2021年03月01日

さよなら「権利確定主義」(その1) 〜事業所得と給与所得

 当ブログでは、税法学上の通念に対して、眉唾概念呼ばわりすることがあります。

・借用概念
・納税者の予測可能性
・包括的所得概念


などが、これまでイジりの対象とされてきました。


 下記記事を書く中で、支払調書における「支払の確定した」が、収入側の「その年において収入すべき」と同義なのかどうか、という疑問に突き当たりました。

支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について
支払調書における「支払金額」(支払の確定した金額)について【追補】


 が、そもそもの話として、後者の解釈として通用している権利確定主義という「お主義」にも、どうも眉唾の気がありそげな気がしてきました。

 ということで、以下検証してみます。


 所得税法36条の「その年において収入すべき」時期について、税法本では通例次のような構成で記述がなされます。

《収入の年度帰属》
・ 総論
  原則は「権利確定主義」だが例外として「支配管理基準」により判断される。
  そして、いくつかの判決・裁決のご紹介。
・ 各論
  所得税基本通達36-2以下の羅列。

 学術書だと総論が厚めで各論は場合によっては記載されない、他方、実務書だと各論の通達のご紹介が多め、という傾向があります。

 なんで一方を「主義」と呼び、他方を「基準」と呼ぶのか、言葉遣いの不統一感も気になります。
 が、それはさておき、総論で論じられていることは、本当に法36条の解釈として妥当なのかどうか。

所得税法第三十六条(収入金額)
 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。


所得税基本通達
第2款 所得金額の計算の通則 法第36条《収入金額》関係〔収入金額の収入すべき時期〕


 「権利が確定した」という言い方ができるタイミングとして、理論上は次の4つのものがありえます。

例:請負契約(月末締・翌月10日払)
 1 契約締結
 2 引渡完了
 3 支払期日到来
 4 支払

 事業所得の場合、権利確定というのは134のどれでもなく2だとされています。

 この「権利確定」という言い回し、あたかも「私法準拠」しているつもりっぽいので、民法の規定がどうなっているか見てみましょう。

民法第六百三十三条(報酬の支払時期) 請負
 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

民法第六百二十四条(報酬の支払時期) 雇用
1 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。


 民法633条をみると、(規定上は同時履行とされていますが)引渡をすれば報酬請求できることになります。

 お、ちゃんと私法準拠しているじゃん、と思うかもしれません。
 が、但書の準用条文として引用した624条第1項をみてご覧なさい。

 雇用のほうも、労務が完了すれば報酬請求できるとあります(こちらは先履行)。
 ところが税の側では、「支給日」または「支給を受けた日」が給与の収入すべき時期だとされています。

所基通36−9(給与所得の収入金額の収入すべき時期)
 給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
(以下略)


※「支給日」というと、実際に支給された日と区別しにくいので、以下では「支給期日」といいかえます。また、実際に支給された日のことは「支給受領日」といいます。
 また、あくまで通達ルールではありますが、特に異論も見られないので、税法解釈として妥当なものだという前提で記述します。

 なお、下記通達からすると、通達の立場はもはや権利確定主義を放棄している、とみることができるかもしれません。私法上の適法・違法にかかわらず収入になるとされているので。

所基通36−1(収入金額)
 法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。


 が、違法所得の場合は実際の「受領」を要求する判決・裁決もあるとおり、無条件に収入実現が肯定されているわけではありません。
 ので、ここでは「違法であっても当然には排除されない」という狭い意味で理解しておきます。


 この、民法と税法の対応関係の整理すると次のようになります(雇用に言葉を合わせるため、引渡ではなく役務提供と書きます)。

《支払期限の定めなし》
    支払請求  収入計上
    (民法)  (税法)
 請負 役務提供日 役務提供日 ←私法準拠
 雇用 労務提供後 支給受領日 ←税法独自

