2024年07月22日

水町勇一郎「水町詳解労働法 第3版 公式読本」(日本法令2024)

 本書は「詳解第3版」の読本であって、「詳解の読本」第3版ではない。
 といえば伝わるでしょうか。

水町勇一郎「水町詳解労働法 第3版 公式読本」(日本法令2024) Amazon

 要するに、詳解第2版の読本を買った人が本書を買う必要があるか、に対する答えが、「ある」だということです。

水町勇一郎「水町詳解労働法 第2版 公式読本」(日本法令2022) Amazon

 「続編」と謳ってくれれば分かりやすいのですが。なぜか「完全リニューアル版!」という、微妙な言い回し。
 「リニューアル」って、下記の第9版→第10版のようなときに使うものだと思うのですが。

水町勇一郎「労働法 第10版」(有斐閣2024) Amazon
 帯に「全面リニューアル!」と書いてある。中身にかかわらず、煽り文句は収斂していくものなのか。

【宣伝文句論】
税法思考が身につく、理想の教科書を求めて 〜終わりなき旅
高木光「行政法」(有斐閣2015)
小西國友「社会保障法」(有斐閣2001)

 一部前著の再掲もあるから完全新作とは言いにくい、ということなのでしょうか。

 それならそうで、出版社が対比表でも作ってくれればいいのに。
 設問が300→191と大幅減となっていて。前著からの選ばれし精鋭として何が残ったのか、気になりますし。

 「本書に興味があるような人は、どうせ水町先生大好きだから、細かい説明なんてしなくても買うだろ」ということなら、まあそうでしょうが。
 実際、普通の人は『詳解』を読むのに手一杯であって。『読本』にまで手をだそうとするのは、よっぽどのフリークスでしょう。


 ということで、前著を持っている方は、本書と入れ替えでうっかり前著を売っぱらったりしないように。

 そして、我々普通の人は『詳解』の分厚さ(1568頁)から逃げることなく。まずは『詳解』と向き合いましょう。
 本書は「詳解の読本」とはいうものの。『詳解』が理解しやすくなるというよりは、プラスαの要素が強めですし。

水町勇一郎「詳解 労働法 第3版」(東京大学出版会2023) Amazon

 しかし改めて。
 『詳解』の、1頁あたりのお値段の激安さ。『読本』のおよそ半額よ。

  詳解 8,580円 1568頁
  読本 2,640円 248頁 

 これは『読本』のほうが標準であって。東京大学出版会の「特定の」教科書に対する値段設定が変なんですよね(ありがとうございます)。

田中亘「会社法 第4版」(東京大学出版会2023) Amazon
posted by ウロ at 09:08| Comment(0) | 労働法
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