法律解釈のフローチャート(助走編)
フローチャート化、やろうと思えばこんなものでもできてしまいます。
《季節のフローチャート》(何か料理名のような)
だからといって、季節をチャート化する意味があるかといえば、まあないですよね。
これでいい。
季節ごとの仕切りがないのは、移りゆく季節に境目などないのだから(ポエム調)。
どうしてもめぐるめく季節感を表したければ、これをグルっとドーナツ状にしたらいい(しません)。
○
ダメ押しで、こんなものも作ってみました。
《コーヒーフローチャート》
これはマトリクスで足りますよね。
私が思うに、フローチャートには「動的/静的」といった区別があるのではないかと。
一番重要なのは、チャートの中に「時間の流れ」が存在するかどうか。
もちろん、季節のフローチャートも「移りゆく季節の流れを描写しているのだ」というつもりかもしれません。
が、これは現時点の季節が何かを判定するためのものであって、チャートの中に時間は流れていません。
コーヒーフローチャートに関しても、通常は「時間の流れ」を考える必要はないでしょう。
もしかしたら「俺はミルクと砂糖を入れる順番に拘る!」という方がいらっしゃるかもしれません(砂糖はかき混ぜるが、ミルクはかき混ぜないとか)。
そこで、拘りコーヒーフローチャートを作ってみました。
《拘りコーヒーフローチャート》
が、これもマトリクスでカバー可能です(「入れる・入れる」のマスを二つに分ける)。
○
遊びすぎなので、一応民法を題材にしたものもあげておきます。
《委任/請負のフローチャート》
これもマトリクスのほうが一覧性がある。
というか、フローチャートにしてしまうと、C請負とB成果報酬型委任とで「成果なしでは報酬がもらえないという点では共通」という関係が隠れてしまうのが問題です。
フローチャートだと、請負が「成果なしで報酬をもらえない」ことが「成果を得ることが義務である」の中に埋もれてしまいます。チャートの形としても、請負と成果報酬型委任が離れてしまっており、何らかの共通性があることなど思いつきにくくなっています。
○
と、フローチャート化が向いているのは、チャートの中に「時間の流れ」を入れ込めるものであって、それ以外のものは他の手法にしたほうが望ましいことが多い、ということだと思います。
そして、チャート化すると個々の要素がリニア式に表現されることになるので、ものによっては、全体像が見渡しにくい・個々の要素の位置づけや関係が分かりにくい、などといったデメリットが生じることにもなります。
「なんか辿るのめんどくせえ」と感じるフローチャートは、だいたいこの類の、時間の流れに沿っていないものだと思ってもらっていいんじゃないですかね。
しかしまあ、こんなふざけたチャート作ってないで、早く自分なりの法解釈フローチャートを作るべきなんでしょう(コーヒーの色付けにこだわらなかっただけ、まだセーフ)。
一応言い訳としては、法解釈フローチャートを「各論」とした、フローチャート「総論」を展開したつもりではあります。
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