2022年01月03日

機能的年末調整論(その3) 〜年末調整と結婚(子)

 今回は、親としては悲喜交々な出来事。
 今まで扶養していた子供が結婚して、生計が別になった場合の、年末調整に及ぼす影響についてです。

機能的年末調整論(その1) 〜年末調整と離婚(配偶者)
機能的年末調整論(その2) 〜年末調整と死別(配偶者)


 基本的には、法85条により「12/31の現況」で判断となるため、「扶養親族(子)なし」扱いとなります。が、控除の性質に応じて若干の違いがでてきます。

1 給与所得控除

 前年 適用あり
 当年 本人の給与収入のみで判定なので影響なし

 離婚・死別(配偶者)の場合と同じです。

2 所得金額調整控除

 前年 23歳未満の扶養親族有りとして適用していた
 当年 生計別になったら適用不可

3 基礎控除

 前年 適用していた
 当年 本人の所得のみで判定なので影響なし

4 社会保険料控除

 前年 子負担分につき適用を受けていた
 当年 生計別になるまで支払分は適用あり(?)

 「?」とあるのは、前回・前々回同様、通達が抜けているからです。

5 小規模企業共済等掛金控除

 前年 適用を受けていた
 当年 本人負担分のみなので影響なし

6 生命保険料控除

 前年 受取人子で適用を受けていた
 当年 生計別になっても適用あり

 生命保険料控除については、生計要件が課せられていないので、生計別になっても適用継続となります。
 ここが他の控除と違いが出るところです。

7 地震保険料控除

 前年 子所有住居につき適用を受けていた
 当年 生計別になるまで支払分は適用あり(?)

 「?」とあるのは、社会保険料控除と同じく規定がないからです。

8 配偶者控除・配偶者特別控除

 前年 適用を受けていた
 当年 影響なし

9 扶養控除

 前年 子を控除対象として適用していた
 当年 生計別になったら適用なし

10 障害者控除

 前年 子を障害者として適用を受けていた
 当年 生計別になったら適用なし

11 寡婦控除(女性・合計所得金額500万円以下)

 前年 適用なし
 当年 影響なし

 寡婦控除のほうは、子は関係なしです。

12 ひとり親控除(合計所得金額500万円以下)

 前年 適用を受けていた
 当年 生計別になったら適用なし

13 勤労学生控除

 前年 適用を受けていた
 当年 本人が勤労学生の場合だけなので影響なし

14 住宅ローン控除

 前年 適用を受けていた
 当年 影響なし

 ただし、もし「単身赴任」で子のみ居住で適用を受けていた場合、この状態で子が居住しなくなると当年から適用できなくなると思われます。


 以上、特徴的なのは、生命保険料控除の受取人要件につき、生計一要件がないというところくらいでしょうか。
posted by ウロ at 11:15| Comment(0) | 年末調整
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