 雇用のほうは、民法では労務提供後には報酬請求できるとあるのに、税法では受領するまで収入計上しなくてよいことになります。

 民法のデフォルトは支払期限の定めがない場合で書いてありますが、今どきは支払期限を定めるのが普通でしょう(○日締翌月△日払など)。
 この場合は次のようになります。

《支払期限の定めあり》
    支払請求  収入計上
    (民法)  (税法)
 請負 支払期日  役務提供日 ←税法独自
 雇用 支給期日  支給期日  ←私法準拠

 支払期限の有る無しで私法準拠/税法独自がひっくり返るという、謎の現象。
 こんな状態では、何のポリシーも見いだせません。

 税法が民法に連動しないのであれば、それはもはや私法準拠していない、ということです。
 「や、あくまでも私法準拠が原則で税法独自は例外だ」などと言い訳するのかもしれません。

 が、この手の「原則例外モデル」の欺瞞性は、すでに批判ずみのところ。

からくりサーカス租税法 〜文言解釈VS趣旨解釈、そして借用概念論へ

 融通無碍な例外則を許容した時点で、原則はもはや原則たりえない。
 実務能力のない、名ばかりお飾り税理士事務所所長みたいなものよ。


 この原則と例外が、期限の有無により入れ替わるなどという怪奇現象、どうやって説明するというのか。

 もしかするとですが、これは支払期日を役務・労務提供時と定めた場合を想定しているのでしょうか。

《支払期日=役務・労務完了時》
    支払請求  収入計上
    (民法)  (税法)
 請負 役務提供時 役務提供時 ←私法準拠
 雇用 労務提供時 労務提供時 ←私法準拠

 こういう場合であれば、私法と税法が一致し、請負と雇用も一致することになります。

 確かに、請負であれば、請負人が役務提供をしても注文者による「検収」がされるまでは完了とならない、そしてその検収が完了すれば直ちに支払う、場合であれば支払期日=役務提供(完了)日となるのでしょう。
 が、雇用では「検収」といった概念はないので、締日が過ぎれば労務提供が完了したことになります。で、そこから給与計算をスタートさせることになるので、どうしても支払期日まで数日は必要です。
 締日と同時に給与計算が完了するものがあるとしたら、毎月定額で一切の手当も減給もないような場合に限られるでしょう。

 給与の通達ルール、給与計算が単純計算で済んでいた時代の遺物ルールだとでもいうのでしょうか。

 あるいは、給与計算を検収と同等のものと位置づけて、給与計算完了をもって労務提供完了と扱うか。

    支払請求  収入計上
    (民法)  (税法)
 請負 検収完了  検収完了 ←私法準拠
 雇用 計算完了  計算完了 ←税法準拠

 だとしても、「検収・給与計算完了と同時に支払う」(2=3)としないかぎり、請負・雇用のズレは解消されない。

           請負 雇用
 2 検収・計算完了  ○
 3 支払・支給期日     ○ 


 と、私法準拠では「権利確定」の意味を確定することが難しいということが分かりました。

  『半端な私法準拠はむしろ法的安定性を害する。』

 なので、私法に丸投げせずに税法の側から「権利確定」の意味を解明しなければなりません。

《どれが権利確定?》
 1 契約締結
   契約締結した時点で、役務・労務提供を条件とする報酬請求権が成立する。
 2 役務・労務提供完了
   役務・労務の提供が終わった時点で、支払期限付きの報酬請求権が発生する。
 3 支払期日到来
   支払期日が到来した時点で、いつでも報酬の支払いを請求できるようになる。
 4 支払受領日
   実際に報酬を受領した。

 1と4はないとして、2か3のいずれが「権利確定」なのか。
 どちらも決め手はないものの、請負(事業所得)と雇用(給与所得)とでタイミングをズラす理由はないでしょう。いずれも報酬請求権であることにかわりはない。

 『労働者は「資本家に掛売している」のである。』(来栖三郎「契約法」436頁)

来栖三郎「契約法」(有斐閣1974)

