋に、非完全の趣旨をノールックで完全のほうに「横流し」できないってこと。

 というか、同制度が施行される前の行為であっても同じであることの説明が必要だったと思いますが、その必要性がさらに高まったということです。

 そもそも本判決がやってる解釈、趣旨解釈というよりもはや「類推解釈」へ逝っちゃってると思う(あえての誤字)。
 非完全と完全との違いを捨象して、完全のほうに存在しない要件を持ち込んじゃっているわけで。

 これが、完全に要求される要件なら非完全にも要求されるはずだ、という「完全⇒非完全」方向の横流しだったら「勿論解釈」といえるんでしょう(大は小を兼ねる)。
 ところが本判決はその逆、小は大を兼ねる(!?)などという倒錯した解釈に手を出している。
 
【横流し2ルート】
 完全⇒非完全: 大は小を兼ねる (分かる)
 非完全⇒完全: 小は大を兼ねる (!?)

 いやいや、本判決は非完全から直接完全に横流ししているんじゃない、組織再編成の趣旨に遡って検討しているんだ、とかいう反論があるかもしれません。

 が、それ横流しよりさらに悪質な「趣旨ロンダリング」(趣旨ロン)ですからね。

【趣旨ロンダリング】
趣旨ロン.png

 趣旨ロン、ちょっと試してみましょう。

 《メリーゴーラウンド ⇒ 遊園地の遊具 ⇒ ジェットコースター》
  メリーゴーラウンドは幼児でも楽しめる遊園地の遊具だ
  ジェットコースターは遊園地の遊具だ
  ゆえにジェットコースターは幼児でも楽しめる

 《O氏 ⇒ 日本の女性歌手 ⇒ A氏》
  O氏はA氏に過激発言をする日本の女性歌手だ
  A氏は日本の女性歌手だ
  ゆえにA氏はA氏に過激発言をする



 鬼束ちひろ 「REQUIEM AND SILENCE」(Victor Entertainment2020)
 
 「またベスト盤か」とか言わないように。
 新曲『書きかけの手紙』、心がえぐられますよ。

 要するに、後の矢印それ自体の論拠を示すこともなく前の矢印だけを強調したところで、何の根拠にもならない、ということ。

 これがたとえば、

@非完全の適格要件として金銭等不交付要件が要求されている。
A完全の適格要件として金銭等不交付要件が要求されている。
Bゆえに、グループ内合併の適格要件は合併時に支配関係が変動しないことが基本的な考え方。

なら理屈はつながります
 共通要件を括りだしているだけなので。

共通要件.PNG

 これを
  @非完全の適格要件では事業継続が必要
  Aグループ内組織再編成は事業継続が基本的な考え方となっている
  B完全で欠損金を引き継ぐには事業継続が必要
とかやるから、理屈がガッタガタになるわけです。

ガッタガタ.PNG

 よりつめて考えてみると、本判決、洗浄2つカマしてませんか。

ダブル洗浄.PNG

 条文にない事業継続を正面から要件として要求するとゲートにひっかかるから、否認規定の「不当に」の中に詰め込んで持ち込むと。
 手口が巧妙すぎやしませんか。


 ちなみに、本判決の趣旨ロン、どうも以下の記述を彷彿させるんですよね。

「この本を読んだ方が、税法の中に数式ではなく、人々の生活の息吹や社会の動きを感じ取って、税法の面白さを少しでも理解してくれたら」

三木義一ほか「よくわかる税法入門 第13版」(有斐閣2019)

 条文上の要件に反映されていない「息吹」(組織再編税制は事業継続がキモだ!)を制度の背後に感じ取って、その「息吹」から一定の解釈を導くみたいなノリ(今だと『ミタマセキュ霊ティ』でイメージしてもらえばいいですか?)。


 さらにいうと、同じく平成22年税制改正で導入されたもので、完全子会社を「清算」した場合に欠損金の引継ぐ、ということになりました。

 なんと、事業を引き継がなくても欠損金を引き継げるという制度ができてるじゃないですか(新しい制度というか57条2項に事由が追加されただけ)。
 要は、100%グループならなるべく一体として扱おうぜ、の一環(ので、これもグループ法人税制のひとつですが、別立てで取り上げます)。

 まさか清算の場合にまで、事業継続が隠しコマンドとして存在するなんておバカなこと言いませんよね。

【事業継続横流し新ルート開拓】
  非完全合併 ⇒ 組織再編成 ⇒ 完全合併 ⇒ 完全清算??

