2025年05月19日

Amazonビジネス&インボイス 〜適格請求書であるが適格請求書ではない

 当ブログにおいては珍しい《税務お役立ち記事》風な内容となりました。

 藤間大順先生(@taxfujima)のXでのポストをきっかけとして、AmazonBusinessのインボイス対応について、軽く整理してみることにしました。

 まず、公式の情報は下記サイトのとおり。

インボイス制度導入に関するAmazonビジネスでの対応 【2023年8月25日更新】
インボイス制度導入に関するAmazonビジネスでの対応 【2024年12月23日更新】

 このうち、変更後の新しいルールを整理します。なお、「Amazon自身」が販売者となる場合は除きます。

 まとめると次のとおりになります。「インボイス」とあるのは、仕入税額控除に使える、という意味合いです。

20250516ScreenShot00002.png


 以下は補足説明。

1 Amazon(個人)

 売手自身が発行する建付けになっています。それゆえ、適格請求書のインボイス番号は、売手のものだけが記載されることになっています。

2 AmazonBusiness(個別払い)

 「代理交付」によることとされています。それゆえ、Amazonが代理発行する適格請求書には、売手のインボイス番号だけを表示すれば済むはずですが、なぜかAmazonのインボイス番号も表示されることになっています。

3 AmazonBusiness(請求書払い)

 「媒介者交付特例」によることとされています。これは複数の売手を合算することになるため「代理交付」では対応できない、ということかと思われます。

 とてつもなく紛らわしいのが、Amazonが『適格請求書』と呼んでいるものは、請求書払いの場合にはインボイスとして使えない(=仕入税額控除できない)ということです。月ごとに発行される『請求書』のほうが正式なインボイスとなります。

 おそらくですが、同じ箇所から出力するものについて、個別払いと請求書払いとでデータのタイトルを切り替えるのが面倒、ということなのではないでしょうか。
 このあたり、Amazon内部での、国税庁とやり取りする担当とシステムを作る担当とで、あれこれ綱引きがあったんじゃないかなあと、邪推してしまいます。

 ただそうすると、Amazonは、インボイスとして使えないものを『適格請求書』というタイトルで買手に発行していることになります。
 このことが「偽りの記載」にあたらないのか気になるところですが、まあAmazon様なら大丈夫なんでしょう。

消費税法 第五十七条の五(適格請求書類似書類等の交付の禁止)
 適格請求書発行事業者以外の者は第一号に掲げる書類及び第三号に掲げる電磁的記録(第一号に掲げる書類の記載事項に係るものに限る。)を、適格請求書発行事業者は第二号に掲げる書類及び第三号に掲げる電磁的記録(第二号に掲げる書類の記載事項に係るものに限る。)を、それぞれ他の者に対して交付し、又は提供してはならない。
一 適格請求書発行事業者が作成した適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類
二 偽りの記載をした適格請求書又は適格簡易請求書
三 第一号に掲げる書類の記載事項又は前号に掲げる書類の記載事項に係る電磁的記録

消費税法 第六十五条
 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
四 第五十七条の五の規定に違反して同条第一号若しくは第二号に掲げる書類を交付し、又は同条第三号に掲げる電磁的記録を提供したとき。


 請求書本体にはAmazonのインボイス番号のみが記載されます。「請求明細」には売手のインボイス番号が記載されていますが、これはあくまでも参考情報という位置づけです。
 また、税額についても「請求明細」記載の個別商品ごとの金額は参考情報にすぎず。請求書本体に記載された金額が正しい税額ということになります。


 ここで疑問に思ったのが、会計ソフトのAPI連携では、上記のような、個別払いと請求書払いの違いに応じた処理がなされているのかどうか、という点です。

 というのも、「請求書払い」を採用しているにもかかわらず、請求明細ごとにデータ取得し、かつ『適格請求書』のほうを証憑として仕訳に添付しているとすると、税額は正しくないですし、インボイスの保存が漏れていることにもなってしまいます。

 たとえば、以下の情報が最新かどうかわかりませんが。

「Amazonビジネス」との連携で証憑を取得できるようになりました 公開日:2024年12月18日

 ここに「領収書や請求書払いにおける請求書は取得対象外です。」と書かれていることからすると、請求書払いにおける正式な「インボイス」は自動連携してくれていないことになります。インボイスでもない何かを、ひたすら仕訳に添付し続けている様よ。
 もちろん、「Amazonのサイトからいつでもダウンロードできるようになっていれば差し支えないよ」ルールがあるので、保存要件は満たせていることにはなるのでしょう。が、社内の「事務処理規程」はこれに合わせて修正しておく必要があります。

 より問題なのが、『適格請求書』ごとの税額を連携しているのだとすると、間違った税額が取り込まれているという点です。割戻計算によっている限りは結果オーライですけども。積上計算を採用していたとすると、帳簿なり申告書で調整を入れなけばならなくなります。

 仕入税額につき、請求書単位で計算できるところを個別明細ごとに計算しているということは、納税者不利な計算をしていることになります。が、正しく計算されていない仕入税額だということで、まるっと否認されてしまうのかどうか。
 さらに、仕入税額が正しい積上計算になっていないということで、売上税額の積上計算も否認されてしまうとしたら、まあ大変ですよね(条文上はそんな建て付けにはなっていないが、アクロバティック趣旨解釈が炸裂しないとは限らない)。

 我々税理士は、システムの仕様を前提とした上で、各自の判断でどうにかやるわけですが。ベンダー各社としてはどこまで対応するのか、スタンスをはっきりしておいてほしい。


 以上、こんなことは野暮なツッコミにすぎません。

 ただ単に、すでに忘却の彼方にある、インボイス絡みのあれやこれやをリマインドするためだけに、整理してみただけのお話となります。
posted by ウロ at 09:16| Comment(0) | 消費税法
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。