2020年04月06日

「定期同額給与」のパンドラ(やめときゃよかった)

 古典的な論点である「定期同額給与」もの。

 もちろん、近時あれこれ改正入っているところなので、改正点をネタにすることはあるでしょう。
 他方で、古典中の古典たる「3ヶ月以内改定」なんて、今さらブログ記事にする人もいないのかもしれません。

 が、世の中の需要をまるで考慮しないこのブログ、条文イジりという観点から整理してみます。
 
【いまさら条文シリーズ】
みんな大好き!倒産防。 〜措置法解釈手習い
無償減資で均等割下げ(節税系の記事ではなく)


 以下、このタックスアンサーでいうと、1の(1)と(2)イに限定します。
 また、事例は「12月決算」の株式会社を前提とします。

No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)

 まずは条文。
 直接関係があるところのみ大胆に省略いれつつ抜粋。

法人税法 第三十四条(役員給与の損金不算入)
1 内国法人がその役員に対して支給する給与のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(「定期給与」)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(「定期同額給与」)

法人税法施行令 第六十九条(定期同額給与の範囲等)
1 法第三十四条第一項第一号に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(「定期給与」)で、次に掲げる改定(「給与改定」)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から三月を経過する日(「三月経過日等」)までにされた定期給与の額の改定



 法律上は大きく2つに分かれます。

法34条1項1号:
1 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(「定期給与」)で
  当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
2 その他これに準ずるものとして政令で定める給与

 「その他」とあるので、法で定めるものに「プラス」して政令で定めるものがあるということ。
 で、政令に3ヶ月以内改定のことが書いてあります。

 条文の引用のない解説ものだと政令のほうしか書いていなかったりしますが、条文の構造上は法の1がベースにあって、政令のやつはあくまでも「これに準ずるもの」だということになっています。

 会社法の側から考えると、定時総会での改定が通常ルールのように思えますが、法人税法上はまずは「事業年度」単位で考えるんだと。


 1によれば、定時総会まで待たずに期首月からの改定も許されることになります。

《事例0》
 1年12月 50万円
 2年 1月 100万円 (改定)
  〜
 2年12月 100万円

⇒2年1月〜12月 同額

 「定時株主総会によらず期首から改定するのは定期同額給与の趣旨に反するから否認リスクあり」みたいな記述を見かけたことがありますが、それはこの条文構造をおよそ踏まえない独自の見解。


 で、政令のほうが本日のメイン。

 まずは要件を分解します。

ア 定期給与:
  その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与
イ 給与改定:
  事業年度開始の日から三月を経過する日までにされた改定
ウ 同額給与:
  当該事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日まで
  給与改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日まで
 の間の各支給時期における支給額が同額

 アは書いてあるとおり。
 イもこれ自体は書いてあるとおりなんですが、3ヶ月以内に改定決議だけしておけばいいのか、その改定による支給も3ヶ月以内にする必要があるのか、という問題があります。
 結論的には、決議だけでよいとなるのですが、ア・ウとの関係でおのずから制限がでてきます(後述)。

 ということで、問題の総本山がウの要件。


 まず、ノーマルな事例であてはめてみます(通常事例思考)。

【通常事例思考】
米倉明「プレップ民法(第5版)」(弘文堂2018)
内田勝一「借地借家法案内」(勁草書房2017)

《事例1》
 1年12月 50万円
 2年 1月 50万円 (1/31支給)
 2年 2月 50万円 (2/28支給)
 2年 3月 100万円 (3/25改定決議、3/31支給)
   〜
 2年12月 100万円 (12/31支給)

3月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(3/30)まで
 ⇒1/31、2/28 同額
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(3/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒3/31〜12/31 同額

 一般向けの解説書だと、単に3ヶ月以内に改定すればいいよ、とウの要件を書いていないものもあったりします。
 それは、このような一定期間を設定しその間に到来する支給時期で比較する、という回りくどい要件を書いてもどうせ理解してもらえない、という配慮からでしょうか。

 まあ、実際上記のような《通常事例》ならば、結論は変わらないから実害はないんでしょう。


 が、次のような事例がでてくると、条文に立ち返らざるをえない。

《事例2》
 1年12月 50万円
 2年 1月 50万円 (1/31支給)
 2年 2月 50万円 (2/28支給)
 2年 3月 50万円 (3/31支給)
 2年 4月 100万円 (4/30支給) 3/25改定決議による
   〜
 2年12月 100万円 (12/31支給)

 なぜ、3/25改定決議の反映が、直後の3/31支給ではなく4/30支給からになるのか。
 それは、この会社では3/25に決議された役員報酬は、同日からの職務期間に対応するものだとしているからです。
 3/25から1ヶ月分の報酬を4/30に支給すると(後払)。

