2024年12月23日

消費税、売上から見るか?仕入から見るか?(その1) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編53)

 本ブログにおいて「消費税法の理論構造」というサブタイトルの記事を、長々と展開しているのですが。

公売特例と8割控除 〜消費税法の理論構造(種蒔き編52)

 私が言いたいことの主論は、インボイス推進派の人が「売上消費税と仕入消費税を一致させるべき!」と声高に言っておきながら、実際には益税方向の不一致を(一部)潰しただけで、損税方向の不一致はむしろ拡大してるじゃねえか、という点にあります。

 このような課税拡大志向、近時の最高裁判決にみられる「過少課税になるくらいなら過剰課税を許容する」という方向性と、軌を一にしているわけです。

みずほCFC事件判決 〜最高裁令和5年11月6日判決 (雑感)
最高裁令和6年7月18日・第一小法廷判決(外国子会社合算税制) 雑感
《税負担の累積防止》なる税務ミームについて 〜最高裁令和5年3月6日判決(ADW事件)

 国家ぐるみでスクラム組まれてしまったら、《疑わしきは納税者の利益に》なんて、か細いスローガンを掲げたところで、どうにも太刀打ちできないでしょう。憲法論も、あまりあてにできるものでもないですし。

平等権と、課税公平主義のあいだ 〜最高裁令和4年4月19日判決における「平等原則」とは?
《通達みてえな判決》 〜「判例」としての最高裁令和6年5月7日判決


 さて、今回の記事は、これまでの記事が「機能面」から過剰課税(損税)を眺めてきたのに対し、この機能を条文がどのように表現しているかを見るものとなります。
 あるいは、条文から読み取れる立案担当者の《客観的》意思をプロファイルする、ということができるでしょうか。

 先に予告しておくと、『相当する額』というのがパンチラインとなっております。
 以下、条文は適宜省略を入れておりますので、各自原文をご確認ください。また、本来であれば消費税と地方消費税を区別しなければならないのですが、文脈上必要な場面でのみ区別することとします。

 事例としては、以下のものを想定しながら説明していきます(リバースチャージと輸入取引は考慮外)。

  A(売手)
  ↓ 110 物の売買(国内・課税資産)
  B(買手)


 まず、「売上課税ルール」について。

法第二十八条(課税標準)
1 課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。)とする。


 ここででてくる「課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額」というのが、以下でこすり倒す最重要用語であり。以下では『相当する額』と省略することとします。

 消費税の課税標準は、対価の額から『相当する額』を除いた額だと言っています。
 なぜ『相当する額』という言い方をしているかといえば、Bからもらうのはあくまでも売買代金(=対価の額)だけであって、消費税そのものを別途お預かりするわけではないからでしょう。


 ちなみに、免税事業者の基準期間における課税売上高から消費税(に相当する額)を除かないのは、免税事業者にとっては『相当する額』すら存在しないから、ということになります。

法第九条(小規模事業者に係る納税義務の免除)
2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
 一 個人事業者及び基準期間が一年である法人基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額


 法28条1項から定義をお借りしているにもかかわらず。こちらでは税込価額で判定するの、単にそう解釈しないと不都合だから、というのではなく。免税事業者にとっては、課されるべき消費税に『相当する額』がないから、と説明するのが筋が通っているでしょう。

免税事業者Requiem(第1曲) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編27)
免税事業者Requiem(第2曲) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編28)
免税事業者Requiem(第3曲) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編29)

 このあたりの解釈に絡み、免税事業者擁護の方々が「免税事業者は対価をもらっているだけで消費税をもらっていないんだから、消費税をネコババしているわけではない!」と主張されているのを見かけたことがあります。

 確かに、「免税事業者が消費税をネコババしている」というインボイス推進派の方々のいうレトリックが、実際の消費税法の建付けから導かれない空論であることは事実ではあります。が、本来、課税取引をした以上は問答無用で譲渡課税されるはずのところを免除していただいている、という意味では恩恵を受けていることも事実です。

 あとはそれが妥当か不当かという立法政策上の価値判断レベルの問題であって。「ネコババ」というレトリックを巡って議論をすることに、全く意味はないでしょう。


 余談ついでに。

 輸出免税につき「免税事業者制度と違って、国内で消費されないから免除されるのは当然」というような物言いをされる方がいます。

法第七条(輸出免税等)
1 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
一本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け


 が、「用途区分」制度を見れば分かるように、現行消費税法は、消費者の消費以外の場面で税負担が生じることを容認してしまっているところです。
 なので、単に「消費がない」というだけでは免除制度を正当化することはできないのであり。「国際競争上どうしても免除制度が必要」という競争政策レベルで議論すべきものだと思います。


 話を戻して。

 売上課税ルールにおいては、課税標準算出にあたって対価の額から『相当する額』を除いているにすぎず、消費税そのものを控除しているわけではない、ということです。

 未登録である課税事業者が納税義務を負担しなければならないのも、課税取引をした以上は問答無用で譲渡課税されるからであって。買手が消費税をお預けしてない(ので税額控除できない)のに、売手が消費税の納税義務を負担させられるのも、そもそも消費税を「お預けした/お預かりした」という建付けを、消費税法が採用していないことによるものです。


 ちなみに、価格の表示ルールに関しても、『相当する額』を含めた金額を価格として表示せよとあり。消費税額そのものを取り分けて表示せよとはなっていません。

法第六十三条(価格の表示)
 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。


 なお、括弧書きで「免税事業者」が除かれているのは。上述のとおり、免税事業者には『相当する額』すらないからでしょう。


 では、どの段階で消費税そのものが発生することになるのでしょうか。
 それは、「確定申告」をしたときです。

法第四十五条(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)
1 事業者は、課税期間ごとに、当該課税期間の末日の翌日から二月以内に、次に掲げる事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。
一 その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等に係る税率の異なるごとに区分した課税標準である金額の合計額及びその課税期間中に国内において行つた特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額並びにそれらの合計額(次号において「課税標準額」という。)
二 税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額


 確定申告するまでは『相当する額』という仮想消費税(なんちゃって消費税)にすぎず。確定申告をしてはじめて消費税が顕現することになります(なお、租税債務の「成立/確定」という概念がありますが、あまり有意性のある区別とは思えないので、本記事では「確定」のみを念頭において記述しています)。


