【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 確定版
◯
クソ真面目に検討したものが、しれっと、あっさりと・・・。
【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 暫定版
【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 暫定版補遺
【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 暫定版余滴
下記の問Fをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_faq.htm
お問合せの多いご質問(令和5年11月13日更新)
(適格請求書発行事業者からの課税仕入れに係る経過措置の適用等)
問F 当社は、仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることも多くあります。この場合、適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等については、一律に、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けてもよいでしょうか。
【答】
適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、適格請求書等保存方式開始から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。
ただし、当該経過措置の適用は、取引の相手方が適格請求書発行事業者以外の者である場合に限りませんので、例えば適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号のない請求書等を含め、区分記載請求書等の記載事項を満たしたものの保存がある場合には、一律に、当該経過措置の適用を受けることとなります。
【答】の一段落目とニ段落目とで、どう考えても矛盾しているのですが。
【AただしB構文】
A 「適格請求書発行事業者以外の者」からの課税仕入なら経過措置受けられる。
ただし、
B 経過措置は「適格請求書発行事業者以外の者」からの課税仕入に限られない。
どうしても従前の記述(A)を訂正するような表現にはしたくなかったんでしょうか。下衆の勘ぐりセンサーからすると、どうにも立案担当者の「往生際の悪さ」を感じざるをえない構文(以下、これを「AただしB構文」といいます)。
下記は、もちろん妄想です。
【「AただしB構文」誕生の経緯】
・本来であれば「適格請求書発行事業者以外の者」からの課税仕入だけに限定するつもりだった。
・が、法30条1項は「ヒト」ではなく「モノ」の観点から控除対象を制御している。そこで、本経過措置も「モノ」の観点から規律することにした。ただ、見出しだけは当初の「つもり」である「ヒト」のまま残しておいた。
・ところが、「モノ」の観点から制御したせいで、「適格者(インボイス無し)」が控除対象に含まれることになってしまった。
・条文立案ミスがバレたくないが、かといって嘘を書くわけにもいかない。ので、「Q&A」では「適格請求書発行事業者以外の者」と書き、「適格者(インボイス無し)」も控除対象になることについてはダンマリを決め込んだ。
・その後、大量に問い合わせが来てしまい誤魔化しきれなくなったので、「お問合せの多いご質問」に明記せざるをえなくなった。が、条文立案ミスを正面から認めたくはないので、「AただしB構文」を使って、本来は「適格請求書発行事業者以外の者」だけが対象だが、運用で「適格者(インボイス無し)」も対象に含めてあげているかのような書きぶりとした(どうせお前ら条文読まないだろと舐めている)。
こんなものは、私の逞しい妄想力の産物にすぎません。が、これくらいしょうもない妄想によらなければ、上記のようなひねくれた書きぶりにはならないと思うのです。
素直に間違いを認めるのならば、わざわざニ段落に分けて記述する必要はありません。条文どおり、旧法では受けられたが新法では受けられない場合として、まとめて列挙すればいいだけです。
◯
いずれにしても、適格者がインボイスをくれない(が区分記載請求書はくれる)場合も経過措置受けられるんだと。まあ、条文通りの結論であって、何をいまさらというところなんですが。
他の回答にあるような、「差し支えありません」系の、運用で勝手に緩める回答ではありません(が、「AただしB構文」を使うことにより、あたかも「差し支えありません」風の書きぶりに見せかけている)。
立案担当者からすれば「過小課税」であって、本来は「適格請求書発行事業者以外の者」だけが対象なんだと強調したいのかもしれません。が、みずほCFC事件最高裁判決の「形式重視」からすれば、「適格者(インボイス無し)」が含まれるのは当然の帰結でしょう。
「本当はそんなつもりで書いていない」は無視すべきことになるはずで。納税者不利な方向のみに「形式重視」を発動するなんて、許されるはずもない。
みずほCFC事件判決 〜最高裁令和5年11月6日判決 (雑感)
みずほCFC事件判決(最高裁令和5年11月6日)と形式的犯罪論
のはずなんですが、形式重視だと納税者有利になってしまうということで、形式無視の実質重視な高裁判決もあるわけで(上告不受理)。
横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)
本経過措置については、運営側が自白してくれたからよいようなものの(が、施行後公表というのにも、往生際の悪さを感じる)。これが、公式ではダンマリ決め込んだままだったら、どうなっていたことか。
立案担当者の「つもり」にのっかった「実質重視」の判決が出たとしても、おかしくない。
◯
ということで、Q&Aワナビーの、インボイス解説モノの執筆者各位は、条文読まずに不十分な情報を拡散したことを、自省されたほうがよろしいかと。立案担当者の条文作成ミスに付き合わされて、ウソの拡散に加担させられていただけですよ。
が、そんなことはお気になさらず、おそらく「国税庁の最新情報を反映した決定版!!」とか言って、上記「AただしB構文」をコピペするだけの改訂版を出して終わってしまうのでしょう。運営の情報更新(すり替え)を、単なる改訂チャンスとしてしか見てないのか。
上記のとおり、「お前らどうせ条文なんて読まねえだろ」と舐めプかまされているわけで。
カリスマ指導者に『国民よ立て!悲しみを怒りに変えて。立てよ国民!』くらい煽られないと、目覚めることはないのでしょうか。
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