 にもかかわらず、《事例1》と同じようにあてはめをすると、

3月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(3/30)まで
 ⇒1/31、2/28 同額
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(3/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒3/31〜12/31 同額でない

となってしまいます。

 また、改定決議自体は3ヶ月以内に行っているものの、その改定に対応する支給は3ヶ月後になってしまっています。
 そうすると、イの要件を満たすのかどうかも問題になります。


 この点、国税庁の「Q&A」では「職務執行期間」という考えを導入して、このようなものを容認しています(決算期がズレててすまん。オフィシャル事例、そろそろ12月決算にそろえないか)。

役員給与に関するQ&A - 国税庁(P.8)

3月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(4/29)まで
 ⇒1/31〜3/31 同額
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(4/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒4/30〜12/31 同額

 Q&Aではウの緩和しか明示されていませんが、イについても、決議を3ヶ月以内にすれば支給は3ヶ月後でもいい、ということを前提にしていると思います。


 納税者有利な結論ではあるものの、この考えが政令の解釈として出てくるものなのか、国税庁が勝手に緩和してくれているだけなのかがはっきりしません(通達ですらない)。
 Q&Aに書いてあるのは「ウチはそう考える」というだけで、条文解釈の体裁をとっていません。
 政令の文言をどう解釈すれば、この結論が出てくるというのかが不明。

 納税者有利だから別にいいじゃん、て思うかもしれません。
 が、これが正当な法解釈でないとすると、あとから裁判所でひっくり返されることもありえます(信義則やら禁反言などはそう当てにはできない)。

 そこで、頑張って政令の解釈をするならば、
イ 給与改定
 文字通り改定決議日が3ヶ月以内であればいいということ
ウ 同額給与
 「給与改定前」「給与改定後」とあるのは、改定決議日そのものではなく、職務執行期間を考慮するということ(決議日3/25ではなく、新しい職務執行期間1ヶ月目の終了日4/25の前後で判定)

とでも読むことになりますか。
 政令も支給が後ろの月にずれる場合を想定しているはずだと。

 ただ、イでは決議日が基準になるといっておきながら、ウでは決議日ではなく職務執行期間に紐付けるというところに、そこはかとなく不整合感を感じます。
 条文ではわざわざ「給与改定」を定義づけた上でイとウを繋いでいるにもかかわらず、それぞれ違う意味合いで解釈をすることになるわけで。


 この「職務執行期間」を考慮する解釈、翻って典型例である《事例1》にあてはめるとこうなります。

3月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(4/29)まで
 ⇒1/31〜2/28、3/31 同額でない
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(4/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒4/30〜12/31 同額

 駄目じゃんか。

 もちろん、この事例が
  新しい職務執行期間3/25〜 ⇒対応する1ヶ月目の支給日3/31(一部前払?)
だというならば、あてはめは最初に書いたとおりになるからセーフです。

 が、大半の中小企業は、職務執行期間なんか気にせずに改定・支給しているはずです。
 そうすると、今までは単純に、決議日の直後の支給日から反映させればいいと考えられていたものを、その支給日が新しい職務執行期間の1ヶ月目に対応するものかを確認しなければならなくなります。

 この結論がおかしいのだとすると、ウを二通りに解釈しなければなりません。

ウ 同額給与
 「給与改定前」「給与改定後」とあるのは、
 ・文字通り改定決議日の前後
 ・新しい職務執行期間1ヶ月目終了日の前後

 このどちらでもいいんだと。
 が、こんなご都合解釈、ますます条文解釈からは出てきそうにない。
 

 では、ウが緩和されたってことで、3/25決議で7/31支給からの変更が許されるかといったら、それは駄目っていうんでしょう。
 あくまでも1ヶ月サイクルのずれに収まるかぎりでの許容だと。

 確かに、不整合感は残るにしても、職務執行期間で縛っておかないとどこまでも後ろにずらせることになります。

 そうはいっても、このような限定が条文解釈から導けるかどうか。
 定期同額ルールの究極の趣旨である「利益調整許すまじ」という発想からすれば、3ヶ月以内に決めたものであるかぎり、いつから反映してもいいように思いますし。
 遡りさえしなければいいわけで。

 まあ中小企業の現実として、後付け議事録云々という問題はあるんでしょう。
 が、そういった現実が条文解釈に直結するわけでもない。

 ただし、制度趣旨を理由に条文上表現されていない解釈を創造することの問題点は、前に高裁判決をイジり倒したとおりです。
 1ヶ月サイクルに限る/限らない、いずれと解するにしても、あくまでも条文解釈として可能な範囲にとどまらなければなりません。

