2021年08月16日

伊藤滋夫ほか「要件事実で構成する所得税法」(中央経済社2019)

 さて、前々回・前回の記事を前座として、今回は「とある書籍」で疑問に感じた記述の検討をします。

「生活に通常必要な動産」で「生活に通常必要でない動産」
サラリーマンマイカー訴訟 〜生活に通常必要でも必要でなくもない資産

伊藤滋夫「要件事実で構成する所得税法」(中央経済社2019)


 さっそく引用(37頁)。
 サラリーマンマイカー訴訟の地裁判決、高裁判決を紹介した後に、「生活に通常必要な動産」の要件事実ということで、以下のような記述をしています。

訴訟物
 本件更正処分の違法性

請求原因
(行政処分の存在)
1 略
(違法性の主張)
2 本件更正処分は違法である。

抗弁(更正処分の適法性に関する評価根拠事実)
(「生活に通常必要な動産」該当性に係る評価根拠事実)
1 自家用車は、動産である。
2 本件自家用車は、Xの通勤及び勤務先での業務の用に通常使用されていた。
3 本件自家用車は、耐久消費税としての大衆車であり、美術工芸品ではない。

再抗弁(更正処分の適法性に関する評価障害事実)
4 Xの住所地には公共交通手段がなく、最寄りの駅まで遠いので、自家用車を生活及び通勤に用いる必要があったなど、本件自動車がX又はその配偶者その他の親族の生活に通常必要であることを根拠づける特別な事実。
5 自損事故当時の本件自動車の価値が30万円を超えることを根拠づける事実。

(※記述の便宜のため、再抗弁の1・2をそれぞれ4・5とし、以下では抗弁事実・再抗弁事実を1〜5の数字で引用します。)

 ただただ要件事実(と自称するところのもの)が列挙されており、なぜこのような分配をしたのかの説明が皆無です。

 要件事実の分配をするには、まずは実体法上の要件が何であるかを特定する必要があります。そして、解釈が必要ならば解釈を施して概念を定義づけすることになります。
 その上で、それを要件事実に翻訳して請求原因事実・抗弁事実等に分配していきます。


 そこでまず、条文から実体法上の要件を拾うと次のとおりとなります。

 生活用動産
  ア 生活の用に供する資産である
  イ 生活に通常必要な動産である
  ウ@ 高級品に該当しない
   A または(高級品であるが)30万円以下である
 


 抗弁の中にアに対応する要件事実が見当たらないのですが、これは2の中に、イと一緒くたに含められているということでしょうか。


 「評価根拠事実」「評価障害事実」と書かれていることからすると、どうやら「通常必要」を評価的要件と理解し、評価根拠事実を課税庁、評価障害事実を納税者に分配しているつもりのようです。

 が、「評価的要件」だからといって、何でもかんでも原告・被告に立証責任を分配すればいいというものではありません。「主要事実/主要事実」型のものもあれば「主要事実/間接事実」型のものもあるはずです。

 「主要事実」扱いするということは、その事実が主張立証されなければ、その事実は存在しないものと扱わなければならないということです。一般民事事件ならともかく租税訴訟において、何らの根拠も示さず、納税者にそのような負担を負わせてよいものではないはずです。


 また、評価的要件において、その評価に該当する具体的事実が主要事実だとされているのは(主要事実説)、「過失がある」「正当な理由がある」という評価それ自体は主張立証の対象となりえないから、というのが一般的な理解です。
 のに、2の評価根拠事実の中に「通常使用」といった評価的な文言を入れてしまうのは、要件事実としての正しい表現とはいえないでしょう。いうところの「通常」を具体的事実にほぐさなければなりません。

 この点、4にもある「通常必要であることを根拠づける事実」という抽象的な表現ならば、少なくとも評価と事実を混同することにはなりません(ただし、その前の具体的事実に問題があることは後述)。
 当事者が要件事実として主張することが求められるのは、あくまでも「事実」まであって、その事実が「通常」と評価できるかどうかは裁判所が判断することです。

 2のような表現をしてしまうのは、要するに、なぜ評価的要件において具体的事実が主要事実とされているのか、に関する基本的な理解が足りていないんでしょう。


 4は「生活に通常必要な資産」の「評価障害事実」となっているでしょうか。
 「通常必要」とか言っちゃって、どう考えても評価根拠事実のほうですよね(念のため、私が引用間違いをしているのではありません)。
 なぜ納税者が、再抗弁として抗弁2を《ダメ押し》するのか。