 ここまでの検討で、消費税法上、個々の売上代金には消費税そのものは含まれておらず、確定申告によって消費税額が顕現する、という建付けになっていることが分かりました。

 この建付けは、個々の売上代金には法人税は含まれておらず、確定申告をしてはじめて法人税が登場する、というのに近いと言えるでしょうか。
 「全く違う!」と思うのだとしたら、それは「お預かりする/お預けする」というお国の作り出した消費税のイメージに引っ張られているだけのように思えます。
 消費税を、条文構造を無視して「お預かりする/お預けする」で説明できるというならば、法人税を、「益金法人税−損金法人税=法人税額」で説明することもできるはずです。ここに違和感をもってしまうのは、単に我々の心の中にある法人税の「イメージ」とズレているだけ、だからではないでしょうか(もちろん、私自身は条文構造を崩して誤導することには反対です)。


 ここで、売上課税ルールの原則である「割戻し計算」だからそうなのであって。「積上げ計算」なら消費税そのものを集計するのではないか、という疑問を持たれる方がいるかもしれません。

 そこで、「積上げ方式」の条文を見てみましょう。

法第四十五条(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)
5 第一項の規定による申告書を提出する事業者が、当該申告書に係る課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを第五十七条の四第六項の規定により保存している場合には、当該課税資産の譲渡等に係る第一項第二号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額については、同号の規定にかかわらず、当該適格請求書に記載した同条第一項第五号に掲げる消費税額等その他の政令で定める金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とすることができる。

法第五十七条の四(適格請求書発行事業者の義務)

五 消費税額等(課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額の合計額として前号に掲げる税率の異なるごとに区分して合計した金額ごとに政令で定める方法により計算した金額をいう。)

令第六十二条(課税標準額に対する消費税額の算出方法の特例)
1 法第四十五条第五項に規定する政令で定める金額は、次の各号に掲げる課税資産の譲渡等の区分に応じ当該各号に定める金額とし、法第四十五条第五項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする。
一 適格請求書を交付した課税資産の譲渡等 当該適格請求書に記載した法第五十七条の四第一項第五号に掲げる消費税額等


 ここにもでてくる『相当する額』。

 そのへんの《税務お役立ち記事》だと、インボイスの記載事項として「消費税額」が要求されているとだけ書かれていることがほとんどです。そのせいで、積上げ計算では消費税そのものを集計するのだと勘違いしてしまうのかもしれません。
 が、条文では「消費税額等」とあり。そしてこれは『相当する額』だとされています。

 そうすると、インボイスに記載するのはあくまでも『相当する額』であって、消費税そのものではないことになります。なので、インボイス記載の『相当する額』を積上げていって確定申告してはじめて、消費税そのものが登場する、というのが「積上げ計算」の正確な表現となります。


 最初に書いたとおり、本記事では、消費税と地方消費税の違いを意識せずに書いているところです。

 が、税額計算では消費税(7.8%)を算出してからそれを課税標準として地方消費税(2.2%)を算出する、というプロセスになっているのであり。
 どうあっても、税抜価格に10%をかけたものは消費税(+地方消費税)そのものにはなりえないわけです。

 上記の「積上げ計算」の表現についても、より正確には地方消費税の扱いをきちんと記述しなければならないところです(が面倒なので省略)。


 長くなったので、一旦区切って、次回は「仕入控除ルール」について整理します。

消費税、売上から見るか?仕入から見るか?(その2) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編54)
posted by ウロ at 09:24| Comment(0) | 消費税法

2024年12月16日

納税者有利とて。 〜社宅に係る仕入税額控除(質疑応答事例)

 いくら納税者有利とて、さすがに文理と離れすぎで納得感がない、という国税庁見解に出くわすことがあります。

 たとえばこれ。

社宅に係る仕入税額控除(質疑応答事例)

 この中の以下の記述。

1 自己において取得した社宅や従業員寮の取得費
 従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けることがその取得の時点で客観的に明らかな社宅や従業員寮は居住用賃貸建物に該当しない


3 社宅や従業員寮の維持費
 従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けている場合は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに(略)該当します



 まずは、後者の「無償でも共通仕入」から検討します。

 「無償でも共通仕入」というのは、以下の通達を根拠としているのでしょう。

消基通11−2−16(資産の譲渡等に該当しない取引のために要する課税仕入れの取扱い)
 法第30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》に規定する課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは、原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのであるが、例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。


資産の譲渡等に該当しない取引のために要する課税仕入れの税額控除(質疑応答事例)

 が、消費税法30条2項では、「共通仕入」の定義は次のようになっています。

【共通仕入】
 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの
 (その他の資産の譲渡等=課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等)


 ここでいう「資産の譲渡等」の定義は、同法2条1項8号にあります。

第二条(定義)
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。


 つまり、消費税法で「資産の譲渡等」というときは、(みなし規定でもないかぎり)有償取引を指していることになります。とすると、共通仕入に該当するためには、有償取引に対応するものである必要があります。

 にもかかわらず、通達によって、無償取引に対応するものでも共通仕入として扱うことにしてしまっているわけです。
 よくよく通達をみてみると、語尾が「該当するものとして取り扱う。」となっていて。「本当は違うけど、そういうことにしといてやるよ」という場面で出てくるやつですよね。

 そもそも消費税法の書きぶりが、課のみ/非のみ/共通いずれにも「資産の譲渡等」に対応するものであることを要求してしまっています。そのせいで、無償取引に対応する課税仕入の行き場がない、という事態が生じてしまっているわけです。
 このような不都合を、通達がカバーしてくれている、と理解すればよろしいのでしょうか。
 

 次に、前者の「無償なら居住用賃貸建物に該当しない」について。

 消費税法における「居住用賃貸建物」の書きぶりは次のとおり。

第三十条(仕入れに係る消費税額の控除)
10 第一項の規定は、事業者が国内において行う別表第二第十三号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)以外の建物(第十二条の四第一項に規定する高額特定資産又は同条第二項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。第三十五条の二において「居住用賃貸建物」という。)に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。


別表第二
十三 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)


 国税庁の見解によれは、ここでいう「住宅の貸付け」は有償の貸付け(賃貸借)に限定され、無償の貸付け(使用貸借)は含まれない、と解釈していることになります。
 このような解釈、消費税法の文言に適合するものでしょうか。


 「貸付け」に関する消費税法の規定は、次のとおり。

第二条(定義)
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。
2 この法律において「資産の貸付け」には、資産に係る権利の設定その他他の者に資産を使用させる一切の行為(当該行為のうち、電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。)を含むものとする。