横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)


 では、1で期首から改定が許される+2で3ヶ月以内改定が許される、というのを合成して、2段階改定したらどうなるか。
 ややこしくなるので「職務執行期間」のことを気にしなくていいという前提で考えます。

《事例3》
 1年12月 50万円
 2年 1月 70万円 (1/1改定決議、1/31支給)
 2年 2月 70万円 (2/28支給)
 2年 3月 100万円 (3/1改定決議、3/31支給)
   〜
 2年12月 100万円

 1月に70万円に増額したものの、やっぱり今期はもっといけそうってことで3月に100万円に増額した、というストーリー。

 2年12月末の時点から振り返ってみると、2年1月〜12月が同額でないので1の要件は満たしていません。
 では2はどうか。

 2年1月・3月2回の改定は、いずれも3ヶ月以内改定なのでイは満たしています。
 問題はやはり、ウをどう考えるかです。

「@当該事業年度開始の日又はA給与改定前の最後の支給時期の翌日からB給与改定後の最初の支給時期の前日又はC当該事業年度終了の日まで」

 この条文をどう読むのかがあらためて問題になります。

 通常は、上記のとおり、
  @〜B A,C
  A〜C B,D
の間がそれぞれ同額かを見ればすみます。
 では、改定を2回した場合にはどうあてはめるのか、たすき掛けしてA〜B(E)もみる必要があるのかどうか。
 ちなみに、@〜Cは1と同じになっておよそ同額ではなくなってしまうので、検討からはずします(このことからすると、たすき掛け読みすべきでない、という方向になりそうですが)。

 無理くりやってみます。

1月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(1/30)まで
 ⇒なし。
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(1/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒1/31〜12/31 同額でない

3月改定
C 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(3/30)まで
 ⇒1/31、2/28 同額
D 給与改定前の最後の支給時期の翌日(3/1)から当該事業年度終了(12/31)の日まで
 ⇒3/31〜12/31 同額

1月改定〜3月改定
E (1月)給与改定前の最後の支給時期の翌日(1/1)から(3月)給与改定後の最初の支給時期の前日(3/30)まで
 ⇒1/31、2/28 同額

 う〜ん、て感じですよね。
 2回改定がある場合には、A+E+Dで見ればいいのか、2回目のC+Dだけを見ればいいのか、それともA〜E全部みるのか。

 仮に、A〜E全部でみて損金不算入になるのだとしたら、一体どの部分が不算入額として扱われるのか。


 では、《事例3》に「職務執行期間ズラし」をプラスしたらどうなるか。

《事例4》
 1年12月 50万円
 2年 1月 70万円 (1/25改定決議、1/31支給)
 2年 2月 70万円 (2/28支給)
 2年 3月 70万円 (3/31支給)
 2年 4月 100万円 (3/25改定決議、4/30支給)

1月改定
A 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(1/30)まで
 ⇒なし。
B 給与改定前の最後の支給時期の翌日(1/1)から当該事業年度終了の日(12/31)まで
 ⇒1/31〜12/31 同額でない

3月改定
C 当該事業年度開始の日(1/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(4/29)まで
 ⇒1/31〜3/31 同額
D 給与改定前の最後の支給時期の翌日(4/1)から当該事業年度終了(12/31)の日まで
 ⇒4/30〜12/31 同額

1月改定〜3月改定
E (1月)給与改定前の最後の支給時期の翌日(1/1)から(3月)給与改定後の最初の支給時期の前日(4/29)まで
 ⇒1/31〜3/31 同額

 何気なくあてはめしてますけど、ここでは、
  1月改定 決議日で判定
  3月改定 職務執行期間を考慮して判定
と、同じ「給与改定」という言葉を違う意味で解釈しています。

 《事例2》と《事例3》のように、違う事例での使い分けが許されるとしても、同じ事例で同時に使い分けるのは、さすがに無理じゃないですかね。
 1月改定で職務執行期間サイクルを無視した改定をしているくせに、3月改定では職務執行期間を考慮するなんて、合理的な説明できないですよね。

 もし仮に違う意味解釈が許されたとしても、《事例3》同様、BCを除け者にして判定していいのかどうかが問題。


 ここまで、「決議」とだけ書いてきましたが、これが「定時総会」である必要があるのか、それとも「臨時総会」でもいいのか、ということも問題にはなります。

 「3ヶ月以内」とあるので、いかにも定時総会を想定しているように思えます。
 が、少なくとも条文上は限定されていない。

 限定したいのであれば、会社法の条数を引用してそのものずばりを書くなり、あるいは「職務執行期間」に紐付けて特定することができたはずです(事前確定みたいに)。
 ですが、そういう縛りはありません。

