2022年02月28日

リーガルマインド住宅ローン控除(その4) 〜転勤と死別と姻族と住宅借入金等特別控除

 今回は蛇足。ですが、全くの空想というわけでもない。

リーガルマインド住宅ローン控除(その1) 〜転勤と住宅借入金等特別控除
リーガルマインド住宅ローン控除(その2) 〜転勤と離婚と住宅借入金等特別控除
リーガルマインド住宅ローン控除(その3) 〜転勤と死別と住宅借入金等特別控除

 次のような事例はどうなるでしょうか。

【検討事例】
1 取得年
  本人:単身赴任、帰郷予定あり
  配偶者:本人に同行
  配偶者の父母:入居・継続居住
2 翌年
  配偶者:死亡
  配偶者の父母:継続居住

法第1項
ア 「居住の用に供した場合」 (入居要件)
 個人が、家屋を平成十一年一月一日から令和三年十二月三十一日までの間にその者の居住の用に供した場合(これらの家屋をその取得の日から六月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)

イ 「引き続き居住の用に供している場合」 (継続居住要件)
 当該居住の用に供した日(「居住日」)の属する年(「居住年」)以後十年間の各年(当該居住日以後その年の十二月三十一日まで引き続きその居住の用に供している年に限る。「適用年」)


通達41-1(居住の用に供した場合) 1
・「その者の居住の用に供した場合」とは、第1項に規定する居住用家屋(「居住用家屋」)で建築後使用されたことのないものの取得(「新築等」)をした者が、現にその居住の用に供した場合をいうのであるが、
・その者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族と日常の起居を共にしていない場合において、
・その取得の日から6月以内にその家屋をこれらの親族がその居住の用に供したときで、当該やむを得ない事情が解消した後はその者が共にその家屋に居住することとなると認められるときは、
・これに該当するものとする。

通達41-2(引き続き居住の用に供している場合)
「引き続きその居住の用に供している」とは、新築等をした者が現に引き続きその居住の用に供していることをいうのであるが、これに該当するかどうかの判定に当たっては、次による。
(1)
・その者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において、
・その家屋をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその者が共にその家屋に居住することとなると認められるときは、
・その者がその家屋を引き続き居住の用に供しているものとする。



 まず、通達41-1,41-2により、配偶者の父母が本人にとって生計一の扶養親族に該当すれば、取得年は適用を受けられます。

 では、配偶者死亡後はどうなるでしょうか。

 民法728条によれば、本人と(元)配偶者の父母との姻族関係は当然には終了せず、本人の意思表示により終了させられるとあります。

民法 第七百二十八条(離婚等による姻族関係の終了)
1 姻族関係は、離婚によって終了する。
2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。


 とすると、この意思表示をせず、かつ、ちゃんと面倒を見てあげているかぎり(生計一)、適用を継続できるということになります。

 この枠組を前提とすると、必ずしも円満でない場合の各当事者の思惑としては、

  本人:自分が帰郷してから終了の意思表示すれば継続して適用を受けられるのか。
  配偶者の父母:本人帰郷前の年末ぎりぎりにでも転居すれば今後適用を受けられなくなるのか。

という感じになるでしょうか。

 極めて不健全な想定ではありますが、現行の制度をあるがままに受け入れるかぎり、そういう結論になります。

 悲しいけどこれ現実なのよね。
posted by ウロ at 10:44| Comment(0) | 所得税法
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