 これをみると、「対価を得て行われる」は、貸付けに《外付け》されていることが分かります。
 要するに、「貸付け」という用語自体には、有償に限定するという意味が含まれていないことになります。

 とすると、居住用賃貸建物における「貸付け」も、《外付け》パーツのないむき出しの「貸付け」であるため、有償/無償いずれも含まれる、と解釈せざるをえないはずです。
 よって、無償であっても、居住用として貸す以上は「居住用賃貸建物」に該当してしまうことになりそうです。


 「無償でも共通仕入」のほうは、紛いなりにも緩和通達があったわけです。他方で「無償でも居住用賃貸建物」については、なんの説明もなく、急に質疑応答事例で示されたものです(どこかに個別通達でもあるのでしょうか)。

 ・資産の譲渡等=有償に限定される  →無償も含める!(通達)
 ・住宅の貸付け=有償に限定されない →無償は含めない!(??)

 消費税法が採用している用語の使い分けを無視して、ご都合主義的に無償を含めるといったり含めないといったり、節操がなさすぎでしょうよ。

【事業/事業者】
消費税法における「事業/事業者」概念の機能(その1) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編46)
消費税法における「事業/事業者」概念の機能(その2) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編47)
消費税法における「事業/事業者」概念の機能(その3) 〜消費税法の理論構造(種蒔き編48)


 もちろん、結論において、非課税売上が立たないのに問答無用で仕入税額控除を全額否定されるのは理不尽、というのはそのとおりです。そもそも私個人としては、用途区分を始めとする、「損税」を生み出す全ての制度が理不尽だと思っているところですし。

《税負担の累積防止》なる税務ミームについて 〜最高裁令和5年3月6日判決(ADW事件)

 が、条文上、有償/無償とか、実際に非課税売上が立つかどうかといった事情を考慮しない書きぶりになっているというのに、「無償なら居住用賃貸建物に該当しない」なんて条文ガン無視の見解を、しれっと混入してもいいのかよと思うわけです。

「反制定法的解釈について」 〜問d(フリマアプリ等により商品を仕入れた場合の仕入税額控除)


 頑張って国税庁見解を擁護するならば、次のような読み方ができるでしょうか。

 すなわち、別表第二にいう「住宅の貸付け」は、それ単体で理解すべきではなく。6条1項にいう「資産の譲渡等のうち」と合わせて理解すべきだと。

第六条(非課税)
1 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。
 

 この読み方に従うならば、居住用賃貸建物にいう「住宅の貸付け」には無償貸付けは含まない、と解釈することができます。

 ・資産の譲渡等のうち住宅の貸付け →無償は含めない!

 この読み方、「いい線いっているね」と思われるかもしれません。
 が、6条1項には「国内において行われる」とも書いてあります。これをそのまま30条10項に代入すると、

 第一項の規定は、事業者が国内において行う国内において行われる資産の譲渡等のうち別表第二第十三号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物

 と、キモい規定になってしまいます。
 よって、6条1項と合わせて読む、という解釈は取れません。

 まあ、近時の条文起案能力の劣化っぷりからすると、他の条項との関係など深く考えることもなく、当然に有償のつもりで「住宅の貸付け」と記述した、ということなのでしょうかね。

【事例検討】インボイス経過措置(8割特例・5割特例) 決定版


 文言上の無理を押し通して、「無償なら居住用賃貸建物に該当しない」という国税庁の見解を採用したとして。次のような事例ではどうなるでしょうか。

【事例】
・当課税期間終了間際に、転売目的で中古の居住用賃貸マンションを購入。
・売却は、次の課税期間の開始直後となる予定。
・そこで、売却まではフリーレントとする旨、借主全員に通知した。

 国税庁見解及び下記通達を合わせるならば、この場合は居住用賃貸建物に該当しないということになるでしょうか(用途区分は共通仕入)。

消基通11−7−1(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲)
 居住用賃貸建物は、住宅の貸付け(法別表第二第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下この節において同じ。)の用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この節において同じ。)以外の建物であることが要件となるが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。
(3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの


 もちろん、居住用賃貸建物に該当する場合でも、次の課税期間に売却すれば税額調整を受けられます。が、キャッシュフローの観点からすれば、できるだけ早めに控除を取りたい、と考えることは十分ありうるわけです。
 そこで、もらえない家賃との損得を考慮して、フリーレントを実施することも合理的な判断となり得ます。

 質疑応答事例の社宅事案と比べて、どこか違和感はあります。が、「無償なら居住用賃貸建物に該当しない」という見解を採用してしまった以上、このような事例を排除することはできないことになります。


 今回は結論として「納税者有利」だからいいとして。趣旨解釈の名のもとに、条文をガン無視した解釈をカマしてくることに対して、我々はもっと警戒すべきではないでしょうか。

横流しする趣旨解釈(TPR事件・東京高裁令和元年12月11日判決)
(PGM事件については、いずれ)
posted by ウロ at 09:55| Comment(0) | 消費税法

2024年12月09日

リーガルマインド年末調整 〜休職者と年末調整

 年末調整、色んな人が関わっているせいか、各人独自の運用ルールに結構な確率で出くわします。あるいは、「しかた」に書かれていることが大正義、という人(以下《しかた系》の人といいます。)に出くわしたり。

令和6年分 年末調整のしかた(国税庁)

 年末調整のようなものすら、いちいち条文から意味をとろうとする私とは、相互に理解しあえない壁があるわけです(どちらかといえば、私のほうがおかしい)。

リーガルマインド年末調整(その1) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その2) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その3) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克
リーガルマインド年末調整(その4) 〜規範論的アプローチと類型論的アプローチの相克

 が、年末調整なんて、必ずしも税に明るくない企業の皆さんに、お国に変わって年1回やっていただくものであって。法令の建前なんかより、運用しやすさを優先すべきものなのでしょう。

 法令から導かれる解釈だけ主張していても、現場の実務家としてはやっていけないというのが現実。
 最近でも、インボイスの「古物商特例」につき、正面から法令に反する運用が、民間の業界誌経由で公表されたりして。真面目に条文解釈することの無意味さを、思い知らされたところです。

「反制定法的解釈について」 〜問d(フリマアプリ等により商品を仕入れた場合の仕入税額控除)

