2025年02月17日

いろんな配偶者(所得控除編)

 一夫多妻制/多夫一妻制のお話しではなく。
 所得税法の「所得控除」の中に出てくる配偶者のお話しです。

 以前に整理した「所得控除」についての記事の、配偶者スピンオフものです。

『所得控除を受けられる奴は誰だ!』(その1)
『所得控除を受けられる奴は誰だ!』(その2)

 そして私の中では「いろんな」シリーズの一環と位置づけています(まあまあどうでもいい)。

いろんな産休と育休 〜法間インターフェイス論
パラドキシカル同居 〜或いは税務シュレディンガーの○○


 まず、2条(定義)で用意されているもの(以下、所得要件は令和7年度改正前のものです)。

A 同一生計配偶者
  生計一
  合計所得金額48万円以下
  事業専従者(青色、白色)除く

B 控除対象配偶者
  同一生計配偶者
  本人の合計所得金額1,000万円以下

C 老人控除対象配偶者
  控除対象配偶者
  年齢70歳以上

D 源泉控除対象配偶者
  生計一
  本人の合計所得金額900万円以下
  合計所得金額95万円以下
  事業専従者(青色、白色)除く


 次に、所得控除(72条〜)での扱いについて。

1 配偶者が出てこないもの。

・小規模企業共済等掛金控除
・寄附金控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・扶養控除

 小規模企業共済や寄附金につき、配偶者名義のものを本人が支払った場合にどうなるかについては、上記記事で論じたとおりです(以下、支払系は同様です)。
 なお、「ひとり親」の中には言葉として配偶者は出てきますが、「いない」側のお話しなのでこちらに納めておきます。


2 配偶者

・生命保険料控除
 配偶者(受取人)

 受取人が配偶者でありさえすればよいことになっています。
 生計一や所得要件が課せられていません。


3 生計を一にする配偶者

・雑損控除
 生計を一にする配偶者(が有する資産)
  総所得金額・退職所得金額・山林所得金額48万円以下

・地震保険料控除
 生計を一にする配偶者(が有する資産)

・医療費控除、社会保険料控除
 生計を一にする配偶者(納税者が支払ったもの)

・配偶者特別控除
 生計を一にする配偶者
  配偶者の合計所得金額133万円以下
  本人の合計所得金額1,000万円以下
  控除対象配偶者除く
  事業専従者(青色、白色)除く

 ここまで、せっかく第2条で定義づけした用語が全く出てきません。
 特に、配偶者特別控除の対象者の絞り込み、やたらとゴチャついていますが、専用の呼び名をご用意していただけておりません。
 令和7年税制改正(案)の「特定親族特別控除」の控除対象者に、『特定親族』という専用の呼び名が用意されようとしているのとは大違い。

 以下で、ようやく2条の用語が登場します。

4 同一生計配偶者(A)

・障害者控除
 同一生計配偶者

5 控除対象配偶者(B)

・配偶者控除
 控除対象配偶者
 老人控除対象配偶者(C)は控除額アップ

 それぞれ一箇所づつ。

 配偶者特別控除の対象者が専用の用語を用意していただけないの、そこでしか使われないからだと思って諦めていたのですが。
 同一生計配偶者・控除対象配偶者・老人控除対象配偶者も、それぞれ一箇所でしか使われていないという有り様(念のため、措置法かつ所得控除じゃない「所得金額調整控除」では「同一生計配偶者」が使われています)。

 一体どういう設計思想のもとに、専用の呼び名を用意する/しない(named/un-named)を振り分けているのでしょうか。

 なお、「源泉控除対象配偶者」(D)については、あちらこちらで使いまわしされていますので、定義のしがいがあったでしょうね。

いろんな親族(所得控除編)
posted by ウロ at 09:06| Comment(0) | 所得税法
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