 ではあるのですが、Q&Aが「職務執行期間」を梃子にしてウを緩和しているわけで、その見返りに、支給が後ろにずれる場合は「定時総会」に限定される、みたいな交換条件がでてきてもおかしくない。

 例の「変な趣旨解釈」みたく、条文上書いてもいない限定要件を一般的否認規定経由で勝手に付加する、というのに似ていますが、ちょっと毛並みが違う。
 有利な緩和とのバーターになっているわけで。

【変な趣旨解釈】
横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)


 そもそも定期同額給与について、法のレベルでは「事業年度」単位で判定になっていて会社法のことなんて気にしていないのに、それに準ずるはずの政令で「職務執行期間」なんて概念を持ち出すのが、変といえば変です。
 
 とすると、あくまでも法令上は支給が後ろにずれるのはアウトだけども、実情に鑑みてあえて否認はしませんよ、と捉えるのが無難でしょうか。
 こういう理解でいいのだとすると、通達に書かずにQ&Aでとどめていることの奥ゆかしさ、慎ましさみたいなところに趣を感じます。

 そういう視点で通達の「定期同額給与」のところをみると、あえて避けているようにも読めてくるから不思議。

法人税基本通達 定期同額給与
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_03.htm

 これに対して「短期前払費用の特例」のでしゃばり具合。
 みんなにチヤホヤされて、さぞ嬉しかろうが。
 しかしちょっとでも機嫌を損ねるとブチ切れる感がきついよ、この人。

法人税基本通達2−2−14 (短期の前払費用)
 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2−2−14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。



 と、何も結論でていないものの、私個人の見立ては以下のとおり。

《法令解釈》
・政令上は「改定決議⇒その直後の支給」と読まざるをえないのであって、職務執行期間を考慮して後ろにずらすのは許されない。これは「令の不備」。
・はみ出さないパターンならば、決議は3ヶ月以内でありさえすれば定時総会である必要はない。
・2回改定はA〜Bのたすき掛け読み(A+E+Dでみる)で許容可能か。

《実務運用》
・職務執行期間ズラしは政令上はアウトだが、実態に鑑みて、国税庁様があえて否認はしないよと言ってくれている。
 ので、後ろにズラせるのは、Q&A記載のとおりの「定時総会による改定+1ヶ月サイクル」におさまる場合に限られる。
 この優しさを裏切ってはみ出しチャレンジをした場合には、徹底的に否認されるはず。

  法律; 事業年度 ⇒セーフ
  政令; 改定+直後支給 ⇒セーフ
  Q&A; 定時改定+職務執行期間考慮  ⇒アウトだが容認
  勇者; Q&Aはみ出し ⇒完全アウト

《裁判》
・裁判になったとしても同様に、政令上は直後支給のみが許容されている、合理的な範囲のズラしは個別救済、と判断されそう。
 で、補足意見で政令の出来の悪さを論難されると。


 マニアックな特例ならともかく、定期同額給与なんてメインストリームの制度なのに、なんでこんなできの悪い条文のままなのか。
 誰かチャレンジングな人がギリギリを攻めて裁判にならないかぎり、このまま放置され続けるんでしょうかね。

 ちなみに、下記の判決では最高裁判事に通達の出来の悪さをボロクソに論難されたわけで、近いうちに通達改正がされるんでしょう。

解釈の解釈を解釈する(free rider) 〜東京高裁平成30年7月19日判決
解釈の解釈の終わり? 〜さらば東京高裁平成30年7月19日判決
解釈の解釈は終わりました。〜最高裁令和2年3月24日判決【判例速報】
解釈の解釈の介錯 〜最高裁令和2年3月24日判決


 条文なぞって終わり、で済むかと思いきや、よくわからない論点が出てきてしまいました(藪蛇)。

 定期同額給与なんてみんな知ってるよ、という類のものなので、こういう疑問を会計事務所・税理士事務所の人に聞いても、結論だけは自信満々に言ってくれるけどもなぜそうなのかの理由付けを説明してくれない、タイプのやつです。

 2回改定が「許される」とか「許されない」とか結論をいうのはいいんですが、それがこの条文をどうあてはめたら出てくるのか、理由付けのほうを知りたいんですけども。

 私自身も、今のところこれで勝負をかけようとは全く思いませんが、最後に残るものが「希望」となるのかどうか、もう少し考えてみます。
posted by ウロ at 10:56| Comment(0) | 法人税法
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