 それでもなお、懲りずに愚直な条文解釈を、以下展開してみます。


 今回の素材は「休職者」の年末調整における扱い。

 休職者でも、年中に給与の支払があった人は年末調整の対象になる、というところまでは、一般に理解されているところかと思います。が、いつ実施すべきかについては、特に根拠もなく、通常の在職者と一緒に12月(or翌年1月)で処理してしまっているのではないでしょうか。

 が、法律上、年末調整の実施時期は「その年最後に給与等の支払をする」ときとされています(所法190)。休職者の場合、これがいつなのかといえば、休職するまで働いた分のお給料を最後にもらうとき、になるはずです。

 が、休職の場合、休職期間を定めていたとしても、早期復帰したり延長されたりすることがありえます。つまり、休職開始時点では、年内最後の支払になるかどうかは分かりません。年内最後の締日が到来するまで、年内支払があるかないかが確定しません。

 この点、所基通190-1(3)では、著しい心身の障害で「退職」した場合は、その時点で年末調整を実施すると書かれています。

所基通190-1(中途退職者等について年末調整を行う場合)
次に掲げる場合には、それぞれの場合に該当することとなった時において法第190条の規定を適用するものとする。
(3)給与等の支払を受ける者が著しい心身の障害のため退職した場合で、その退職の時期からみてその年中において再就職することが明らかに不可能と認められ、かつ、退職後その年中に給与等の支払を受けることとなっていないとき。


 想像するに、これは「働けないなら当然退職する」という時代のルールであって。「在職しながら休職する」という昨今の休職制度の存在は想定されていないのではないでしょうか。
 そうだとすると、休職制度のもとで年内復帰が見込めない場合にも、休職時に年末調整を実施すべきと解釈されることになるのではないでしょうか。逆に、見込みがあるならば、年末調整を先送りにすることになると(ちなみに、「死亡」した場合は通常復活しないので、こういった見込み判定が不要となります)。


 なお、「年末調整」という用語のせいで、「年末調整」は年末だけに実施するものだと思われがちです。ベンダー各社も、10月、11月ころになってようやく当年分の年調システムをリリースしだすところですし(で、バグが発生して業務が止まる)。

 が、正確に表現するならば「年内最後の支払時調整」というべきでしょう。

【年内最後の支払時調整】
 ・年末調整
 ・死亡時年調
 ・出国時年調
 ・退職時年調
 ・休職時年調


 「休職時年調」を実施する場合の帰結は、出国時年調の処理と平仄をあわせるならば、次のとおりとなるはずです。

No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収

【休職時年調】
1 配偶者控除などの扶養の状況は、休職前最後の給与支払時の現況で判定する。
2 配偶者控除の配偶者の所得などは、休職前最後の給与支払時点での年内見込みで判定する。
3 社会保険料控除などは、休職前最後の給与支払時まで納付したものが対象となる。
4(令和6年限り)休職前最後の給与支払が2024/6/1より前の場合、月次減税はもちろん年調減税の対象にもならない。

 以下、補足です。

 3につき、休職中で社保免除されるのは現行法上「産休・育休」の場合だけであり、「私傷病休業」は対象となっていません。休業中に相当な保険料を負担していたとしても、年内復帰できなければ、休職中の自己負担分は年末調整してもらえません。

 4は、措置法本体には記述されず、施行時期の問題として附則に記述されています。

附則(令和6年3月30日 法律第8号)
第一条(施行期日)
 この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 二 次に掲げる規定 令和六年六月一日
  イ 第十三条中租税特別措置法の目次の改正規定(「第六節 その他の特例(第四十一条の三の三−第四十二条の三)」を「第五節の二 令和六年分における特別税額控除(第四十一条の三の三−第四十一条の三の十) 第六節 その他の特例(第四十一条の三の十一−第四十二条の三)」に改める部分に限る。)

第三十四条(令和六年分における特別税額控除に関する経過措置)
5 新租税特別措置法第四十一条の三の八第一項から第三項までの規定は、令和六年中に支払うべき同条第一項に規定する給与等でその最後に支払をする日が同年六月一日以後であるものについて適用する。


 5/31までは定額減税制度が存在しない世界で年末調整をしなければならないので、1条2号だけでもカバーできそうなんですが。
 「月次減税はだめでも年調減税はイケるはず!」という勘違いにフタをするためか、34条5項でダメ押し的に規定されています(が、そういう勘違いをする人は附則まで読まないというパラドックス)。

 所得税法については、遡及課税を合憲とした例の判例があるせいで、誤解している人がいるかもしれませんが。法のデフォルトは遡及適用不可です。

 「条文は大事!」と強調する人でも、なかなか附則までたどり着かないように思います。が、附則に重大なことが書かれていることがあり。決しておろそかにできないのが怖い。

少額特例と電気通信利用役務の提供 〜消費税法の理論構造(種蒔き編49)


 以上はあくまでも年末調整内での扱いであり。12月までの実績とのズレは「確定申告」で反映してくれや、ということになります。
 とはいえ、現場ではおそらく他の在職者と合わせて、12月までの控除を取り込んで年末調整しているのがほとんどではないでしょうか。

 「年調減税」については、上記附則の存在により、年内復帰の見込みがあろうがなかろうが、年末調整をいつ実施しようが、6/1以降に給与支払いがないかぎり、問答無用で適用ができません。
 では、休職時点では年内復帰の見込みがあった(が復帰できなかった)として、年末調整を他の在職者と一緒に実施した場合、12月までの控除を取り込むことは許されるのでしょうか。

 そもそも、最後の支払時に年末調整をしないで終わった以上、その後年内に支払がないのであれば、12月の年末調整の対象者には該当しない、という解釈もありえます。
 また、12月の年末調整の対象者に該当するのだとしても、所得税法の書きぶり(「その年最後に給与等の支払をする時の現況」)からすれば、計算期間としては、あくまでも「その年最後に給与等の支払をする時」までしか取り込めないように読めてしまいます。

 実施時期:年内最後の支払時+見込み判定
 計算期間:年内最後の支払時まで vs 年末調整実施時まで

 が、さすがに結論において不当すぎるゆえ、運用レベルで許容してもらえるものでしょうか。
 お国が育休をやたらと推進していたり、あるいは私傷病休業(メンタル系)の利用者が増えてきているのが現状であり。休職まわりのルールをきちんと整備しておいてほしいところ。