 のに、通達では請負が2、給与が3とズレている。

 民法以外の労働法規まで見渡せば、労働報酬債権のほうが請負報酬債権よりも保護に手厚い。
 そうすると、労働報酬債権のほうが実現の確実性は高いともいえるので、給与所得の実現を早める理由にはなっても遅らせる理由にはなりえない。


 2の時点で実現してしまうのは給与所得者とって「かわいそうだから」という主張がありうるかもしれません。

 が、給与所得者といっても、高給の役員と学生アルバイトとを、一律に「かわいそう」で括るには無理がある。
 仮に「かわいそう」理論を認めるにしても、そもそも実際の支給を受けるより前の時点で所得実現とされてしまうのならば、労務提供後だろうが支給期日だろうが、大した違いはない。
 せいぜい、12月分が1月にズレてくれたら次回の年末調整・確定申告まで問題を先送りにできる、という限度でしょう。

 この手の事情に対応するには、たとえば次のような規定によるべきであって、所得区分全体で帰属時期をズラすべきものではない。

所得税法第六十七条(小規模事業者の収入及び費用の帰属時期)
 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行なうもののうち小規模事業者として政令で定める要件に該当するもののその年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、政令で定めるところにより、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる。



 このように、なぜか事業所得と給与所得とで収入計上時期が異なっているわけです。

 にもかかわらず、総論箇所ではそのような違いを無視して「権利確定主義」で説明されます。
 このことは、どちらかは「権利確定主義」が通用しないということなのか、それとも所得区分ごとに「権利確定」の中身が異なるということなのか。
 このあたりをちゃんと説明したものを見かけたことがない。
 少なくとも、後者の説明は民法の規定からは出てこない。そこでいう権利とか確定という概念を、税法独自の観点から所得区分ごとにトランスフォームさせなければならないわけで。

 いずれにしても、すべての所得区分の帰属時期のヴァリエーションを説明する概念として、権利確定主義が「統一理論」として機能していないといえるでしょう。
 総論で高らかに掲げた「お主義」が、各論ではまともに使えないものになっている。


 この点、刑法学でも「総論各論問題」というのがあります(私が勝手に問題視しているだけですが)。

井田良「講義刑法学・総論 第2版」(有斐閣2018)
井田良「講義刑法学・各論 第2版」(有斐閣2020)

 「刑法総論」というのは、本来は刑法典にとどまらずすべての刑罰法規に共通する要素を論ずべき学問領域のはずです。
 ところが、実際に刑法総論で議論されていることは、刑法典の中でもごく一部の犯罪類型が念頭に置かれたものにすぎません。

 刑法典すらすべてカバーできていない。
 ので、各論を学ぶ際に総論の議論をそのまま参照できるのは、一部の犯罪類型にとどまります。

 ちなみに、因果関係に関する「危険の現実化説」なんかだと、内実がないおかげで、現状議論されていない犯罪類型が出てきたとしても、軽く対応ができてしまう。問題化した時点でそれ用の下位基準を付け足しすればいいだけなので。

【危険の現実化説】
橋爪隆「刑法総論の悩みどころ」(有斐閣2020)

 これ、決して褒めているのではなく。
 後付けでどうとでも説明できてしまうということであって、行為者に事前に規範を提示するという「行為規範性」は皆無。
 のに、行為無価値論者の皆さんまでもが、こぞって同説の下位基準の開発競争に勤しんでいるのはどうしたことか。

 話を戻して。

 収入の帰属時期に関する総論と各論の関係にも同じことがいえます。
 総論で「権利確定主義」が妥当だとしながら、各論レベルで検証がされていない。

 理念型としての権利確定主義が通用しないとなると、そこでいう権利確定の内実を薄ぼんやりしたものに希釈するか、思い切って権利確定による説明を放棄するか。
 なんにしても、偉そうに「主義」などといえるような概念は、もはやそこには存在しない。


