以下、印紙税訴訟&税理士法エアプが、無知をさらけ出すだけの記事となります。
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先日、Xにて、@taklawya先生が、印紙税に関する訴訟で税理士が有償で補佐人やったら弁護士法違反では、という疑問を呈されていて。
https://x.com/taklawya/status/1998304989413003438
そのことについて検討する前に、前提となる知識を整理するところから始めます。
まず弁護士法。
弁護士法 第三条(弁護士の職務)
1 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
弁護士法 第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
「法律事件」に関する「法律事務」を有償でお仕事にするのは、弁護士に限られますよと。
では、なぜ税理士が、税に関するお仕事ができるのかというと。
税理士法 第二条(税理士の業務)
1 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十一号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税(森林環境税及び特別法人事業税を含む。以下同じ。)に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
これが弁護士法にいう「他の法律に別段の定めがある場合」ということです。
(「租税法に関し」ではなく「租税に関し」と書いてあることから、「租税にかかる《法律》事務」は許容されていない(大人しく計算だけしてろや!)という見解も成り立ち得ますが、さしあたり許容されているものとして進めます。)
ポイントは、第1項で「租税」から除外されるものがあるとされているところです。
「その他の」政令で定めるものと書いてあるので、除外されるものが政令に網羅されていることになります。
税理士法施行令 第一条(税理士業務の対象としない租税)
税理士法(以下「法」という。)第二条第一項に規定する政令で定める租税は、印紙税、登録免許税、自動車重量税、電源開発促進税、国際観光旅客税、関税、とん税、特別とん税及び狩猟税並びに法定外普通税(同項に規定する法定外普通税をいい、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第二項において準用する同法第四条第三項若しくは第五条第三項の規定又は同法第七百三十四条第六項の規定によつて課する普通税を含む。)及び法定外目的税(法第二条第一項に規定する法定外目的税をいい、地方税法第一条第二項において準用する同法第四条第六項若しくは第五条第七項の規定又は同法第七百三十五条第二項の規定によつて課する目的税を含む。)とする。
では、印紙税等について、税理士は一切のお仕事ができないのかというと、そうではなく。
税理士法基本通達 2−2(税理士業務の対象としない租税に関する事務)
法第2条第1項及び税理士法施行令(以下「令」という。)第1条の規定により税理士業務の対象としない租税に関する事務は、法第2条第2項及び税理士法施行規則(以下「規則」という。)第21条第1号に規定する財務に関する事務に含まれることに留意する。
通達様により「財務に関する事務」に含まれると解釈していただいているので、「付随業務」としてならできるのだとされています。
文言解釈としては、印紙税を「財務」というのは無理やりすぎるし、どうせなら正面から「税理士業務」に含めるよう改正したらどうかとは思いますが、いずれにしても現行法上はこのとおりとなっています。
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なぜ印紙税が「税理士業務」から除かれているかというと。
「領収書」に印紙が必要かどうかすら、判断が必要な現代とは異なり。
キャッシュレス決済と印紙税法 〜第17号文書(領収書)該当性について
制定当時は、印紙の要否なんて、誰でも判断できるものなのだと認識されていたのでしょう。ゆえに、独占業務としておく必要はないのだと。
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ちなみに、法2条1項において、「除く」から除外されている(=「租税」に含まれる)「第四十九条の二第二項第十一号」が何かというと。
税理士法 第四十九条の二(税理士会の会則)
1 税理士は、税理士会を設立しようとするときは、会則を定め、その会則について財務大臣の認可を受けなければならない。
2 税理士会の会則には、次の事項を記載しなければならない。
十一 租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定
「会則の記載事項」に関する規定を引用していることの違和感はさておき。「租税教育」をするにあたっては、印紙税等も対象にしてよいのだと。
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次に「補佐人」に関する規定。
まずは、一般法としての民事訴訟法の規定から。
民事訴訟法 第六十条(補佐人)
1 当事者又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
3 補佐人の陳述は、当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。
裁判所の許可があれば補佐人になれますよと。
で、税理士法の規定。
税理士法 第二条の二(税理士の業務)
1 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
民事訴訟法と比較すると、
・裁判所の許可がいらない
・弁護士なしの「当事者+補佐人税理士」は許容されていない
ということになっています。
また、ここでいう「租税に関する事項」の対象ですが、2条1項における「租税」の定義づけのところで「第四十九条の二第二項第十一号を除き、以下同じ。」と書かれているため、印紙税等は含まれないことになります。
余談ですが。
「以下同じ。」となっているので、2条の前の1条における「租税に関する法令」には、印紙税法等が含まれることになります。
税理士法 第一条(税理士の使命)
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
本業としての「税理士業務」ではないにもかかわらず、印紙税等の「納税義務の適正な実現を図ること」も税理士の使命になっちゃっているという、不思議な位置づけ。
印紙税等に関して、
ア 納税義務の適正な実現を図ることがお前らの使命だぞ
イ でも本業ではなく付随業務だぞ
ウ 裁判所の許可なしに補佐人にはなれないぞ
これは一体、どういうポリシーなんでしょうか(藤間大順先生(@taxfujima)から「申告納税制度の理念にそつて」と書いてあるよとご指摘を受けたのですが、これをもって限定句と読むならば、「賦課徴収」「自動確定」にかかる租税は、税理士の使命には入ってこないこととなるのかどうか。)
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ちなみに、他士業における「補佐人」に関する規定。
弁理士法 第五条(業務)
1 弁理士は、特許、実用新案、意匠若しくは商標、国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願、回路配置又は特定不正競争に関する事項について、裁判所において、補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる。
2 前項の陳述及び尋問は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
第六条
弁理士は、特許法第百七十八条第一項、実用新案法第四十七条第一項、意匠法第五十九条第一項又は商標法第六十三条第一項に規定する訴訟に関して訴訟代理人となることができる。
税理士と比較すると、
・弁護士なしの「当事者+補佐人弁理士」が許容されている
・陳述だけでなく尋問ができる
・補佐人ではなく訴訟代理人になることも許容されている
という点が、異なっています。
弁理士のできることがやたらと《強め》なのは、知財訴訟では「技術」勝負になることが多い、という認識によるものでしょうか。
社会保険労務士法 第二条の二(社会保険労務士の業務)
1 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
税理士と比較すると、
・弁護士なしの「当事者+補佐人社労士」が許容されていないのは同じ
・「労働社会保険諸法令」がフルカバーされていて、税理士における「租税」のような除外はなされていない
ということになっています。
フルカバーされているということは、「租税」と違って素人がつけ入る隙はないよ、という認識だからでしょうか。
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以上、ここまでは単に条文を陳列しただけです。
次回、ほんのり考察を交えることで、エアプが恥を晒しにいくこととします。
『印紙税法は弁護士にお任せしなさい?? 〜税理士法解釈序説』(その2)
2025年12月15日
『印紙税法は弁護士にお任せしなさい?? 〜税理士法解釈序説』(その1)
posted by ウロ at 10:16| Comment(0)
| 税理士法
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