 今までは、なんとなく12月年調で処理していたであろう休職者の扱いにつき、定額減税の闖入により、真面目に考えなければならなくなったということです。まあ、定額減税さえ終われば、また運用レベルでなんとなく処理できる状態に戻れるでしょうか。
posted by ウロ at 09:27| Comment(0) | 年末調整

2024年12月02日

内川毅彦「フローチャート消費税」(法令出版2022)

 法制度を何でもかんでもフローチャート化することに対して、私自身は極めて懐疑的。

内川毅彦「フローチャート消費税」(法令出版2022) Amazon

 下記記事では、専門家なのだから平文で書けば間違えなかったであろうことを、(共著の執筆方針に従ってか)無理にフローチャート化しようとしたことで間違ったチャートとなってしまった例と、その改善案を示しました。

法適用通則法5条と35条における連動と非連動 〜法律学習フローチャート各論

 下記記事になると、完全におふざけモード(フローチャートイジり)に入っています。

フローチャートで遊ぼう。 〜フローチャート総論

 消費税法も、ご多分にもれず複雑怪奇化しているのであり。余すことなくフローチャート化するには、もはや無理がある、というのが私の見立て。


 というあたりを意識しながら、本書を眺めてみたのですが・・。

 たとえば、「特定新規設立法人」の特定要件や判定対象者につき、どのようにフローチャート化されているかを確認してみると。すでに「特定新規設立法人」に該当することの検討が終わったところから、チャートがスタートしてしまっています(P.20)。

 肝心の特定要件・判定対象者については、「用語解説」(P.300)などというかたちで、巻末に平文で書いてあるだけ(ですし、分かりやすく表現しようとしたせいか、不正確な記述になっている)。意図的なのかどうか、難解な部分はフローチャートの外に出されてしまっているわけです。

 また、「調整対象固定資産・高額特定資産」のフローチャートについて、ゴールが「3年縛り」が発動するかしないか、で終わってしまっています(P.26,27)。
 が、これは途中経過にすぎず。3年縛りが発動するとして、当該3年度において、それぞれ本則/簡易/免税のいずれとなるのかという、肝心の結論部分が書かれていません。

【作用と帰結を取り違えている】
法律解釈のフローチャート(助走編)


 私が何を意識しているかというと。

 本書では、「3年縛り」が発動した場合の効果として、フローチャート外の解説部分に、免税事業者となれないほか「簡易課税制度の適用を受けることもできません」と書かれています(P.25)。が、同制度の(簡易に対する)効果は、簡易届出の提出制限であって、簡易不適用ではありません(厳密にいうと「3年縛り」ではなく「2年提出制限」ということ)。

 これが「調整対象固定資産」の場合には、結果的に3年簡易不適用となりますが、それはあくまでも結果論です。「調整対象固定資産」が想定しているパターンだと、ちょうど結論が一致するというだけです。
 他方で、「高額特定資産」の場合は、対象資産を限定する一方で、適用パターンを無制限に広げてしまったため、2年の提出制限を受けても、3年度中に簡易が発動する隙が生まれてしまっています。
 これが立法の過誤なのか意図的にそうしているのか分かりませんが、そういう構成になっているということです。

 ゆえに、「調整対象固定資産・高額特定資産」のルールをフローチャート化するというならば。適用されるパターンを細かく場合分けして、3年度それぞれが本則/簡易/免税のいずれとなるのかを潰していかなければ、正確な理解をすることはできないはずです。

 本書のフローチャートは、スタートが遅い、または、ゴールが早いものとなっており。肝心の、難しい部分が省かれてしまっているということです。


 もし、本書が非専門家向けの「学習書」だというなら、枝葉を切り落とした基本部分だけをチャート化するだけでも十分でしょう。が、本書の「まえがき」には税賠の件数・金額が載せられていて、これら事故の対策本のつもりで執筆したとあります。

 基本を知らないなんてのはさておき。こういう枝葉の部分に潜む落とし穴に嵌まり込むのを防ぐことのほうが、税賠回避のためには必要なのではないでしょうか。
 本書の記述を信じて、縛り期間中はおよそ簡易の適用なしと思い込んで本則で申告してしまったとしたら、どう対応されるのか。


 と、偉そうにいっていますが。

 本件に関しては、私がたまたま「特定新規設立法人」「高額特定資産」あたりについて、微に入り細に入り条文を読み込んだ経験があったから気付いたにすぎません。

 もし、今から手持ちの知識で消費税法の解説書を書けと言われたら、間違って理解している箇所が、いくつも出てくるのではないかと思います。


 現行消費税法のような複雑な制度に対して、(手続的側面に限定したとしても)フローチャート単騎で突撃するのは無謀な試みであって。どうしても分かりやすく説明したいというならば、あの手この手の手法でアプローチしていかなければならないのだと、思います。
 しかも、「ロジカルシンキング」など他所の道具立てを使うにしても、直輸入するのではなく。法学の特性に合わせて微調整する必要があるでしょう。

 いずれにしても、出発点は条文にあるのであって。非効率とのそしりを受けようが、私は今後もひたすら条文読みに勤しむことにします。


 なお、私が本書のような書籍に目を通すの。決して何か新しいことを学ぼうといったつもりからではなく。
 表紙の「→」2つを見て(お気付きだろうか?)、「もしかして・・。」と思ってしまったから、です。

【表紙で気づく系】
道垣内正人「自分で考えるちょっと違った法学入門 第4版」(有斐閣2019)
橋内武・堀田秀吾「法と言語 改訂版」(くろしお出版2024)

 「表紙から何かを受信する」なんて、およそ無意味な特殊能力ですが。これも含めて自分ゆえ、付き合っていかざるをえない。


 あらためて、自分の条文知識を再確認するかぎりでは、まあよかったかなあと思います(強引にフォローする)。
posted by ウロ at 10:15| Comment(0) | 消費税法

2024年11月25日

「論証パターン」の作り方 〜最高裁令和5年3月6日判決(ADW事件)を素材に。

 この記事は、およそ実現しえない、近未来への妄想に基づく記事ということで、本ブログの記事の中でも、屈指の《税務お役に立たない記事》となります。

【実現しえない未来】
・司法試験の「租税法」の出題範囲に、消費税法が含まれるようになる未来
・司法試験の選択科目が、所得税法/法人税法/消費税法/相続税法の4科目になる未来
・税理士試験に、司法試験の「論文式」の形式が導入される未来

 ちなみに、令和6年司法試験の租税法の受験者数199人(5.3%)、合格者数62人(3.89%)とのこと。

令和6年司法試験の結果について(法務省)

 そりゃあ、この人数しか見込めないのでは、租税法の学習用教材が充実しないわなあと。
 予備校教材で市販されているもの、これ1冊だけ?