 「まだだ、まだ俺たちには管理支配基準が残されている。」などと、給与所得の帰属時期が3にズレる理由を「管理支配基準」で説明できると思う人がいるかもしれません。

 が、管理支配基準というのは、「権利確定していなくても管理支配していれば所得の実現を肯定する」ための理屈です。違法所得とか返金不可の前受金とかの所得実現を肯定するために使うと。
 こういう基準を併用している時点で、権利確定主義が「なんちゃって私法準拠」であることが分かるわけですが、それはともかく、この基準を「権利確定していても管理支配していなければ所得の実現を否定する」ための理屈として主張している人って、たぶんですけど誰もいないですよね。

 どうしても管理支配基準で給与所得の帰属時期を説明したいというならば、ぜひ「フローチャート」を書いてみてください。

  役務・労務提供完了しているか? はい →権利確定(収入計上)

で終わっちゃうはずです。管理支配基準にたどり着けない。
 もしこの先に管理支配基準を出すのだとしたら、権利確定主義を真っ向から否定した上で、かつ事業所得も同じく3の時点にまで実現をズラさなければならないことになります。

 あちらを立てればこちらが立たない。

 やだあ、「主義」とまで崇められている権利確定主義を、単なる「基準」ごときに覆せるわけないじゃないですか。
 権利確定主義ではカバーできていない領域を「拡張」する役割を担っているのが管理支配基準であって、権利確定主義を「制限」するための基準ではありません。
 主義様の食べこぼしした残りをいただけるだけの立場のやつが、なぜに主義様がこれから食べようとしているものを横取りできると思っているのか。

 拡張にも制限にも使えるのだとしたら、もはや管理支配基準だけで判断すればいいのであって、権利確定主義をかますは必要ありません(下剋上としての管理支配主義)。
 私法準拠してるっぽく見せかける看板としてだけ使う、という俗悪な利用方法はあるかもしれませんが(もしかして、現状がすでにそうなのかどうか)。

 そもそもの話として、支払期日が到来しただけで実際に支給を受けていなくても「管理支配」しているといえるのか、疑問です。
 ので、やはり「権利確定」の側でどうにか説明しなければならない。が、それが難しいことはここまで記述してきたとおりです。


 私法準拠とか権利確定などのしがらみを一切排除して、税法独自に判断してもよいならば、給与所得と事業所得の収益計上時期の違いにつき、次のような説明が可能かもしれません。

 すなわち、前述したとおり、請負の場合、請負人が役務を提供しただけでは提供完了とならず、注文者による検収が必要となります。
 他方で、雇用の場合、締日後に給与計算のため一定の日数が必要となります。
 それゆえ、請求金額が最終確定する時点は、請負の場合は検収完了=役務提供完了時、雇用の場合は給与計算完了≒支給期日となると(後者が「≒」なのは支給期日より前には給与計算終わっているはずなので)。
 一見、時点としてはズレているようにみえても、「請求金額が最終確定する時点」という意味では同じことになります。

《金額確定するのは》
           請負  雇用
 1 契約締結
 2 検収・計算完了  ○   ○ 
 3 支払期日
 4 支払受領

 が、これはそれぞれそういう場合にあてはまるというにすぎません。

 たとえば、毎月一定の役務提供をする請負契約で、12月作業分を1月5日までに作業報告、報告確認後1月10日に支払、というものがあったとします。この場合、収益計上時期は1月ではなく12月とされるでしょうが、12月末日をもって「金額が最終確定した」というのは無理ではないかと。

 他方、給与でも、前述のとおり締日に金額確定できる場合もありうるわけです。
 また、「≒」としたとおり、給与計算完了日と支給期日は「=」ではありません。ので、あくまで近似値であって直接的な理由付けとはなりえない。

 そうすると、税法独自に考えても、やはり統一的な理由付けは難しそうです。

 とはいえ、権利確定などというなんちゃって私法準拠よりは筋がよさそう。
 「権利」などという私法準拠風の用語を使っておきながら、「確定」のほうに税法独自の考慮を混ぜ込む、といったズルい仕草は「金額確定」のほうにはありませんので。

