閑話休題。
実務書は、当然のように積読ループが終わることはありません。
他方で、基本書・教科書・体系書・研究書の類についても、実務書とは別ラインで、相変わらず積読が続いています。
それなりに抑制はしているつもりなので、以前に比べれば相当少なくなっています。
が、「有益なものだけを厳選して読もう」と「ブログネタになりそうなものを読もう」のせめぎ合いがあり、かつ、積読病と通読病の極悪コンボのせいで、いつまでも終わらない。
で、どうしても、イジリ代(しろ)のあるものばかり、記事化されがち。ので、今回は、よかったもの・よさそうなものにつき、まとめて触れておきます。
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まずは、最近読了したもの。
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水町勇一郎「労働法 第10版」(有斐閣2024) Amazon
2年毎に改訂してくれるので、その間の法改正・新判例の振り返りができます。あえて教科書を読むことで、従前の知識の再確認もできますし。
定期的に改訂してくれるおかげで、「改訂チキンレース」に陥ることもないです。
【改訂チキンレースとは】
土田道夫「労働契約法 第2版」(有斐閣2016)
※土田先生の体系書は、少し前に、改訂される情報を見かけた覚えがあるので、皆さんは今から改訂チキンレースに参加されなくてよいのではないでしょうか。
上記の教科書は574頁の薄い本です。
分厚い体系書も当然購入しています。が、体系書に対しては「通読病」が発症しなくなったので、素直に本棚へお供えできています。
水町勇一郎「詳解 労働法 第3版」(東京大学出版会2023) Amazon
ところが、「公式読本」が「第3版」にあわせてリニューアルされてしまいました。ので、こちらは積読ラインナップに加わってしまいました。
水町勇一郎「水町詳解労働法第3版公式読本」(日本法令2024) Amazon
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興津征雄「行政法I 行政法総論」(新世社2023) Amazon
行政法総論だけで864頁。が体系書ではなく教科書の部類です。
情報量が多いというのもありますが、それよりも、ひたすら行間を埋めてくれているおかげでそうなっている、といえるでしょうか。
今どきの教科書が、むやみやたらと「薄いが正義」みたいな風潮になっていて。これに抗う本書は、独学者にとって導きの星となってくれる存在です。
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野村剛司,森智幸「倒産法講義」(日本加除出版2022) Amazon
私のような素人でも、非常に読みやすい本でした。
私が勝手に思うに、倒産法の入門書は、学者ではなく実務家が書いたものを読んだほうがいいと思います。学者の書く手続の説明とか、あまりに無味乾燥すぎませんか(入ってこない)。
徳田 和幸「プレップ破産法 第7版」(弘文堂2019)
学者本は、難しい論点を勉強する段階で読めばよいのではないでしょうか。
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今読み途中のもの。
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佐藤英明「スタンダード所得税法 第4版」(弘文堂2024) Amazon
相変わらず読みやすい。
技術的な側面を大胆に省略しているというのに、584頁もある。のですが、説明がやたらと丁寧なだけなので、負担にはならないと思う。
しかしまあ、同じシリーズの消費税法があんな有り様になってしまったの、分担執筆の残酷さを感じる。
佐藤英明,西山由美「スタンダード消費税法」(弘文堂2022)
佐藤英明「スタンダード所得税法 第3版」(弘文堂2022)
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これから読む予定のもの。
小西國友「労働法」(三省堂2008) Amazon
「社会保障法」の教科書が良かったので。
小西國友「社会保障法」(有斐閣2001)
労働法に関しても、法改正・新判例ラッシュのせいで、古い本を実務に直接活かすのは、もはや厳しいわけですが。
そもそも、実務に直接活かすことだけを考えるならば、学者先生の教科書類なんて、読む必要はないでしょう。しかも、税理士が税法以外の法分野の教科書を読むなんて、遠回りにもほどがある。
それでも読む、ことに意義があるのですが。今回の記事はただの余技であって。ここで詳論するには気合が足りない。
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田村善之,清水紀子「特許法講義」(弘文堂2024) Amazon
さらに「特許法」の教科書なんて、労働法以上に、野良税理士にとっては、さしあたり必要がない。
ですが、田村善之先生の、お久しぶり待望の教科書、ということで読まざるをえない。
田村善之「知財の理論」(有斐閣2019)
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これから出版されるものなのに、すでに積読ラインナップに組み込まれているもの。
渕圭吾「租税法講義」(有斐閣2024) Amazon
7月下旬発売とのこと。まあ、読むしかないですよね。
佐藤英明先生の教科書をようやく読み始めたのも、積読ラインナップの租税法ラインを開けるためだったりしますし。
本書によって、例の「旅」が終わってくれるでしょうか。
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅
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山口厚「刑法各論 第3版」(有斐閣2024) Amazon
8月下旬に出版だそうです。
一昔前は、やたらと刑法の教科書・体系書を買い込むという時期(しかも総論に偏る)がありました。が、最近はすっかり落ち着きました。
とはいえ、山口厚先生の教科書(体系書?)となると、買わざるをえない。
謎なのが、14年ぶりの改訂だというのに、10頁しか増えていないというところ。長々と判決文を引用してかさ増しする系の本ではないぞ、ということでしょうか。
ただ、『総論』における、「問題探究」からの徐々に角が取れていく様を見ている古参(理論刑法学ガチ勢)からすると、どこか心配がないわけではない(余計なお世話)。
山口厚「問題探究 刑法総論」(有斐閣1998) Amazon
山口厚「刑法総論 第3版」(有斐閣2016) Amazon
山口厚「問題探究 刑法各論」(有斐閣1999) Amazon
2024年06月20日
積読のあゆみ 〜基本書編(2024年前半戦)
posted by ウロ at 13:15| Comment(0)
| 法律書マニアクス
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