小川徹「1冊だけで租税法 第3版」(辰已法律研究所2023)

 さらに「消費税法」単体で、なんてことになったら、数人しか受験しないのでは?


 それでは、本判決を素材として、自力で論証パターンを作成する過程を解説いたします。

最高裁令和5年3月6日判決

 前提として、受験生の皆さんは、消費税法の学習書をひととおり理解しているものとします(受験科目となった暁には、適切な学習書が多数出版されることになるでしょうか)。

 また、適用法令は、令和2年度改正施行前のものを想定します。
 もし事例の中で、「令和2年9月30日に売買契約を締結した」などと際どい日付が出てきた場合は、譲渡の「時期」を論点にしなさいと、露骨に誘っているわけですが、本記事ではこの論点には触れません。

「消費税法改正のお知らせ」(令和2年4月)


 まず、最高裁自身が下線を引いている箇所(以下「規範」といいます)はそのまま「丸暗記」してください。ここは事例のあてはめをする際に必ず使うものであり、これを不正確に再現してしまうと、あてはめも正しくなくなってしまうからです。

論証パターン(規範)
 課税対応課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である。


 そして、これとセットで「事例」も頭に入れておいてください。

《事例》
 転売目的で現に居住用賃貸している建物を購入した。課対/共通いずれに該当するか?


 「事例」とセットで覚えるのは、出題者があえて事案をズラすことで、判例の規範をそのまま使えない場面だよと誘導している出題が出た場合に、気づけるようにするためです。
 「用途区分」がでたからといって、とりあえず自分が覚えている用途区分の判例の規範を書いとくか、では点数はつかず。事案に使える規範を適切に選択できていることに、点数がつくことになります。


 ここまで終わったら、一旦本論点からは離れて、他の論点についても同じように規範部分だけの暗記を進めてください。

 というのも、限られた勉強時間の中で、一つ一つの論点に時間をかけるよりも、すべての論点につき浅い知識があるほうが、いかなる出題がされても、確実に最低限の点数を拾えるからです(神憑り的なヤマ勘師ならば話は別です)。
 受験生が勉強しなければならないのは、消費税法だけではないわけで。全論点の規範部分を(事例とセットで)確実に覚えておけば、深く理解していない論点が出てしまったとしても、手も足も出ない、ということにはならないはずです。


 ひととおり規範を暗記したら、重要な論点から順番に《深堀り》をしていきます。
 (本論点については、令和2年度改正もあり、近未来ではもはやオワコン扱いされているかもしれません。が、本記事では、まだ重要度の高い論点として残っているものとして、話をすすめます。)

 《深堀り》とはいっても、学術的な意味合いからではなく。その規範が使える射程を正確に理解し、かつ応用を効かせられるようにするためです。
 判例の事案そのままの出題ならば、「理由付け」はすっ飛ばして規範だけ書いておけばよいのでしょう。他方で、出題のされ方によっては、当該規範の「理由付け」が同じように使えるかどうか、検討する必要がある場面もでてきます。

 では、「理由付け」を書くとして、判決に書かれていることをそのまま順番に書いていけばよいのかといえば、そうではなく。出題に応じて取捨選択する必要があります。


 では、理由付けの序列はどのように見極めればよいでしょうか。

 民法などの実質重視な科目とは異なり、税法においては《文言解釈》が重視されます(建前上)。
 ところが、本判決においては、文言から離れたところからグダグダと露払い的なことが書かれたあとに、満を持して「文言解釈」がでてきます。

 このように解することは、課税仕入れを課税資産の譲渡等「にのみ」要するもの(課税対応課税仕入れ)、その他の資産の譲渡等「にのみ」要するもの(非課税対応課税仕入れ)及び両者「に共通して」要するもの(共通対応課税仕入れ)に区分する同条2項1号の文理に照らしても自然であるということができる。

 ので、判決の書き順はガン無視して、この箇所を理由付けの筆頭にあげることになります。
 文言解釈のみに基づく論証パターンは次の通り(以下、論証パターン中の文言は覚えやすいように簡略に表現しますが、覚えられるものなら正確な表現のほうが望ましいです)。

論証パターン(文言解釈⇒規範)
 消費税法30条2項1号は、課税仕入れを課税資産の譲渡等「にのみ」要するもの(課税対応課税仕入れ)、その他の資産の譲渡等「にのみ」要するもの(非課税対応課税仕入れ)及び両者「に共通して」要するもの(共通対応課税仕入れ)に区分している。
 このような文理からすると、課税対応課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である。


 最低限これだけ覚えて、他の論点の学習に進んでも、さしあたりは構いません。

 なお、由緒正しく文言解釈からスタートしているのが「ホステス報酬源泉徴収事件」の最高裁判決。

 最高裁平成22年3月2日判決

 これと異なり、本判決がわざわざ書き順を逆転させていることになにか意味があるかは、さしあたり不明です(受験対策上は深入り無用)。


 本論点が、設問の中でより重要な論点である場合には、「実質的な」理由付けを追記します。

 ところが、「論証パターンを作ろう」という観点から本判決の理由付けをみると、どうにもまとまりがあるようには読めません。
 文言解釈に至るまでの、以下のかたまりから、どうにか論証に使えそうな理由付けを拾い上げる必要があります。

 消費税法は、生産、流通等の各段階で二重、三重に税が課されて税負担が累積することを防止し、経済に対する中立性を確保するため(税制改革法10条2項)、課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除するものとしている(消費税法30条1項1号)。

もっとも、同法は、所定の場合において当該課税期間中に行った課税仕入れにつき用途区分が明らかにされていないときは、課税仕入れに係る消費税額に、課税売上割合、すなわち、課税期間中の所定の売上げの総額に占める課税資産の譲渡等に係る売上げの割合を乗じて計算する方法により控除対象仕入税額を計算するものとし(同条2項2号)、また、帳簿及び請求書等の保存がない場合には原則として当該課税仕入れに係る消費税額の控除を認めないものとする(同条7項)など、課税の明確性の確保や適正な徴税の実現といった他の目的との調和を図るため、税負担の累積が生じても課税仕入れに係る消費税額の全部又は一部が控除されない場合があることを予定しているものということができる。