 では、もし本件が改正後で「清算」ルートでいった場合はどう評価されるのか。
 本件事案と同じようなことは、別会社に事業譲渡をしてから子会社「清算」でも実現できるわけです(あるいは、改正前の「子会社株式清算損」ルートでもよさそう)。

 親会社:不動産屋、完全子会社:ナタデココ屋でイメージしてみましょう。

 合併ルート1:不動産屋が、ナタデココ屋の事業を他社に事業譲渡してから吸収合併
 合併ルート2:不動産屋が、ナタデココ屋を吸収合併してから同事業を他社に事業譲渡
 清算ルート: 不動産屋が、ナタデココ屋の事業を他社に事業譲渡してから清算
 (合併ルート2があるのは、事業継続要件が「見込み」なせいです)

 もちろん「組織再編成」の132条の2は使えませんが、「同族会社」の132条の適用があるのかどうか。

 合併ルートでいくと否認されるから清算ルートでいったんだろ、とか、別会社にまるっと事業譲渡していてそっちが事業やっているから実質的に清算したとはいえない、とかいう理由で否認されてしまうのか。

 さすがにそこまでの拡張はされないはずですが、この判決のノリからすると、そういうことを言い出しても驚かない。


 グループ法人税制も清算も、本件組織再編成「後」に施行された制度なわけです。

 なので、これら制度が直接本件組織再編成に適用されることがないのは、(遡及規定がないかぎり)当然です。
 そうだとして、これら規定の「趣旨」は、否認規定にいう「不当に」には反映されないのか。
 「不当に」の評価は、あくまでも行為時の法人税法を前提に判断するのか、それとも判決時までの事情も考慮に入れることができるのか。

 通常は行為時点で確定、なんでしょうけども、現時点で不当とはいえないものを否認するの(を裁判所が是認するの)は、どうも筋が悪い気がする。

 たとえばですけど、
  更正時に否認するのは適切だった
  でも判決時には不適切になった
という場合に、本税は返すけど還付加算金は付加しない、みたいな中間的な解決はできないものかどうか。

 こういう発想、以前書いた《解釈の幅》と似たような話です。

【解釈の幅】
税法・民法における行為規範と裁判規範(その7)

 あちらは、
  判決時には課税すべきという解釈になった
  でも行為時に課税されないと解釈することも無理はない
という場合に、判決前の行為には課税すべきではない、というものでした。


 さて、現時点で同じように事業継続なし合併をした場合、やはり否認されるんでしょうか。
 横流しするならするで、ちゃんと射程範囲を明示せえよ、と思う。

 この事件は上告・上告受理申立てをされているので、最高裁の判示に注目です。

 仮に結論が同じだとしても、高裁の理由付けが粗すぎるってことで、何がしかの判断はすると思うんですよね(個人的には結論ひっくり返すと予測していますが、「最高裁の良心を信じる」程度の見立て)。

 いずれにしても、現時点での実務的なアドバイスとしては、合併する「事業目的」をしっかり整えておきましょう、となります。

 これは別に組織再編だけの話ではなく、各種節税が絡むものに共通することです。

 保険のごとく細かく通達が整備されているものについては、それに従っているかぎりは基本的に否認されにくいわけです(あくまで「されにくい」)。
 他方で、組織再編だったり株価評価だったり、要件が整っているようで隙があるタイプの制度に関しては、単に形式だけを整えておけばいいのではなく、しっかり実質も整えておきましょう、ということになります。

 が、本件判決のような制度趣旨「横流し」系の判断をされるのでは、どんな実質を整えておけばいいのか予測がつけにくくて困る。
posted by ウロ at 16:47| Comment(0) | 判例イジり
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