 私には、「権利が確定する」という物言い、「権利がかゆい」くらい意味不明な言葉つなぎだと感じるのですが。ましてやそれを「主義」で締めるからなおさら。

 権利・確定・主義

 なんか言葉に、キマイラあるいはフランケンシュタイン氏の怪物的な継ぎ接ぎ感があるんですよね。


 以上、さしあたり事業所得と給与所得だけを対象として検討してみました。
 これだけみても「権利確定主義」なるものが「お主義」として成り立っていないことが分かるはずです。

 私の見立てでは、税法側のデフォルトは「支払期日」ベースで、事業所得が「発生」ベースなのは企業会計あるいは法人税法に引っ張られているだけ、とみています。
 いつでも払ってもらえる状態になってはじめて収入が実現するのであって、売掛金が発生しただけで実現したとするのは、事業所得固有の事情にすぎないと。
どうしても主義って言って崇めたければ、「事業所得は企業会計準拠主義」とでも言っておけばいいしょや。

 発生主義: 事業所得、不動産所得(許容)
  ↑
 支払期日: 給与所得、不動産所得
  ↓
 現金主義: 小規模事業者、違法所得

 支払期日がデフォルトで、発生段階まで早まったり受領段階まで遅れたりする、という見方のほうがうまく説明できそうな気がします。

 もちろん、私法をガン無視して純経済的に決定できる、などとまでいうものではありません。「いつでも払ってもらえる状態」といっても、一定の法律関係を前提とすることになりますので。
 ただ、そこでいう法律関係の判断については、完全に私法に委ねることはできず、税法独自の考慮が入り込みます。この私法と税法の交錯をどのように切り分けるか、を「権利確定」などという曖昧な物言いで融通無礙に判断するのではなく、正面から論ずるべきということです。

 ちなみに、印紙税法と私法の交錯については、以前試みたことがあります。

【印紙税法と私法の交錯】
私法の一般法とかいってふんぞり返っているわりに、隙だらけ。〜契約の成立と印紙税法
Janusの委任 〜成果報酬型委任と印紙税法
続・契約の成立と印紙税法(法適用通則法がこちらをみている)
続々・契約の成立と印紙税法(代理法がこちらをみている)
さよなら契約の成立と印紙税法 (結局いつもひとり)
魔界の王子と契約の成立と印紙税法
二段の推定と契約の成立と印紙税法 〜印紙税法における実体法と手続法の交錯
おかわり契約の成立と印紙税法(法人法がこちらをみている)

 中身さえ気をつければ、そのまま「権利確定主義」という言葉を使い続けても問題はないのでしょう。が、それだと「私法準拠」の象徴的・嚮導的立場であった同主義に引き摺られてしまうおそれがあります。ので、やはり別の言葉に置き換えたほうがよいと思います。


 このような見立てを検証するには、その他の所得についても検討すべきところ。
 不動産所得はこの枠組みでうまく説明できそうだが、譲渡所得は固有の事情がありそう、とか。

 が、どうにも筆が進む感じがしないので、またいつかこの話題でお会いしましょう。


 なお、以上は収入の「計上時期」という切り口から論じていますが、「そもそも所得とはなんぞや」という問題でもあります。その時点で実現したものが所得だということになりますので。

 事業所得では「支払期限未到来の報酬債権の取得」が所得に該当するのに対して、給与所得では「支払期限が到来した報酬債権の取得」が所得に該当するんだと。

 こう表現してみても、やはりなぜこのような違いがあるのか、理解に苦しみます。

さよなら「権利確定主義」(その2) 〜不動産所得
さよなら「権利確定主義」(その3) 〜譲渡所得
さよなら「権利確定主義」(その4) 〜違法所得
posted by ウロ at 10:51| Comment(0) | 所得税法
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