 そして、個別対応方式により控除対象仕入税額を計算する場合において、税負担の累積が生ずる課税資産の譲渡等と累積が生じないその他の資産の譲渡等の双方に対応する課税仕入れにつき一律に課税売上割合を用いることは、課税の明確性の確保の観点から一般に合理的といえるのであり、課税売上割合を用いることが当該事業者の事業の状況に照らして合理的といえない場合には、課税売上割合に準ずる割合を適切に用いることにより個別に是正を図ることが予定されていると解されることにも鑑みれば、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等の双方に対応する課税仕入れは、当該事業に関する事情等を問うことなく、共通対応課税仕入れに該当すると解するのが消費税法の趣旨に沿うものというべきである。


 田村善之先生がいうところの「積極的理由/消極的理由」という区別を意識しながら拾い上げると、次のような理解が可能でしょうか。

田村善之・清水紀子「特許法講義」(弘文堂2024)

論証パターン(実質的理由付け)
 仕入税額控除は、生産・流通等の各段階で重複して税負担が累積することを防止するものである(法30条1項1号)。
 もっとも、用途区分が明らかでないときは、「課税の明確性の確保」の観点から、課税売上割合を乗ずる方法により控除額を計算するものとしている(同条2項)。また、課税売上割合を用いることが不合理な場合は、「課税売上割合に準ずる割合」を適切に用いることにより、個別に是正することとしている(同条3項)。
 これらの規定からすれば、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等の双方に対応する課税仕入れは、個別事情を問うことなく、共通対応課税仕入れに該当すると解すべきである。


 仕入税額控除の制度趣旨は「税負担の累積防止」ではあるものの、実際の消費税法では、双方に対応する場合は「課税の明確性の確保」の観点から「課税売上割合/準ずる割合」という座組みで差配しているのであり、厳密な累積排除までは実施していないと。

 個別事情を考慮しないことにつき、「課税の明確性の確保」が積極的理由であり、「課税売上割合/準ずる割合」の2パターンを用意していることが消極的理由に該当するといえるでしょうか。
 私にはどうにも弱い理由付けだと思いますが(ので、「帳簿請求書保存方式」なんて用途区分と無関係の制度まで持ち出している)、最高裁がこういっている以上、受験生はそのまま利用すればいいと思います。

 最高裁に倣って、仕入税額控除の制度趣旨を頭に持ってきましたが。
 累積を防止するといいながら、累積そのものを控除するのではなく。割合で割り切る+双方対応は全て共通対応に入れ込むという遣り口を採用しており。制度趣旨と実際の制度の中身がズレています。
 論証内部での矛盾を避けるためには、制度趣旨の記述は省略したいところ。が、最高裁判決をきちんと読んでるよ、というアピールのためには、やはり盛り込んでおくべきなのでしょう。


 ちなみに、「帳簿請求書保存方式」についての記述は、本論点の帰結を正当化するにはあまりにも遠いと感じます。私が採点者だとして、(本判決が出る前であれば)余事記載として、減点しないまでも加点はしなかったと思います。

 帳簿・請求書等がない場合に控除できないことと、課税売上割合により控除できないものが生じることとは、まったく状況が異なるものであって。帳簿・請求書等がない場合に控除できないんだから、課税売上割合のせいで控除できない場合があっても問題ないだろ、なんてあまりにも雑すぎる。

 が、本判決では、堂々と理由付けの一つとして採用されていることから、いくらか加点しなければならなくなるでしょうか。


 ただし、未知の論点がでてしまったときに、それが形式による「割り切り」を正当化しなければならない場面だとしたら、以下のような論証パターンを使って、当該論点の理由付けとして使ってしまってもよいでしょう。

論証パターン(帳簿請求書等保存方式⇒形式割り切り正当化)
 消費税法は、「課税の明確性の確保」「適正な徴税の実現」を図るため、帳簿及び請求書等の保存がない場合には税額控除を認めないものとしている(同条7項)。このことから、消費税法は、税負担の累積が生じても税額控除されない場合があることを予定しているといえる。
 同様に、現実に輸出したことが明らかな場合であっても、輸出許可書を保存していないかぎり消費税が免除されないことも(法7条、規5条)、外国消費税との二重課税が生じても排除されない場合があることを予定しているといえる。


 もちろん、「税額控除」から「輸出免税」まで飛ぶのはかなり無茶があります。が、税額控除の中であっても「帳簿・請求書保存」から「用途区分」まで飛ぶのだって、同じように無茶だと思います。
 ので、純理論としてはとてつもなく不適切ですが、最高裁がやってんだから、まあいいしょや。


 以上の論証パターンを一つにまとめると次の通りとなります。

論証パターン(フルセット)
 仕入税額控除は、生産・流通等の各段階で重複して税負担が累積することを防止するものである(法30条1項1号)。
 もっとも、用途区分が明らかでないときは、「課税の明確性の確保」の観点から、課税売上割合を乗ずる方法により控除額を計算するものとしている(同条2項)。また、課税売上割合を用いることが不合理な場合は、「課税売上割合に準ずる割合」を適切に用いることにより、個別に是正することとしている(同条3項)。
 これらの規定からすれば、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等の双方に対応する課税仕入れは、個別事情を問うことなく、共通対応課税仕入れに該当すると解すべきである。

 このように解することは、法30条2項1号が、課税仕入れを課税資産の譲渡等「にのみ」要するもの(課税対応課税仕入れ)、その他の資産の譲渡等「にのみ」要するもの(非課税対応課税仕入れ)及び両者「に共通して」要するもの(共通対応課税仕入れ)に区分している文理にも適うものである。

 以上より、課税対応課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である。

 なお、このような解釈により、税負担の累積が生じても税額控除されない場合が生じうるが、消費税法は「課税の明確性の確保」「適正な徴税の実現」との調和を図るため、帳簿及び請求書等の保存がない場合には税額控除を認めないものとしていることから(同条7項)、税負担の累積が生じても税額控除されない場合があることを予定しているといえ、不当なものではない。


 「帳簿請求書保存方式」は、理由付けとしては弱いと思ったので、一番最後のおまけにまわしました。

 論証パターンが批判されるのは、このようなフルセットを、どのような事例でもお構いなしに繰り広げるから、なんだと思います。

 もちろん、全論点につき、自分の頭で考えながら論証パターンを構築していくのは、時間的に無理があります。
 が、出来合いの論証パターンを流用するにしても、その作られ方を理解したうえで、現場で可変できるようにしておく準備は必要なのだと思います。


