2021年01月25日

高木光「行政法」(有斐閣2015)

 これほどの、砂を噛むような記述に出くわしたのは久しぶり。

 しじみ・あさりのジャリジャリだって、最近は当たらずに済んでいたのに。
 どんなに砂を抜いても、自分だけ当たりがち。
 あと、自分だけ傘、風に飛ばされがち。



高木光「行政法」(有斐閣2015)

 このところ私が、難解・難渋な書籍を避けていた、というだけかもしれません。
 それなりに読書経験を積んできたことで、難渋回避センサーが自動発動していたと。

 今様の税法条文を素読するよりもしんどかったというのが実感。
 今どきは、各自工夫をこらした教科書が執筆されているので、逆に希少種といえなくもない。

 最初に《設例》が掲げられていたので、それを軸に具体的な記述が展開されるかと思いきや。
 ときどき思い出したかのように、設例のあてはめがでてくる以外は、延々と抽象的な記述が続く。

 てっきり、米倉明先生の民法入門書的なコンセプトかと期待したものの、およそそうではなく。

米倉明「プレップ民法(第5版)」(弘文堂2018)

 判例の説明も、事案の記述が薄くて意味が取りにくい。
 学生がこんなレジュメ作ったら、「判例を一般化しがち」と怒られる感じの。

判例の機能的考察(タイトル倒れ)


 もちろん、学術的にはとてもとても高度なことが書かれているのだと思います。

 確かに、お紅茶も用意せずに『濃厚バームクーヘン』をひたすら食べまくっておきながら、「口の中の水分全部もってかれるわボケ!」とクレーム(バームクレーム)をいうとしたら、それはお門違いだと私も思います。
 お前がクーちゃんのこと知らないだけだろうと。

 が、見てくださいよ、amazon記載の宣伝文句。

 わかりやすい行政法教科書の決定版!
 行政法をわかりやすく学ぶ人へ最適のテキスト。初学者でも自然に読み進めることができるよう,基本的な事項を中心に説明。行政救済法を中心に,行政組織法と行政作用法の関連事項にしぼることでメリハリをつけた叙述に成功!

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 「お紅茶もこちらでご用意しますからお気軽に手ぶらで来てくださいね」ということを言ってますよね、これ。
 むやみやたらとエクスクラメーションマークまでつけちゃってさ。

 これが美辞麗句・社交辞令だとも気づかず、真に受けてお土産も持たずにお伺いした私が世間知らずなだけですか。

【期待だけが高まる宣伝文句といえば】
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅

 およそ「初学者でも自然に読み進める」なんてことはなかったです。

 最初の数ページでしんどくなったものの、この宣伝文句を心から信頼し、もしかしたらどこかから急に面白くなるのかも、と期待してどうにか読みました。
 が、最初から最後まで同じ調子の。

 この宣伝文句を書いた人、ガワだけ眺めて中身をしっかり読んでいないんじゃないですかね。
 制作・編集部門とは別個独立した、宣伝文句クリエイション部門があるんですかね。
 クリエイション部からの御宣託(The Oracle)があると、誰もそれに異を唱えることができない。

 そうとでも言わなければ、ここまでのズレ文を書くのは逆に難しいと思いますよ。
 高木先生ご自身にも失礼なような。

【流れ弾】


 これを「つらい」と言っちゃうのもどうかと思いますが。
 「売らんがな」とのせめぎ合い、ということですか。


 当ブログでは、どんなにアレな本であっても、どうにかネタとして昇華してきました。
 むしろ、ありがとうアクティブ・ラーニング系。逆に、自分で考えながら勉強することができました。

【アクティブ・ラーニング系】
後藤巻則「契約法講義 第4版」(弘文堂2017)
三木義一「よくわかる税法入門 第15版」(有斐閣2020)
小林秀之「破産から新民法がみえる」(日本評論社 2018)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民まとめ)

 が、今回は無理。バームクーヘンまでが限界。

 一点プラスの評価をするとしたら、カバーデザインが素敵です(本当のガワ)。


 念のため、誤解のないように。

 本書の内容を分かりやすくしろ、などというおこがましい意見は一切主張しておりません。
 ではなくて、内容に即した宣伝文句にしろ、ということを言っております。

 素朴に考えるならば、宣伝文句で釣っても継続的な信頼は得られないのだから、盛る意味ないのでは、となるはず。
 やはり、大学の講義の「指定教科書」としてもらうことが重要であって、個々の購読者の信頼は二の次、ましてやネットで購入する野良ユーザーの信頼なんかゴミクズだと思われているんですかね。

法学研究書考 〜部門別損益分析論


 このように心がかき乱されたときは、お口直し・調子を整える用の入門書を読み直します。



藤田宙靖「行政法入門 第7版」(有斐閣2016)

 ガンシューティングゲームでリロードする、あるいは、リングフィットアドベンチャーでリングコンを下に向ける、的な所作だと理解していただければ。



リングフィット アドベンチャー(Nintendo2019)
※いわゆる定価(8,778円)以上でご購入されないように。


 昔から不思議でたまらないのが、後発の教科書ほど優れたものになるはずだ、という《素朴な》進化論的発想が、法学教科書には通用しないということ。
 単線的な進化をしない、とても現実の生物界っぽいですね。
 
 しかし、後出しジャンケンで負けるってなんなのよ。
 首が短いと高いところの木の葉が食べられない、よーしじゃあ首を長くしよう、が教科書ならできるはずですよね。

 とはいえ、これもあくまで宣伝文句どおりの書物ならば、という前提があっての難癖です。
 そもそも学生にわかりやすい教科書なんか目指していないよ、というならば、それはそれで構わないわけです。宣伝文句で盛らないかぎりは。

 今どきは「試し読み」できるものもあるので、「宣伝文句騙され」は減ってきているのでしょうが、まだまだ根絶には至りません。
posted by ウロ at 11:20| Comment(0) | 行政法
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