 どうしても評価障害事実と言いたいならば、「生活に通常必要でない資産」のほうの評価障害事実になります。

  である+根拠=でない+障害


 また、4の「特別な」というのは、どうにも「通常必要」とそぐわないように思えます。納税者個人の事情によって「特別」必要なのだとしたら、それは「通常」必要ではないということになるはずです。
 『通常必要』な『特別な事実』って何なんだよ。概念矛盾にも程がある。
 
 もしかして、このことをもって「評価障害事実」になるとでも言っているのでしょうか。納税者個人にとって「特別必要」だという事実は、「通常必要」という評価を妨げる事実なんだと。

 このあたりに関しては、前回検討した、実体法レベルにおける「通常必要」の判断構造を解明しなければならないはずです。公共交通手段がない地域に住んでいることそれ自体をもって「特別」だと評価するのか、それとも、そのような地域に住んでいる人にとって自家用車を生活に利用することは「通常」だと評価するのか。

 自家用車だとあまりピンとこないかもしれません。そこで、たとえば、ロープウェイでしかいけない地域に住んでいる人にとっての『自家用ロープウェイ』で考えてみたらどうでしょうか。
 ロープウェイ単体で評価するなら「特別」と言わざるをえません。が、その地域に住んでいる人にとっては「通常」だと評価できるはずです。
 「通常/特別」の判断において、納税者固有の事情をどこまで取り込むのか、という問題があるわけです。

 いずれにしても実体法の解釈を施すのが先であって、それを曖昧にしたまま要件事実っぽいものをなんとなくで分配していいものではおよそありません。ましてや、「特別」と「通常」をひとつの要件事実の中に同居させるなどという愚挙は論外。


 根拠/障害で分配するとなると、たとえば、通勤使用を課税庁が、レジャー使用を納税者がそれぞれ立証する、みたいなことになりますが、そのような分配は適切でしょうか(ここでは話を分かりやすくするため、地裁判決の実体法理解を前提とします)。

 課税庁は通勤使用の立証に成功したが納税者はレジャー使用の立証に失敗した、という場合に、納税者不利に判断してもよいのか、ということです。
 主要事実としての評価障害事実の主張立証責任を納税者に分配するということは、そういう負担を納税者に負わせるということを意味しています。単に評価的要件だからというだけで、自動的に負担させてよいものではありません。


 高裁では、本件給与所得者にとって通勤・業務使用は通常必要にならないと判断されています。ゆえに、単に2の主張をしただけでは、「通常必要」を根拠付ける事実として明らかに足りていない。
 実体法上の要件の分析を詰めないままいきなり要件事実の分配をはじめてしまうから、こういうことが起こります。

 上述したとおり、要件事実の中に《評価文言》を入れ込んでいることが、こういう誤謬が紛れ込む原因です。
 「通常使用」などと書かれていることから、あたかもその前の通勤云々といった事実が評価根拠事実であるかのように見えてしまいます。が、高裁の立場は、通勤・業務使用という事実が認められたとしても通常必要とは評価できないというものです。ので、単なる通勤・業務使用をいうだけでは抗弁事実にはなりえません。

 評価的要件は最終的には「総合判断」だから、といって適当にプラスの事情とマイナスの事情をばら撒いておけばよいものではありません。少なくとも評価根拠事実は、それらがすべて認められたら「通常必要」と評価できるような事実である必要があります。

 まさかですけど、通勤・業務使用だけで一旦「通常必要」だと評価されて、「納税者が給与所得者であること」は再抗弁事実にまわるとでもいうのでしょうか。

 ・抗弁: 通勤・業務使用 ⇒通常必要
 ・再抗弁: 納税者は給与所得者 ⇒通常不要

 もちろん実際には、「通勤・業務使用」を主張しようと思ったら、給与所得者であることも同時に主張せざるをえません。ので、この分配は現実には機能しません。


 高級品でないことを課税庁(抗弁3)、30万円超であることを納税者(再抗弁5)が、それぞれ主張立証することになっています。が、わざわざこのような分断をする根拠はなんでしょうか。
 課税庁が「30万円以下であることまたは高級品でないこと」を立証する、でよいのではないでしょうか。

 「でないことの立証より、であることの立証」ということが分配ルールのひとつとして挙げられることがあります。
 が、ここでは高級品でないことの立証は課税庁にさせているわけです。また、金額については、30万円以下と超のどちらが「でない」でどちらが「である」のか謎です。単に条文にそう書いてある、というだけでは決め手になりません。

