2023年11月06日

「丸善リサーチ」と私。

 さしあたり「有料立ち読みサイト」というのが、私の現状での位置づけです。

丸善リサーチ

◯ 
 意図的かどうか、ラインナップを見る限り各出版社、様子見って感じで。本気のコンテンツ差し出しがまだ始まっていません。多くの税理士が、改訂の都度購入しているであろう、あの本やこの本が全く含まれていない。

 FIFAワールドカップの予選に各国クラブが一線級の選手を出し渋るとか、かつてWBCにメジャーリーガーがあまり出てこなかったとかのイメージ。そこで活躍することで、クラブ・球団に還元される道筋が見えていない、みたいな。

 サイトの機能自体は、とても洗練されていて使いやすいと思います。が、いかんせんコンテンツの顔ぶれが微妙。
 あまり積極的に本を買わない、あるいはたまに思いつきで本を買う税理士先生の事務所の本棚ぽくみえる(既視感)。《揃っている》感がないんですよね。


 だからといって、「これからガンガン充実していくよ!」とかいって、頭数だけ揃えればいいというものでもありません。

 たとえば「インボイス」について。
 昨今、ただでさえ少ないリアル書店の税務棚を占拠しているインボイス解説本。こいつらが収録されたところで、内容は全部同じです。運営発行の「Q&A」の引き写しなだけ。
 せっかくの「横断検索機能」ですが、複数書籍からずらずらと同じ内容が出てくるだけでは、何の参考にもならないでしょう。

 『複数の書籍が同じことを言ってるから信用できる!』ではおよそなくて。単に出処が同じなだけで、大元がアレならワナビー達もみんなアレですよ。

【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 暫定版

 そのことが分かっての上なのかどうか。
 インボイスものに関しては「資料」というカテゴリの中に「Q&A」だけが掲載されています。あえてそうしているなら、とてもよい見極めだなあと思います。
 検索汚しになるだけなので、今後も「Q&A引き写し本」は収録しないで欲しい。

 インボイスを例に出しましたが、他のジャンルでも同様です。横断検索ができたところで、通達とか質疑応答事例を引き写しただけの記述が上がってくるのでは、ただの「インターネット検索」と変わりません。

 税務に関して何かしらインターネット検索した方であれば、お分かりになるかと。◯◯税理士事務所のサイトにも、△△税理士のブログにも、国税庁のサイトと同じことしか書かれていない現象。
 あれを有料サービス上で再現するという虚無。

 可能ならば「インターネット上で拾えるレベルのものは検索に上がってこない」という機能を備えてほしい。「論文コピペチェッカー」があるんだから、普通にできますよね(なんてことをしたら、1件もヒットしないことがありえる)。


 ただ、ラインナップが一線級でなくても、それなりに意味はあって。

 私が開業したときから比較しても、近場のリアル書店は激減しており、存続していても専門書の棚が縮小・消滅の憂き目にあっていたり。中身を確認してから買うことのハードルがかなりあがってしまっています。

 ネット上に一部「試し読み」の機能がついているものもありますが。本当に一部で、最初の数ページだけで全体の良し悪しを判断するのは困難。
 酷いものだと、はしがきと目次だけで終わっていたり(私の観測範囲では「◯◯×Amazon」がそれでがっかりさせられることが多い)。

 あとの頼りは出版社の宣伝文句だけですが。これも「売らんがな」要素を排除しながら見極めなければなりません。

高木光「行政法」(有斐閣2015)

 専門書なんて、手間暇かけて宣伝したってどうせ売れねえよ、と思っているのかもしれません。ので、安易に売れそうな宣伝文句だけ貼り付けて済ませてしまうんだと。
 が、興津征雄先生の『行政法T』ように、ボリュームたっぷりでお高めの教科書であっても、中身を丁寧に作り、かつ著者ご自身がSNS上でしっかり宣伝していけば、売れるものになるはずです。

 興津征雄「行政法I」(新世社2023)


 若干話が脱線しましたが。
 というような状況で、二線級の本のために遠出して現物を確認しにいくのか、あるいは、宣伝文句を信じて目押しで購入してしまうか、どちらかしかありませんでした(なお、ここで「二線級」と言っていますが、確認するまでは一線級か二線級以下かはわからない状態であることに留意)。
 そこで、本サービスに対象の書籍が収録されていれば、中身を全て確認してから書籍を購入できることになります。

 収録されているならわざわざ購入しなくてもよいのでは、と思われるかもしれません。
 ですが、残念ながら本サービス上に収録され続けるという保証はどこにもありません。で、収録されなくなってから紙の本を買おうと思っても、品切れ絶版になっていること必至。

 ということで、私にとって、本サービスを利用した場合の効用としては、「無駄撃ち」がなくなるということかなと。蔵書(積み本)が減ることはないと思います。


 私としては、無料期間終了まで様子見て、ラインナップの方向性が変わらなそうであれば、一旦解約でしょうか。ラインナップの揃い具合によっては再開するかも、ぐらいの感じ。

 ところで、この手のサービス、実際に登録しないと収録ラインナップが見られないことが多いのですが、どういう作法なんですかね。
 今はキャンペーン中だからいいとして、通常は、収録内容も分からずに有料登録なんてしづらいと思うのですが。
posted by ウロ at 11:22| Comment(0) | ガジェット
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