「スペースデブリ除去事業と消費税および法人税」が公表されました。
(藤間大順先生のブログ)
私みたいな野良税理士があれこれ論評できるようなものではありません。ので、このご論稿を読みながら、バックグラウンドで頭の中に浮んできたものを、言語化しておきます(ので、同論稿とは直接の関係はありません)。
以下、消費税法というのは「日本の消費税法」を念頭においています。
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消費税法では「国内」だけが定義されている(法2条1項1号)。「国外」のほうは同法内で直接定義されることはなく、「国内以外」などといった扱いがされている(法4条3項など)。
消費税法の施行地以外の地域は、そこに主権国家(租税国家)があろうがなかろうが一律「国内以外」となる。そのため「宇宙空間」についても、(その適否は等閑視されて)現行法上は「国内以外」に振り分けられてしまう。
もちろん、法が想定しているのはあくまで「地球内」であるとして、宇宙空間は「国内/国内以外」のいずれでもない(ので、現行法では解決不能)、と規範的解釈(限定解釈)を施す道はありうる。
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消費税法は、日本国内におけるあらゆる流通取引に問答無用で課税する。生産が国内だろうが国外だろうが、日本国内で流通したら課税が始まる。他方で、国内から出ていった途端に不干渉となる。
このことにつき「仕向地主義」などといわれることがあるが、このネーミングについては若干の注釈が必要。
というのも、日本が仕向地となれば課税が始まるのであるが、国外が仕向地となる場合はどう課税されようが無関心となる。要するに、《双方向性》がない。
(なお、現実に輸出をしていても、輸出許可証の保存がなければ輸出免税を受けられないなど、(モノに対する)極度の形式主義が気にくわないとは思っているものの、不正の温床ゆえ仕方がないところか。)
「外国税額控除」(法人税法、所得税法)のように、国外の法域で捕捉されたことを国内免除の条件に組み込む制度設計もありうるが、現行法は保税地域から出ていった先のことは無視している(税法版⦅暗闇への跳躍⦆)。
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宇宙に関わる役務の提供に、現行法の内外判定ルール(法4条3項2号)をそのままあてはめてよいのかは、要注意。
役務の提供地と便益を受ける地が一致する場合(宇宙内で完結)と、「電気通信利用役務の提供」のごとく、これらがかけ離れる場合(地上の民が受益する)がありうる。
なお、同号に「国際」という文言が出てくることからすると、ここでは国境から国境へ跨ぐ場合を想定していると読める。他方で「国内及び国内以外の地域にわたって」「国内以外の地域間で行われる」などのように、「地域」といっている場合は、必ずしも「外国」である必要はないと読める。
意図的に、そのような使い分けをしているのかどうか。
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消費税法が、国外に無関心でも問題なく運用できるのは、当該領域にも流通取引につき何かしらの課税制度があり(課税しないという選択も含まれる)、同領域内での流通については(産地に関わらず)当該法域内のルールが等しく適用されるはずだ(と信頼している)からである(Trump…)。
ところが「宇宙空間」となると、気にせず丸投げできるようなルールが確立しているわけではない。そのため、各国が好き勝手に課税ルールを設定してしまい、課税の重複や空白が生じるおそれがある。
そこで、消費税法についても、租税条約・共通指令・統一法などによって、足並みを揃える必要がでてくる。
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宇宙税法を語る前提として、国際私法(準拠法選択ルール)の宇宙版の開発が待たれる。
「国際租税法」という分野においては、移転価格税制や海外子会社合算税制などといったハイカラな制度については一生懸命議論されるものの。税法のあてはめをする際に依拠する準拠法がどのように決定されるのかについての議論が、あまり詰められていないように思われる。
【税法×著作権法×法適用通則法】
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その6)
非居住者に支払う著作権の使用料と源泉徴収の要否について(その9)
税制の整備は当然に必要だとして。その基盤となる準拠法選択ルールについても、明確に決めておくべきなのでしょう。
◯
当然のことですが、私みたいな野良税理士が、宇宙税法につき、何某かの構想を立てるなんてことはできるわけもなく。
各種の⦅スペースオペラ⦆ものを読みながら、各陣営の税制がどうなっているのか、妄想するくらいが関の山でしょうか。
なお念のため。タイトルはこちらから想起したものとなります。
井上治典・伊藤眞・佐上善和「これからの民事訴訟法」(日本評論社1984)
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