 ・30万円超である=30万円以下でない
 ・30万円以下である=30万円超でない

 納税者に負担させるにしても、

  5 30万円超の高級品である

と両方負担させるルートもありえます。

 いずれにしても、分断させる積極的な根拠が見当たらない。


 そもそも、5には、対応する抗弁事実が存在していません。

 というのも、「30万円超/以下」が問題となるのは、高級品に該当する場合に限られます。抗弁123は、下記図でいうDのラインに対応していて「30万円」はでてきません。

通常必要(条文).png


 抗弁3で高級品非該当が立証されてしまったら、再抗弁5を主張立証してみたところで、何の意味もないということです。
 このことからわかることは、抗弁123が法9、令25をもれなくカバーしていないということです。図でいうCがでてこない。

 Cを出すためには、抗弁3を選択的抗弁として2つに分岐させて、

  3ア 高級品でない。 D
  3イ 高級品である。 C

とする必要があります。
 ただし私見では、課税庁側が価額も立証すべきと考えるので、イのほうは、

  3イ 30万円以下の高級品である。 C

となります。

 他方で、価額を再抗弁にまわす同書の見解によるならば、再抗弁5は3イの後ろにくっつくものであって3アにはくっつかない、ということになります。
 もしも、3ア・3イは裏表なんだから両方書かなくってもいいじゃん、などと思うのだとしたら、要件事実論をまるで理解してないことの自白です。

 確かに、実体法レベルでは、高級品に該当するか該当しないか、いずれかしか存在しません。

該当・非該当.png


 が、要件事実論・立証責任論のレベルでは、ここに「真偽不明」が挟まります。

真偽不明.png


 高級品でないことの立証が失敗したからといって、自動的に高級品であることの立証が成功することにはなりません。高級品であるかないかがいずれも真偽不明という状態が観念されるわけです。
 なので、実体法上裏表の関係にあったとしても、要件事実としては必ず別々に掲げる必要があります。


 また、30万円超を再抗弁にまわすということは、納税者が30万円超の立証に失敗した場合には「生活に通常必要な資産」として扱われてしまうということになります。

 この失敗というのが、明らかに30万円以下であることが判明したのならば仕方ないのでしょう。が、価額が「不明」の場合でもこの結論でよいのでしょうか。
 上記図でいうと、CかもしれないしBかもしれない、という状態にあるにもかかわらず、Cであると決め打ちしてしまうということです。

真偽不明(有利不利).png


 この図の○×は納税者有利/不利を表しています。
 上段が納税者に30万円超の立証責任を負担させた場合で、下段が課税庁に30万円以下の立証責任を負担させた場合です。上段では、真ん中の真偽不明を納税者不利に判断するということになります。

 納税者に立証責任を分配するということは、そういう不利益を納税者に課するということです。このような解釈が許されるのかどうか。


 さらなる問題は、高裁判決の紹介をしておきながら、「生活に通常必要でない資産」の要件事実が省略されてしまっていること。

 「生活に通常必要でない資産」の実体法上の要件は次のとおり。

 生活に通常必要でない資産
  エ 生活の用に供する動産である
  オ 令25条に該当しない
   @ 生活に通常必要な動産でない
   A または(生活に通常必要な動産であるが)30万円超の高級品である


 イとエオが裏返しの関係になっていて、どっちにしろ損益通算はできないわけです。
 訴訟物が損益通算を認めなかった処分の適法性である以上、「生活に通常必要な動産」の抗弁事実も「生活に通常必要でない資産」の抗弁事実も並列的にぶら下がっているわけで、片方を無視する理由はないです。
 債務不履行か不法行為か、みたいな請求権競合の事例とはわけが違う。


 また、この「どっちにしろ」を要件事実論の観点から評価した場合に、「主張自体失当」扱いにならないのか、ということが問題となりえます。

 実体法レベルでの抜け道としては、「生活に供する資産」(アエ)を否定することしかありません。供する資産とされてしまったら、この先、どのルートをたどっても損益通算はできません。
 他方で、要件事実論のレベルでは、課税庁側が「通常必要」の立証に失敗し、かつ「通常必要でない」の立証にも失敗することで、いずれも適用されないという状態が、理屈の上ではありえます(実際には、いずれかに該当するものとして判断されるのでしょうが)。

 ので、実際に認められるかはともかく、いずれも適用されない場合がありうるので、訴訟として成立しないということにはなりません。

 こういう、実体法で表裏となっているものが要件事実論レベルだとどうなるか、などといったことを論じたりするのが『要件事実で構成する』の名に相応しいと思うのですが。
 いやまあ、なんといいますか。


 また、「生活に通常必要な動産」の要件事実では、高級品でないことを課税庁(3)、30万円超であることを納税者(5)にそれぞれ立証責任を分断したわけですが、こちらではどうするのか。

