今回は「契約各論」のうち非典型契約。
「新 実務家のための税務相談(民法編) 第2版」(有斐閣2020)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民1)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民2)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民3)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民4)
61 クレジットカード契約
「この引渡しと支払とは同時に行われるのではなく、先に商品をもってレジなどに並ぶのが一般的ですから、引渡しが先といえます。このとき、売主は買主を信用しているわけです。」
マジか、商品を手にとった時点で引渡し完了か。
・
以下は頭出ししたやつの再掲。
「新 実務家のための税務相談(民法編) 」(有斐閣2017)
「信販会社は立替払をしています。そうすると、この支払いをしたときに、経費の支出があるため、損金が計上されることになります。それにあわせて、利用者に対する貸付金債権が発生するため、それを益金計上することになると思います。」
信販会社側の税務処理なんて、私にはおよそ縁のない話だと思います(私どころか大多数がそうだと思うので、それをわざわざ本書で記述する必要ある?というのはさておき)。
が、これ、何言っているんでしょうか。
ここでいう「経費」とはなんなのか。まさか立替払のことか。
「それを益金計上」というのは、貸付金債権のことなのか、そうなのか。
ていうか、立替払をすると売掛金が貸付金になるのか。
仕訳にするとこうですね、マジかよ信販会社(見慣れぬ科目名はオリジナル)。
立替金費(損金)/現金
貸付金/貸付金収入(益金)
てっきり手数料だけが売上になるのかと思っていましたよ。
利用者の利用額が、加盟店の売上になるだけでなく、信販会社の売上にもなるってことですね。
これ、会計素人の人が「銀行から借入すると収入、返済すると(元本返済も)費用になる」みたいなことを言っているのと似ているような気が。
全力で善解して、「ファイナンスリース」のことを言っていると読めばどうにかなりますか。
や、無理だわ。別途「ファイナンスリース契約」の項目もあるし。
あるいは、これはあくまでも税務処理であって会計処理ではないのだ、と考えてみましょうか。
そうすると、会計で計上されていない貸付金収入と立替金費を、申告書上で加減算すればいいんですかね。
意味ねえな。
そもそも会計とズラすには法的根拠が必要なはずですけど、そういう規定があるわけでもないですし。
また、ここでは「立替払方式」のことしか書かれていません。
「債権譲渡方式」についてや、あるいは「三当事者型」以外のタイプについては一切触れられていません。
小塚荘一郎,森田果『支払決済法 第3版』(商事法務2018)
65 フランチャイズ契約
「印紙税法別表第1課税物件表C」
「C」とは何か。かつてそんなものがあったのでしょうか。
66 ライセンス契約
ロイヤリティは「雑所得」、としか書いていない。
67 死後事務委任契約
ちゃんと実務的なことが書いてある。
68 民事信託
民事信託の定義が書かれていない。
次の「69 商事信託」の裏返しとして推測することを強要されている。
・
信託の税務は、ノーマルな贈与・相続と比較しながらじゃないと理解しにくい。
信託も契約だから、といって非典型契約の箇所に配置することの弊害。
69 商事信託
従業員の退職金積立に信託銀行を利用したいと聞かれている場面で、ただ税法上の信託類型を並べただけではおよそ回答になっていない。
他の制度との得失を比較しながらじゃないと。
70 投資信託
こちらも、埋草的に税法上の類型を並べてみた、という感じ。
課税方式とか源泉徴収の話とか、書くべきことは色々あると思いますけども。
71 事務管理・費用償還請求
兄が負担すべき税金を償還請求できない、のだとしてこの設例の後始末はどうなるのさ。
73 不法原因給付
密輸のための貸付けが不法原因給付で返還請求できなくなるというのが、どういう場合に「事業の遂行上生じた」貸倒れに該当することになるのか。
例によって、具体的なあてはめを書かない(徹底的)。
75 損害賠償
こういう項目を設けるのならば、各所に散らばった非課税所得云々といった記述は、ここでまとめられるはずなんですけど。
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民6)
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民まとめ)
2020年08月31日
アクティブ・ラーニング租税法【実践編】(実税民5)
posted by ウロ at 11:38| Comment(0)
| アクティブ・ラーニング
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