 なお、本判決に対して、先日の記事では、
  ア 対応関係は、どのような事実を拾い上げて、どのように判定すべきか。
という本体部分から、
  イ アの結果、双方に対応すると判定された場合、課税/非課税の比重を考慮するか。
というサブ論点を括りだし、イだけについて命題を導出している、という評価をしました。

《税負担の累積防止》なる税務ミームについて 〜最高裁令和5年3月6日判決(ADW事件)
判例が、言っていることいないこと。 〜最高裁令和5年3月6日判決(ADW事件)

 これに対して、調査官解説では、本判決は「客観説」を採用していると評価しています。
 が、論証パターンを作り上げる過程を見ていただければ分かるとおり、客観説に対応する《規範》は、判決文のどこにも存在しません。

 理由付けのほうは、「課税の明確性の確保」「適正な徴税の実現」というマジックワードがあるせいで、「客観説」の理由付けとしても使っているかのように読めてしまうところ。ですが、実際には、あくまでも「双方対応はすべて共通対応に入れ込む」に対する理由付けとして使っているにとどまります。

 調査官が言っている以上、法廷意見も「客観説」を前提としていたのかもしれません。が、判決文で明示されていない以上、受験生が勝手に「判例同旨」などとして、「客観説」を展開するのは危険でしょう。


 もし設問が、本判決と同様にイだけを論ずれば足りるのであれば、「判例同旨」ということで本判決の規範をそのまま吐き出せば足りることになります。

 が、本試験では往々にして、判決の事案そのままではなく、ひねりを入れたものが出題されることがあります。
 もしそこで、用途区分の「判定方法」そのもの(ア)が問われることになったらどうすべきでしょうか。たとえば、居住禁止区域なのに、居住用賃貸目的で購入したらどうかとか(実際の試験はきちんと現実味のある事例になるとは思います)。

虚弱判決(その2) 〜ムゲン・ADW事件判決(最判令和5年3月6日)

 ここはあらかじめ用意してきた論証パターンを使うのではなく。受験生各自の「自由試技」が試されている場だと思います。
 出題者側がそのように誘っているわけで。せっかくのお誘いにもかかわらず、他の受験生も書いているような「テンプレ論証」を吐き出すのでは、点数が伸びないでしょう。

 そうはいっても、完全オリジナルの珍説を編み出せと言っているのでなく。法解釈のオーソドックスなお作法にしたがって解釈論を展開しているかぎり、悪い点数はつかないということです。
 最高裁判決の存在しない箇所となるので、きっちりとした「理由付け」が必要となります。

 最悪、「課税の明確性の確保」「適正な徴税の実現」という理由付けで客観説に依拠してしまうのも、試験対策としてはありかもしれません。調査官解説の理解とも整合しますし。
 実際のところ、近時の最高裁における租税判決も、マジックワードに依拠しがちな雰囲気があり(一部除く)。受験生だけが非難されるいわれはないでしょう。
 私には、刑事訴訟法の答案を「真実発見と適正手続の調和」というマジックワードでお茶を濁している、G答案と同じように思えてしまうのですが。

 とはいえ、諸悪の根源は、「EUでは〜」というだけで、日本の現行消費税法の果たしている機能をあるがままに説明できる理論立てを構築することを怠ってきた、消費税法学者にあるのであって。ごくごく小さな領域でしか法理判決を出せないという、みっともない有様を披露させられた最高裁様も、ある意味被害者でしょう。
 他方で、受験生的には、最高裁様ご自身が「消費税法」の偏差値を下げにきてくださっているわけで。ありがたく、他の科目に力を入れたらよろしいのではないでしょうか。


 試験本番で知らない論点が出てしまったときの緊急措置として、「趣旨解釈から規範をでっちあげろ!」と言われることがあります。
 
 が、消費税法においては、
・「税負担の累積防止」といっておきながら、累積そのものを排除しない。
・「消費者の消費に課税する」といっておきながら、消費以上の税負担が発生する。
というように、言ってることとやってることが食い違う場面が発生することが、制度上組み込まれています。

 そのため、「仕入税額控除の趣旨は税負担の累積防止にある。本件では税負担が累積しているから税額控除すべきである。」というような(正統派の)論証を展開した場合、往々にして何かしらの控除否定制度に抵触してしまう可能性があります。
 その場合、端的にいって間違った解釈であり、大幅に減点されかねません。

 また、本判決の「実質的理由付け」の説得力が弱いと感じてしまう理由。
 上記正統派の論証のように、仕入税額控除の制度趣旨は「税負担の累積防止」だというならば、そのあとにくるのは「累積してるから控除する/累積してないから控除しない」という帰結になるはずです。
 ところが、本判決では、この制度趣旨とは整合しない、「課税売上割合/準ずる割合」で割り切るという話が出てきてしまっています。割合で割り切る以上、どこまでいっても累積そのものを排除することとは符合しません。
 割合で割り切ることを正当化する理由も、「課税の明確性の確保」などといった大味なものであり。累積しているのに排除しなくてよいことを正当化するには、いかにも根拠薄弱でしょう。

 このように、消費税法は、素朴な趣旨解釈を展開するにはトラップだらけの税制度だということであり。そもそも、司法試験の出題科目としては相応しくない、のかもしれません。


 以上、ひとつの論証パターンを作り上げるだけでも、正確な判例理解が必要なことをご理解していただけたかと思います。
 とはいえ、受験生が自力ですべての論証パターンを磨き上げていくのは、厳しいものがあるでしょう。

 そこで、(ここで自校の宣伝(論証パターン作り方講座)が挿入される。◯月◯日までは◯%割引するとか)。


 なお、本来ならば、今回の「論証パターンの作り方講座」を前編として、設問にあわせて論証パターンを使いこなす「論証パターンの使い方講座」を後編として展開すべきなのでしょう。

 が、どう考えてもおふざけがすぎるので、後編を展開するのは、消費税法が司法試験の科目として正式採用されたらにいたします(不能の停止条件)。

 皆様の今後の消費税法学習が充実したものとなることを祈りながら、本記事を終わらせていただきます。
posted by ウロ at 08:57| Comment(0) | 判例イジり