 どうしても分断したいのならば、

  課税庁 高級品である
  納税者 30万円以下である

  課税庁 30万円超である
  納税者 高級品でない

のどちらかとなりますが、どうにも滑稽。
 素直に、課税庁が「30万円超かつ高級品であること」を立証する、でいいと思うのですが。

 是が非でも分断したい、というお気持ちが全く理解できない。
 確かに、要件事実論を習いたての頃は、何でもかんでも要件を分断して両当事者に分配してみたくなるものですけれども(下記記事でいう「序破急」の「破」段階)。

伊藤滋夫編「租税訴訟における要件事実論の展開」(青林書院2016)


 以上、一番最初に抱いた直感のとおり、やはりこの記述おかしいという結論でフィニッシュ。
 本来は、本書を通読して、何某かの記事を書こうと思っていたのですが、この箇所のせいで通読を中断せざるをえないことになりました。

 ひととおり検討し終わったので再開しようと思ったのですが、この後の記述も、「法解釈」レベルの主張反論を評価根拠事実/評価障害事実に分配していたりして、読む気が失せる感じだったので再開することなく終了。

【検討レベルが違う】
 ・法解釈論
 ・要件事実論
 ・事実認定論

 もしかしたら「アクティブ・ラーニング」に活用するかもしれませんが、あまりに杜撰で今のところその気は起きません。

アクティブ・ラーニング


 一応、私の思うところの要件事実を記述しておきます(訴訟物・請求原因までは引用元と同じ)。

抗弁その1 「生活用動産」
 1  生活の用に供する資産である
 2+ 生活に通常必要な動産である
 3− 30万円以下である
   または
 4− 高級品でない

抗弁その2 「生活に通常必要でない資産」
 1  生活の用に供する動産である
 2− 生活に通常必要な動産でない
   または
 3+ 30万円超である
   かつ
 4+ 高級品である

・損益通算の可否が問題となっているのだから、その1・その2両方とも掲げないと無意味。
・事実1は共通。
・+−は同じ事実の表裏を表現しています。
・評価的要件と解するのであれば、それぞれ語尾に「ことを根拠付ける事実」を付加します。
・再抗弁はありません。納税者がやることはそれぞれの抗弁事実の反証まで。


 なお、条文通りに「通常必要」と記述しましたが、ここは前回記事で検討したとおり法解釈による敷衍が必要になります。

 要件事実論内部で「評価的要件」として論じられているものの中には、実体法レベルでの「定義づけ解釈」を施すことで解消されるものもある、というのが私の見立て。

【定義づけ解釈とは】
フローチャートを作ろう(その2) 〜定義付け解釈

 従前の議論は、条文記載の要件に何らの解釈も施すことなく、いきなり要件事実論の俎上にのせようとしているように思えます。たとえば条文に「過失」と書いてあったら、それをそのまま実体法レベルの要件として受け取った上で、「過失」の要件事実(あるいは主要事実)は何か、というかたちで論じられていました。

  実体法:「過失」
 →要件事実論:過失の要件事実とは?

 が、要件事実論へ行く前に実体法レベルでの解釈が挟まるはずです。

  実体法:「過失」
 →実体法の解釈:「過失」とは予見義務違反+回避義務違反
 →要件事実論:予見義務違反行為+回避義務違反行為の要件事実とは?

 ここまで敷衍するならば、「到達」や「弁済」などといった概念との差はほとんどなくなって、「過失」をあえて特殊な扱いをする必要もないはずです(評価っぽければ何でもかんでも根拠事実/障害事実に分配するなんてのは論外として)。公害訴訟とか医療訴訟などで特殊な扱いが必要なのは、そのような事件類型であることが主たる理由でしょうし。

 正面から特殊な扱いが残るとしたら、「正当な理由」のような実体法レベルでの特定がしがたい総合考慮型の概念などではないでしょうか。

 上記記事でも述べましたが、学説の一般的な傾向として、どういうわけか、この「定義づけ解釈」というものの存在が捨象されがち。

【追記】
 同じコンセプトで「相続税法」も出たようなのですが、さてどうでしょうか。

伊藤滋夫ほか「要件事実で構成する相続税法」(中央経済社2023)

○所得税法、同法施行令

法 第九条(非課税所得)
1 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
 九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
 一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額

令 第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)
 法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品

法 第六十二条(生活に通常必要でない資産の災害による損失)
1 居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

令 第百七十八条(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
1 法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの

法 第六十九条(損益通算)
1 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。


posted by ウロ at 10:08| Comment(0) | 所得税法
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